「最近ずっと樹くんとご飯食べてなかったじゃない。寂しいなって気づいたの。それに、体調悪いときは一緒にいた方がいいなって、すごく思ったの」「そこは迷惑かけちゃったけど」「ううん。たまには私のこと頼ってほしい。頼りないかもだけど、私、樹くんの彼女でしょ」ニコッと微笑む姫乃さんは、いつもの自信なさげな彼女ではなくて。なんだかその瞬間、本当の恋人同士になれた気がした。今までの姫乃さんも大好きだったけど、もっと好きになったというか、愛おしいってこういうことなんだなと身を持って教えられたような、そんな気分だ。「ありがとう姫乃さん。すごく甘えたい気分」「いいよ。何でも言って」「ぎゅってして」「えっ?!」とたん、姫乃さんはぼぼっと頬を赤くする。そんな反応は、いつもの恥ずかしがり屋の姫乃さんだなと笑みが漏れる。でも、すっと立ち上がった姫乃さんは俺の横に来ると、優しく包み込むように抱きしめてくれた。ふわっと鼻をくすぐる甘い香りに、とてつもなく安心する。こんなにも、心安らぐ存在だなんて思わなかったな。「さて、仕事行きますか」「なんで。樹くんは今日は休みなさい」普通に叱られてしまった。なんかそれも、嬉しかったりする。俺、やばいかな? 姫乃さんにどっぷり浸かっている気がする。でもまあ……、いいか。幸せってこういうことなのかな。
Last Updated : 2025-09-11 Read more