All Chapters of モブな転移勇者♂がもらった剣にはチートな史上最強元魔王♀が封印されている: Chapter 111 - Chapter 120

132 Chapters

第110話 カルムからのお土産 ~アグリサイド~

シルフィーネ村の騒動が落ち着いた翌日――俺たちは次の目的地へ向かって出発した。シルフィーネ村に着いて早々、フォルトナの愚痴から始まった。どうなることかと思ったが、雨降って地固まるかな。フォルトナも騒動で改めて自分の村が大事だということがわかったのかもしれない。それはそれでいいことだとは思う。「ようやく目的の東方の街ジョードへ迎えるのぅ」いつもと違い真面目な顔でゾルダが言う。「ようやくってさ…… 首都で時間かかったのはだいたいゾルダのせいなんだけど」ゾルダがそもそも武闘大会なんか国王に薦めるから、滞在が伸びたのだし。「そうだったかのぅ…… ワシは何もしておらんぞ。 のぅ、セバスチャン」俺から目を背けたゾルダはあくまでも白を切るつもりらしい。「お嬢様、その言い分は無理がございます」セバスチャンはゾルダの言うことばかり聞くものだと思っていたけど、言う時は言うようだ。「セ……セバスチャン! そんなことはないのじゃ」「いいえ。 厳しいかと。 素直に認めるときは認めないといけません」「うぬぅ……」セバスチャンに言われたゾルダは顔を膨らませていた。よく言ってくれた、セバスチャン!!「ところでアグリ殿。 どこかで速度を上げ、早々にジョードへ向かいたいのですが……」「俺も早く行けるならそうしたいけど、何か手があるの?」遅れた分を取り戻したいのはやまやまだけど、転移とか使えないし難しいと思っていた。「少しお時間をいただければと…… 何かいい手がないか考えさせていただきます」そういうとセバスチャンは俯きながら考え始めた。俺が浮遊魔法使えれば、道なりじゃなくても行けるのだ
last updateLast Updated : 2025-09-29
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第111話 転移魔法のリスク ~セバスチャンサイド~

さて、どうしたものでしょうか。アグリ殿に先を急ぐことを私から提案はしたものの……まず考えられるのが、浮遊魔法。今よりかは確実の速度はあがります。我々がフルスピード出せば、歩く時間の半分と言うところでしょうか。もう少し早くなるかもしれませんが、半分ぐらいに見積もっておいた方がいいでしょう。ただこれはアグリ殿が浮遊魔法を使えないので……3人のうち誰かが担ぐことになりますが、まずは確実な手でしょう。次がドラゴンなどの飛行魔物を使役するでしょうか。これには近くにそういった魔物がいないとどうすることも出来ません。現状としては、辺りを見回してもドラゴンが居そうもないですし、難しいかなと。あと一番早いのですが、リスクが大きい転移魔法。私たち3人はあまり扱ったことがない魔法ですし、制御が効かない可能性があります。同胞であるあの人……転移魔法の使い手だったあの人が居れば、造作もないことなのですが……確かあの人から聞いた時……『この辺りの加減がな。 他の奴らには難しいらしい』と話してましたから、繊細な魔力のコントロールが必要なようです。その辺りが私もお嬢様もマリーもうまく出来なかったと記憶しています。確か成功率は半々ってところだったかと思います。それであちこちに行かされてた覚えがございます。そうなると浮遊魔法の1択でしょうか。それでアグリ殿に提案してみましょう。私自身で考えを整理したところで、お嬢様とアグリ殿にお話をしました。「お嬢様、アグリ殿。 ここは浮遊魔法で飛んでいくことにしましょう。 多少魔力は使いますが、その方が早いかと思います」「えーっ! 俺、浮遊魔法使えないんだけど……」「それは承知しております。 そこは私か
last updateLast Updated : 2025-09-30
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第112話 ここはどこだー! ~アグリサイド~

眩しい光に包まれて目を瞑った俺が次に目を開けると真っ暗な空間に立っていた。「ここはどこだー!」周りを見ると、ゾルダやマリー、セバスチャンは立っていた。どうやら無事のようだったので、安心したのだが、様子がおかしい。ゾルダに声をかけるも反応がない。マリーもゆすってみたが反応がない。セバスチャンも同じだった。「おい、みんな、なんで動かないんだ?」みんなぐったりしている訳ではなく、動きが止まって固まった感じに立っている。どうやら死んだりしている訳ではなさそうだ。これは転移魔法の影響なのか?それにそもそもここはどこなのか。たぶん、ゾルダの魔法が失敗したかなにかなのだろう。とにかく暗くて見えづらいので、灯りをつける「ライト」空中に光が浮遊すると辺りを照らし始めた。地面はあるが、土のような感覚もない。薄い一枚板の地面の3D空間にいるような感じだ。右も左もどこまで続くかわからない空間が広がっている。「なんか昔の3Dゲームのような空間だな。 昔と言うか、ゲームの練習用の空間みたいな感じかも」と独り言を話しても何の反応もない。「さてと…… ここからどうやって脱出すればいいんだろう」そもそもここがどこかのかもわからない。こういう時にセバスチャンが動ければアドバイスの一つもしてくれそうなのだが……セバスチャンの方を見やるも、まだ動く気配はない。「うーん」闇雲に動いても仕方ないし、どうしたものかなと考えてみるが何も浮かばない。動けるのは俺一人だし、どうにかしないといけないのは確かだ。それでもない頭を捻って考えていた。しばらくすると、奥の方がなんかもやもやしたようなものが見えてきた。その方向を見ると、遠くから何かの大群のようなものがこちらに向かってきた。こっちに向かうのは分かるのだが、不気
last updateLast Updated : 2025-10-01
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第113話 ここは……? ~シータサイド~

ふわぁ~~~~なんかだいぶ寝た気がするな。えっと……おいどんは今まで何をしていたのだったかな……さっぱり覚えておらんですわぁ。寝すぎてしまったかもしれませんわぁ。さてと……ここはいったい……?真っ暗で何も見えんですな。身体の感覚も……ふぅ、あまりないようですな。うーん。これまで何があったのか……この暗さからして転移魔法を失敗した?ううん。さすがにこのおいどんに限ってそんなことはないですわぁ。今までも失敗したことないですからな。まぁ、ゾルダ様のあおりを食らったのならともかく……あとはっと……何か覚えていることはないか……そういえば、ゼドの坊ちゃんが、おいどんのところに来たような気がしますわぁ。なんか懇意にしている商人がいるとかなんとかで。あっ……なんとなく思い出してきたような気がしますわぁ。確かア……アなんとかという商人だったかな。珍しいガントレットが手に入ったとかなんとかで。それを見せていただいていたような……『シータ、ア◇♪#という商人から、珍しいガントレットが手に入ったと話があってな。 お前はこういうの好きだったろうと思って持ってきてやった』『ゼドの坊ちゃん、急に何ですか? おいどんは拳での戦闘ですので、ガントレットを使ったりはしますけれども。 好きと言うほどではないですぜ』『まぁ、いいからいいから。 なんでも、力を増幅してくれて、身体強化もするらしいのだ』『はぁ…&helli
last updateLast Updated : 2025-10-02
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第114話 ワシのせいではないぞ ~ソフィアサイド~

ふぅ……とりあえずなんとかなったわ。それにしても、シータが出てきたのもビックリしたがのぅ。あの籠手に封印されておったとは。カルムとかいう奴が含みを持たせてあやつに渡したのは、このことを知っておったからじゃろうのぅ。しかし、久しく使っていなかったこともあったのじゃろうが……このワシが失敗……ではなくうまく出来なかったのは、全くもっての想定外じゃ。……いやいや、失敗はワシのせいではないぞ。あやつが口を押えるからじゃ。だから上手くいかずにあの空間に行ってしまったのじゃ。それにしても何度行ってもあそこは嫌な空間じゃ。特にあのゴーストとかいうやつらじゃ……思い出すだけでも、身の毛もよだつ。あいつらはワシの魔法も全く効かないしのぅ。力でねじ伏せられないやつらは本当に嫌いじゃ。でもそれがじゃ……あやつは、剣を振るいゴーストを消し去っておった。あれはなんじゃったのかのぅ……あやつはやはりなんか特別なものを持っておるのやもしれんのぅ。さて、シータが元の場所に戻してくれたこともあり、ワシらもようやく動けるようになった。腕を回したり、首を捻ったりして身体が動くことを確認しながら、そんな風に考えておったのじゃが……しかし、意識がある癖に体が動かんのもイライラするのぅ。前に行った時はそんなことはなかったのにのぅ……「ゾルダ様、お久しゅうございます」シータがワシが動けるようになったところを見計らい言葉をかけてきた。「うむ、お前が籠手に封印されておったとはのぅ」「はっ、面目のなく…… ゼドの坊ちゃんにしてやられましたわ」頭を掻きながら
last updateLast Updated : 2025-10-03
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第115話 神秘の街ジョード ~アグリサイド~

新しく加わったシータの転移魔法で、予定より早くジョードの街に着いた。ここの街並みは江戸時代を思わせるような建物がずらずらと並んでいる。そうかと思うと、思いっきりファンタジー世界のような建造物もある。でも、和の雰囲気が強く、とても懐かしさを感じる。とは言え、実際に江戸時代の街並みに触れ合ったことがある訳ではない。ただそう言えば、日光の江○村や京都の太秦○画村とかは行ったことあったかもしれない。時代劇やアニメでは見たことがあるが、俺の中では完全に画面の中の世界である。それでも懐かしさを感じるのは、日本人の遺伝子なのかな。「なんか昔の日本のような街並みだ」懐かしさもあるし、興味もあるので、あちこちに目移りする。「そのニホンとか言うのはどこなのじゃ?」「私も存じ上げておりませんので、アグリ殿にお聞きいただけると……」ゾルダとセバスチャンが俺の方を見ている。「知らなくて当たり前と言うか、なんと言うか…… 俺の生まれたところではあるんだけど、ここからは行けないところだし……」「そう言えば出会ってすぐのころに違う世界から呼び出されたと言っておったのぅ……」「えっ? ねえさま、アグリって別の世界の人なのですか?」マリーが驚いて大声を出す。「どこからとか細かいことは聞かなんだが、そんなことを言っていたとは思うぞ」いつもは細かいことはあまり覚えていないゾルダだが、なんでそんなことは覚えているんだ。「おいどんは、その別世界から召喚出来る魔法の方が興味があるな。 どんな仕組みなのかな。 召喚する人は選べるのでしょうか……」シータは召喚魔法に興味津々である。考えながらブツブツと言い始めた。「アグリは、こんな感じの世界から来たのですか? マリー、気になりますわ」
last updateLast Updated : 2025-10-04
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第116話 領主様は引きこもり中 ~セバスチャンサイド~

お嬢様はさておいて、私たちを封印したアスビモのことです。いろいろと嗜好を凝らして待ち構えていることでしょう。些細な事でもいいので、前線を担っているここの領主様にでも、情報をいただかないと。アグリ殿もそのような思いであるのでしょう。まずはトーゴ一族がいる城へ向かい、入口の門番に面会を求めます。「あの…… 首都から国王の命で来た者です。 領主様にお会いすることは出来ますか?」アグリ殿が門番にそう尋ねると、怪訝な顔をした門番は「少々お待ちください」とぶっきらぼうに応えて中に入っていきました。これは何かあるのかもしれませんね。私たちはあまり歓迎されていないように感じました。しばらく待ちますが、一向に門番が帰ってきません。お嬢様がそれに苛立ち始めます。「どうなっておるのじゃ、ここの領主とやらは。 いつまでも出てこぬではないか」「まぁ、まぁ、少し落ち着きなよ、ゾルダ。 何か事情があるんだって」のんびり待っていたアグリ殿も慌ててお嬢様を落ち着かせようとしています。ただ、それぐらいで聞くようなお嬢様ではございません。「ダメじゃ、なっておらん。 もう今すぐここを壊して出てきてもらうのじゃ」「いやいや。 そんなことしたら、俺が捕まるし、殺されちゃうよ」「おぬしだって、ここらの人ぐらい、簡単に捻りつぶせるじゃろ。 そうなったら遠慮することはないのにのぅ」「郷にいては郷に従え。 だよ。 ここのルールはきちんと守らないと」アグリ殿は自分の力を見せびらかす訳ではなく、あくまでもここのルールに則るということなのでしょう。真面目なアグリ殿らしいです。「ワシにとっては強い者がルールじゃ そんなことは知らんのじゃ」まぁ、お嬢様はそうなりますね。魔族の国ではそれがルールですから。でも
last updateLast Updated : 2025-10-05
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第117話 日出る地の将 ~アグリサイド~

ジョードの城の門番に前線の拠点を教えてもらった俺たち。その拠点に向かうことにした。「ふん! なんだここの領主は。 増援が来ないからといって引きこもるとはのぅ。 ケツの穴が小さい奴じゃ」「お嬢様。 その表現の仕方はいかがなものかと」セバスチャンが言うのももっともな話。ケツの穴とは、言い方もよくない。もっと他の言い方もあるだろうに。「事実を言ったまでじゃ」ゾルダはそれでも我が道を行くって感じだ。少しぐらいはセバスチャンの話を素直に聞いて欲しいとは思う。「引きこもっているのもなんか本人からしたら何かあるのだろうから…… そんなに厳しく言わなくてもいいんじゃないかな」門番から聞いた感じだと、あながち領主様が悪いという訳ではなさそうに感じる。両方から話を聞いてないから確実に判断できないけど。それにここは首都からは遠いし、伝令をやりとりするにしても時間はかかる。その辺りのお互いのズレという感じではないだろうか。「おっ、あそこですな、ゾルダ様、坊ちゃん」シータが指し示す先に、拠点らしきものが見えた。その拠点は、所謂戦国時代の合戦の陣、そのものだった。本陣の近くまで来た俺たちは、近くに居た兵に声をかけた。「あの…… ここの指揮官にお会いしたいのですが、いらっしゃいますか?」「誰だ、お前は? こんな前線にのこのこと。 危ないから、さっさと帰れ!」戦況も良くないのかピリピリしていた兵は声を荒げる。その言葉遣いにまたゾルダが怒りを増幅させてしまう。「お前、このワシに向かって……」さすがに俺もこの言葉にはカチンとくるものがあるが、事を荒立てても仕方がない。自分の心も沈めて、ゾルダもなんとか宥めていく。「一応、首都から国王の依頼で来たのですが&
last updateLast Updated : 2025-10-06
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第118話 この陣形は…… ~シータサイド~

トルヴァルド・オーノという将が、地図を広げて現状の説明を始めた。「今は大きな戦闘は落ち着いている。 だが、それは相手が攻めてきていないというだけの話だ」どうやら、次の戦いに向けて準備をしている、ということだろうかな。トルヴァルドは説明を続けた。「こちらとしても、ある意味助かっている。 今は戦力の再編を進めているところだ」「……あの、相手――魔王軍の将は、誰か分かっていますか?」ゾルダ様が『早く聞け』とプレッシャーをかけているの伝わってきたようで、それを察した坊ちゃんが、魔王軍の状況を確認した。「それが……よくわかっていないんだ。 どうやら後方で指示だけ出しているようで、表にはまったく出てこない」「そうなのですか……」「それに……今までにないような戦術、というか、やり方をしてきているんだ」困惑した表情を浮かべながら、トルヴァルドは地図のあちこちに駒を置き始めた。「ここと、ここと、ここと…… 相手が攻めてきて、そのまま陣を張っているところだ。 重要な拠点もあるが、そうでもないところもある。 そこに異常なほどの戦力を割いている」この配置――どこかで見覚えがあるような気がするのだが……なんだったかのう。「重要じゃないところも……ってことは、その位置に何かしらの意味があるのでは?」坊ちゃんは魔王軍が何か企んでいると勘ぐっている様子のようですな。確かに、それはあるかもな……早く、おいどんの記憶にひっかかる何かがわかればいいのだがのう……あれでもない、これでもない、と記憶の隅々を探しているのだが……あともう少し探せば思い出すかもしれない。
last updateLast Updated : 2025-10-07
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第119話 お前は…… ~アグリサイド~

一番厳重に警戒している陣。まぁ、普通に考えればここが重要なところなんだろうな。でも何かひっかかる。敵陣の近くの森から相手の様子を伺う。魔族も魔物も桁違いに多い。それにしてもこんなに警戒しているのは異常だ。「湧くほどおるのぅ、雑魚どもが。 久々に暴れられるから楽しみじゃのぅ」ゾルダは敵の多さを見ても怯むことなく、むしろ笑みを浮かべていた。当然か。しばらく戦闘にもなっていないし、いろいろと鬱憤がたまっているのかもしれない。などと考えていたら、ゾルダが俺の顔を覗き込む。「おぬし、今良からぬことをかんがえておったじゃろ。 ワシの事で」「いやいや。 そんな変なことは考えてないって」「変なことじゃなくても考えておったのじゃな」「まぁ……その……嬉しそうだなと……」 俺がそう言うと、何故か知らないが顔を真っ赤にして否定する。喜んでいると思われたくなかったのだろうか。「そ……そんなことはないのじゃ。 こんなこと面倒でしかたないのじゃ」「ねえさま…… 変ですわね。 そんなこといつもは気にしないのに」ゾルダの様子が違うと言うマリー。そうかなのか?俺にはよくわからんが……「マリーも何を言うておるのじゃ。 いつものワシじゃ! って、そんなことはどうでもいいのじゃ。 早くあそこに行くぞ」何か取り繕うように慌てた様子を見せたゾルダ。その話題から避けるように敵陣を指さす。それと同時に、一気に突っ切ろうとしたゾルダを、俺はいったん止めた。「ゾルダの力なら大丈夫だとは思うけど、この厳重さがなんかひっかかるんだよ」「おぬしの気にし過ぎじゃ」
last updateLast Updated : 2025-10-08
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