二人が次に向かった先は武器屋だ。 ルミナス島へ渡るためには、しっかりとした装備が必要になる。 古びた石造りの店の扉を押し開けると、中には整然と並ぶ剣や短剣、弓が光を放っていた。 店主は鋭い目を持つ壮年の男で、二人が入るとゆっくりと顔を上げた。「旅の支度かい? なら、しっかりしたものを選びな」 店内の奥へ進むと、武器棚の隣に整然と鉱石が並べられていた。「武器屋なのに鉱石……?」 磨かれた黒曜石や、わずかに輝く雷光石、深い青を宿した魔鉱石——これらは一体、なんだろう。 リノアは息を呑んだ。「勿論、普通の鉱石じゃないぜ。その鉱石自体に特殊な力が秘められているんだ」 リノアは鉱石の並ぶ棚を眺め、指先で「凍結の晶核」をなぞった。 その冷たい輝きが霧の深い森での戦いに役立つことを思うと、自然と唇が引き締まる。「その『凍結の晶核』は特殊な鉱石だ。霧の中で振動を与えると、一瞬で周囲の水分を凍らせる。足場を作ったり、敵の動きを封じたりとな。昔、寒冷地の戦士たちはこれを罠として活用していたそうだ」 リノアの脳裏に霧深い森の情景が浮かんだ。視界の悪い中で敵の足元を瞬時に凍らせることができれば、戦闘の流れを大きく変えられる。ただ霧に惑わされるのではなく、その霧を自分の武器として活かすことができるのだ。「この『凍結の晶核』、弓矢の矢尻としても使える?」 エレナは鉱石をじっと見つめながら、店主に尋ねた。「可能だ。少し手を加えるだけで誰でも矢尻にすることができる。特別な技術は必要ない」「遠距離からも狙えるなら、かなり使えそうね」 エレナは呟き、鉱石の重さを測るように手のひらで転がした。 弓の扱いには慣れている——この鉱石の特性を活かせば戦術の幅が広がる。霧の中で冷気を操ることで、戦局を有利に導けるはずだ。 エレナは鉱石の活用方法を思案し、満足げに頷いた。 リノアは隣に並んだ『水影石』も手に取った。角度を変えて光の反射を確認する。「それは水を反射して、視界を奪う鉱石だ。光の屈折を利用して姿を隠すだけではなく、幻影を生み出すこともできる優れものだな」 リノアとエレナは互いに視線を交わし、その利便性を確かめるように頷いた。「これはどうだ? 一定の光を蓄え、暗闇で瞬間的に発光する。動物の目をくらませるのに、探検者たちが良く使っているものだ」 店主が手に
Terakhir Diperbarui : 2025-06-12 Baca selengkapnya