「勇者はどこだ! 勇者を連れてこい!」バルバロスとやらはワシに向かってわめきちらしておる。弱いし、五月蠅いし、まったくなんでこんなやつをここに送り込んできたのじゃ。ゼドの奴は良くわからんのぅ。「勇者は今は忙しいのじゃ。 このワシが直々に決勝をぶち壊してくれたお礼をしてやるからのぅ。 しっかりと受け取れよ」ワシはバルバロスとやらにそう言うと、仮面を外し持っていた剣を構えた。どんな風にこやつを料理してあげようぞ。「あの……ねえさま…… 別にもう武闘大会ではないので、剣を使う必要はないのでは?」マリーに言われるまでとんと気づかなかったのぅ。「おぅ、そうじゃったそうじゃった。 言われてみればそうじゃのぅ。 剣なんて邪魔くさくてしかたない」ワシは剣を放り投げ、改めてバルバロスとやらと対峙をした。「お前の事などどうでもいい。 勇者だー、勇者を連れてこい。 お前を倒したところで、俺様には何の得にもならない」相変わらず勇者、勇者の一点張りじゃ。どうせゼドのことじゃ、勇者を倒した奴には四天王に取り立てるなどと言っておるのじゃろぅ。不都合なこと、ワシらがいることは隠してのぅ。「ワシの首もあいつなら喜ぶと思うがのぅ」「そんなことは知るか。 俺様は勇者の首を持って、魔王軍の幹部となるんだー」ん?その口ぶりからするとどうやらあいつはゼドの回し者ではなさそうじゃのぅ。そこらに居る野良魔族か。名前を上げたくて勇者が凱旋してきたこの武闘大会を狙ったようじゃのぅ。「お前はワシの事を知らんのか?」「あぁ、知らないな。 あいにく俺様は下っ端なんか興味がないしな」「ほほぅ。 ワシが下っ端じゃと?」「そうだよ。 たまたま俺様の不意を突いて勝っただけだろ。 まともに戦えば俺様の圧勝だ!」なんかこうも自分と相手の力量がわかっていないアホだと……頭にくるのを通り越して、逆にかわいく思えるのぅ。「では、その実力を見せていただこうかのぅ。 今度はワシが受けてやるから、さっさとかかってくるがよい」満面の笑顔でバルバロスとやらを煽って嗾ける。「そこまで言うなら、俺様の力を見せてやるよ」バルバロスとやらはようやくワシの方を向いて、槍を構えた。「ライトニングスピア!」得意と思われるスキルを発動してワシに向かってくるバルバロスとやら。
Dernière mise à jour : 2025-08-03 Read More