「アキツグさん、アキツグさん、起きて下さい!」まだ明け方くらいの時間に俺はカサネさんに揺すられながら起こされた。「う…ん、おはよう。なにかあったのか?」 「魔法、魔法ですよ!あの本を読んだら新しい魔法を覚えたんです!やっぱりスキルブックだったみたいで、読み終わると真っ白になっちゃいましたけど。。」 『おはよう。それじゃ、あとは任せたわ。おやすみなさい』カサネさんにしては珍しく興奮した様子で話しかけてきた。 まぁ特別な魔法を覚えられたのなら無理もないか。まだ起き抜けでテンションについていけてないけど。 そしてどうやら、先ほどまではロシェがカサネさんの話を聞いていたらしい。 俺が起きたのを確認すると馬車の荷台で丸くなって眠りについた。「おやすみ。そっか、覚えられたのか。それで?もう試してみたのか?」 「いえ、読み終わったのは少し前なのでまだ使ってはいません。シースザイルさんがわざわざあんな残し方をするだけあってかなり複雑な魔法みたいで」 「そうなのか。カサネさんが言うならよっぽどだな。なら、ここから少し離れたところで試したほうがいいか。人目にも付きたくないし林の中で少し空いてるところでどうだろ?」 「そうですね。早速試してきます!」 「いや、俺も付いて行くよ。何かあった時に一人だと危ないかもしれないし」 「あ、ありがとうございます」ぺこりとお辞儀しつつも、既に林に入ろうとしている。ほんとにテンションが高いなぁ。さっきの話からすると寝てないはずなんだけど、徹夜で逆にハイになってるのかもしれないな。 ふとそんな状態で魔法を使わないほうが良いんじゃないか?という考えが浮かんだが、説得しても今のカサネさんを止めるのはたぶん無理だろう。 一回失敗したら、それを理由に寝て貰おうと考えながらカサネさんの後を付いて行った。「この辺なら大丈夫そうですね。それじゃ、始めますね」 「あぁ。初めて使う魔法なんだし、慎重に威力抑え目でな」 「はい!・・・」カサネさんが詠唱を始める。普段は無詠唱で戦っていることが多いからこれも珍しい光景だ。・・
Terakhir Diperbarui : 2025-06-09 Baca selengkapnya