110. 第七話 新人王の底力 第4節は波乱の幕開けだった。なんと役満が出たのだ。 役満を炸裂させたのは中野雅也プロ。第35期新人王の彼である。 一回戦オーラスに大三元をツモアガリしたという。 中野プロはついていた。もう攻めないと再試験になる可能性がある選手が三元牌を2種掴んだのだ。普通は鳴けないものもその状況だと手牌次第で出ることもあるだろう。(下位7名に2期連続で入るとライセンス剥奪。プロテスト再試験となる) 露骨に怪しい切りをしていたのだが、それでもアガれたのは僥倖である。やはりタイトルを獲るような人間は持って生まれた運の良さのようなものがあるのだろうか。 隣の卓で打っていたミサトの耳に中野の「8000.16000」という声が聞こえた。(中野プロが役満ツモか…… 今回で彼も上位7名の昇級ラインに入ったかもな…… これが35期新人王の底力か。油断は出来ない!) しかし、ミサトも負けじと好調で、満貫を2回ツモアガリしての安定したゲーム回しでトップスタート。私だって昇級ラインは切らないわよと言わんばかりの成績を出す。(負けないわ。私だって36期新人王なんだから!) 二回戦以降も中野、ミサトの両名とも好調を持続させた。カオリとメグミがそれ程絶不調だったというわけではないが現状維持の麻雀をしていたので後ろから上がってきた選手に一気に並ばれた。 一方マナミはまた地道にコツコツと何度もアガリを積み重ねてじわじわとプラスを加算し、首位を譲らなかった。 ──── ミサトの卓とマナミの卓は先に終わり、2人は休憩エリアでパックのミルクコーヒーを飲んでゆっくりしていた。 「マナミは相変わらずね」「ミサト
Huling Na-update : 2025-06-01 Magbasa pa