モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている のすべてのチャプター: チャプター 131 - チャプター 132

132 チャプター

第130話 余の作戦に口を出すな! ~ゼドサイド~

「……うっ……」最近何やら頭が痛くなることがある。 身体も精神的にもだ。 それもこれも、みんなゾルダのせいだ。 たまにあいつの声が聞こえてくる。 あの下賤な笑い声が頭の中を引っ掻き回す。 本当にあいつが復活してからロクなことがない。それにクロウやメフィストもあいつに負けた。 アスビモが連れてきたランボという奴もだ。 少しばかり期待した余がバカだった。 駒は所詮駒以上にはならんし、使い物にもならん。イライラした気持ちと頭痛を治めるためにアスビモが持ってきた薬を飲む。 この薬が結構よく効く。 飲んで数分で頭痛も取れるし、身体にも力がみなぎってくる。 最近少し飲む頻度が増えたような気がするが、そのうちに良くなってくるだろう。余の部屋から出てから謁見の間に向かうと、そこにはラファエルとクラウディアが控えていた。「魔王様、ラファエル、クラウディア共に帰還しました」余が王座に座ると、ラファエルとクラウディアが帰還の報告をする。「随分と遅かったな」戻ってくるように言ってからどのくらいたったのか。 時間は正確にはわかっていないが、気持ち的にはだいぶ経ったような気がする。「大変申し訳ございません」ラファエルは深々と頭を下げる。 クラウディアも申し訳なさそうにしている。「謝るぐらいなら、さっさと行動しろ、この馬鹿者めが」消えぬイライラをラファエルとクラウディアにぶつける。 お前たちも役に立たないな。「……」首を垂れたままラファエルとクラウディアは何も言わない。 その態度にも増す増す腹が立つ。 ただ、そこは堪えておこう。 何せこれでお前らも余のためになるんだからな。「まぁ、いい。  お前らはお前らなりに余の役に立つことだ」「はっ」二人からは力の入った返事が返ってきた。「お前たちを呼び戻したのは、ゾルダのことだ」「確か復活されたとお聞きしております」ラファエルの耳にも話を届いていたようだ。「えーっ、そうなの?  あーしは聞いてないよ」クラウディアは不服そうな顔をしている。 その顔を見たラファエルがクラウディアを窘めている。 余に向かってなんたる態度だとは思うが、こうしている時間も鬱陶しい。 さっさと話を進めるか。「そのゾルダをお前ら二人で倒してこい」「あのゾルダ様を?  あーしら二人で相手になる
last update最終更新日 : 2025-10-19
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第131話 アスビモからの伝言 ~アグリサイド~

数日にわたって開催されていたラヒド祭も今日が最終日。 この数日何をしていたかというと――『おい、見張りなんぞ最終日だけでよいのじゃ。  今日も祭りじゃ祭り』朝早く起きるなり、上機嫌のゾルダに首根っこを掴まれる。『ん……  まだ朝早いじゃん。  昨日も遅かっただろう。  もう少し寝かせてくれよ……』眠い目を擦りながらそう言うも『いいや、まだまだ足りんのじゃ。  存分に楽しまないとのぅ』そしてそのまま、祭りに引きずり出される。 セバスチャンやシータは苦笑いしながら、それについてくる。 そんな光景が繰り返されていた。ゾルダがそれほどまでに祭りが好きだったとは知らなかった。 でもよくよく考えると数百年封印されていて、その間何も楽しめなかったはず。 その反動もあって、楽しくて仕方がないのだろう。 そうそう祭りがある訳でもないし、今はゾルダの思い通りにやらせてあげよう。なんか親心みたいなものが芽生えてしまい、付き合っていたのだったが――「よし、今日は最終日じゃ!  名残惜しいが最後まで存分に楽しむのじゃ!」今日もまた朝から元気のいいゾルダ。「今日は最終日じゃん。  アスビモの商会の従業員たちに接触しないと……」ここに来た目的は祭りではない。 アスビモの居場所を探すためだ。 そのことを忘れてしまってないかと思うほど、満喫している。「そんなものは、ギリギリ最後でいいじゃろ。  撤収してから、街の外で脅せば一発じゃ」「いやいや。  途中で帰られたりしたらどうするんだよ。  一応、祭りの間もそれとなく気にして見ていたけど……」俺はゾルダに付き合って祭りを見て回ったものの、 気にはなるので、ところどころでアスビモの店を確認していた。「で、どうじゃったのだ?」「まったく帰る気配はなかったよ」売れる気配も無いのにずっとその場に居続けた。 しかも客足もずっと変わらないまま。「それなら、最終日も同じじゃろ」「とはいえさ……」さすがに最終日だし動きがあるのかもとは思う俺は、見張りをしようと提案する。「なら、お前ら三人で見ておけばいいじゃろ?  ワシは祭りが終わったら街の外で合流するのじゃ」しかし、ゾルダは譲らない。 俺たちを置いて、さっさと街に繰り出していった。「マリー、ごめん、連日で。  ゾルダのこと
last update最終更新日 : 2025-10-26
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