現実は残酷だ。ゲームのように順序だててことは進んでいかない。ましてや、俺の強さに合わせてちょうどいい敵など出てこない。たぶん最後俺を殺そうとしたのだろう。メフィストは俺の目の前に来たが、抗うことしか出来なかった。ゾルダの一発で事なきを得たけど、普通のパーティーだったら全滅していたと思う。「それにしても、おぬしなぁ…… もう少しなんとかならんかのぅ……」ゾルダは呆れかえっていた。そりゃそうだ。今の俺の強さでは敵いっこない相手だった。「俺だって頑張っているんだって。 敵が急に強くなり過ぎなんだよ。 普通は徐々に強くなっていくのが鉄則なのに……」「普通とは何じゃ? 強い奴らはどこからでもビューっと飛んでくるぞ。 ヤバいと思ったら、叩き潰しに来るからのぅ」ゾルダの言うとおりである。ゲームのように強い敵はあるところに鎮座して勇者たちが来るのを待っている訳ない。危険と感じたら、容赦なく襲い掛かってくる。俺の考え方がまだまだ甘いのだ。「…………」返す言葉が見つからなかった。嵐のように始まった今回の戦いでも、俺は何も出来なかったのだ。本当に役立たずだ。メフィストを撃退し、マリーは飛び跳ねて喜んでいた。セバスチャンはクールに保ちつつも晴れやかな顔をしていた。ゾルダはいつも通りの傲慢な笑顔を見せていた。その中で俺は……「俺は何も役になっていない」周りに聞こえないようにボソッとつぶやいた。そう聞こえてないはずなのに……「なんで周りにお前らがいるんだ!」ゾルダにマリー、セバスチャンが俺の周りに集まっていた。「アグリが元気ないからでしょ!」マリーは俺を気遣ってくれているようだ。「アグリ殿、いい時も悪い時も誰だってあります。 反省して次に活かしましょう。 大丈夫です。私が鍛えて差し上げます」セバスチャンは諭すように話、さらっと俺に訓練の提案をしてくる。いや、そりゃ役に立ちたいけど……魔族の訓練なんて、俺死んじゃうよ。「おぬし…… その…… 弱いのはいつものことじゃ! 気にするな」ゾルダはいつも以上に辛らつだ。「ねえさま…… それはちょっと…… ここは嘘でも問題ないと言ってあげないと」あの、マリーさん……その一言は何気に傷つきます……「……で、落ち込んでどうするのじゃ。 それで強くなるなら
Terakhir Diperbarui : 2025-06-17 Baca selengkapnya