Semua Bab 生きた魔モノの開き方: Bab 81

81 Bab

エピローグ

 撮影が終わると、ネイヴァンは転移魔法で帝都へと帰っていった。 午前十一時。十二時のランチタイム開始まで、あと一時間。 「イオルク、冷凍室から牛のヒレ肉を取ってきてくれないか」  食材の準備をしていたエルドリスに頼まれる。僕は別に『エルネット』の調理助手《アシスタント》ではないのだが、土曜日で時間もあるし、断る理由もないので手伝うことにする。  キッチンの隅には、鈍い光沢を放つ金属製のドアがある。以前にネイヴァンとこの店に不法侵入したときには、施錠されていて開かなかった。それをこじ開けようとするネイヴァンを慌てて止めたのも、今ではいい思い出だ。エルドリスには言えないが。  今は開錠されているドアを開けて、地下へと続く階段を下りていく。あの不気味な館と同じで、このレストランも魔導冷凍庫とは別に、長期保存用の冷凍室を地下に持っているという。  最下部へたどり着くと、また金属製のドアがある。それを開けた途端、氷点下の冷気が一気に流れ出てくる。  僕はヒレ肉を探して棚の間を歩いた。  あっ、と思った時にはもう、床に流れ出た水が凍っているのを踏んでいた。つるりと滑って近くの棚にぶち当たる。  ガタンッ、ガタタ 「あいっ……たた」  ドサッ  棚の最上部から革袋が落ちてきた。重い音がしたが、中身は何だろうか。 卵や瓶など、割れモノだったら大変だ。 中身の無事を確かめるべく、僕は革袋を覗く。  言葉を失った。  それは――若い男の生首だった。苦悶の表情を浮かべたままカチカチに凍っている。 「何をしている」  
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-26
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