迅は茜の手を振りほどこうとしたが、茜はむしろ彼にしがみついた。「迅、もう部屋まで来たのに、まさか私を拒むつもり?私が欲しくないの?」迅は全身が火に焼かれているように熱く、骨の中を無数の蟻が這い回っているような感覚で、堪え難い苦しみに襲われた。そんな中、茜の女性的な体が彼に密着し、落ち着きなく動く手が、その苦しみを和らげてくれるように思えた。「私、本当に迅のことが好きなの。今夜、絶対に気持ちよくさせてあげるから、しようよ」茜は吐息に甘さを含ませながら、さらに誘惑を強めてきた。迅は身を翻し、艶やかな桃の花のように美しい茜を見つめた。確かに茜は美しい。実際のところ、今まで彼の周りにいた女性たちは皆、美人ばかりだった。茜の手が彼の端正な顔に触れた。「迅……」迅は彼女の手を拒まず、逆に彼女を抱き上げ、ベッドに向かって大股で歩いて行った。茜は柔らかいベッドに放り投げられ、そのまま迅の首に腕を回して一緒にベッドに引き込んだ。「迅、シャツを脱がせてあげる」茜は迅のシャツのボタンを外し始めた。だが、迅はそれを制止し、真っ赤になった目で茜を見つめた。「……先にシャワーを浴びてくる」茜「迅、一緒に入ろうよ」迅「……俺が先に行く」茜は体を翻して彼をベッドに押し倒し、思い切って彼の上に跨った。「迅、行かないで。今はあなたに離れてほしくないの」迅の喉仏が上下に動き、彼は手を伸ばして茜を自分の方へと引き寄せた。二人の顔が急接近した。茜の心は激しく高鳴った。こんなにも近くで迅と接するのは初めてだった。彼の野性的な顔立ちは彼女の心をドキドキさせ、茜は顔を下げて彼の薄い唇にキスをしようとした。しかし、迅の唇に届く前に、茜は首筋に鋭い痛みを感じた。迅が手を伸ばして彼女の首筋を手刀で打ったのだ。茜の視界が真っ暗になり、そのままベッドに倒れ込んだ。彼女は意識を失った。迅はベッドの上に座り直した。全身が灼けるように熱いが、理性はまだ失っていない。特に、さっき茜が彼の上に跨った時、頭に浮かんだのは佳子の小さな卵型の顔だった。彼女も、かつて同じように彼の上に跨ったことがある。迅は今、佳子に会いたくなった。外には黒服のボディーガードたちが見張っており、迅は外に出ることもできない。ボスと正面から対立するわけにはいかないのだ。彼はベ
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