1週間後の日曜日。ついに、亜嵐くんと出かける日がやって来た。今日は朝から、雲ひとつない快晴。伊月くんとの買い物を除いて、同級生の男の子と二人で学校以外のどこかに出かけるのが初めての私は、たとえ相手が亜嵐くんでも意識してしまう。一応羽衣にこのことを報告すると、『良かったじゃない。あの亜嵐くんに、デートに誘われるなんて!』と言われた。羽衣いわく、亜嵐くんは校内で伊月くんの次に人気の男の子らしい。『これは、元カレの佐野くん以外の男の子にも目を向ける良い機会だよ。当日は可愛く着飾って、このチャンスを絶対モノにしなよ!』とまで言われたから。今朝は羽衣に言われるままに、準備をした。白のブラウスに、パステルイエローのスカート。普段は下ろしたままのストレートの黒髪も、今日はゆるく巻いてみた。家を出て待ち合わせ場所へと向かって歩いていると、ふわりと吹いた風でスカートの裾がひらりとなびいた。「陽菜ちゃん!」待ち合わせの駅前に着くと、私に気づいた亜嵐くんが手を挙げた。「ごめん、待った?」「ううん。全然」亜嵐くんは私を見て一瞬目を大きく見開いたけど、すぐに笑顔になる。「今日の陽菜ちゃん、いつにも増して可愛い!」「そ、そう?」お世辞かもしれないけど、ストレートに言われると照れるな。「ていうか……」亜嵐くんが眉をひそめ、私の隣へと視線を移す。「なんで佐野が、ここにいるんだよ!?」そう。家を出ようとしたら、私のあとを伊月くんがついてきちゃったんだ。「なんでって、単純に兄として妹が心配だからだよ」今にも噛みつきそうな勢いの亜嵐くんに対し、伊月くんは平然としている。「大切な妹が長谷川に手を出されでもしたら、大変だからな」「はあ?意味分かんないんだけど」“大切な妹”か。そう言ってもらえるのは、有難いけど……嬉しいような、ちょっぴり切ないような。「もし三人が嫌なら、陽菜は連れて帰るけど?」「くっ、分かったよ。佐野も一緒でいいよ」亜嵐くんが渋々了承し、私たちは急遽三人で出かけることになった。まず最初に向かったのは、映画館。「はい」映画館に入ると、亜嵐くんからチケットを渡された。「この映画、陽菜ちゃんと一緒に観たいなと思って、予約しておいたんだ」チケットに書かれたタイトルは、最近泣けると話題の恋愛映画だった。「陽菜ちゃん、この映画で良かっ
Last Updated : 2025-05-28 Read more