初めて前世の自分を取り戻したのは、小一の時だ。 夢に見た過去に「忘れてた!」と飛び起きて、ワクワクしたのを覚えている。『運命が貴方を導いてくれるわ』 転生前、ルーシャにそんなことを言われた。だからきっと先に行った三人は近くにいると思ったのに、現実というのはうまくいかないもので、誰とも会えないまま月日だけ流れていく。 咲に運命の兆しが見えたのは、小四の時だ。 春に中学を卒業する姉の凜に合わせて、父親が家を建てると言い出した。 広井町の狭いマンションを出て、『豪邸を建ててやる』と豪語した時はまさかと思ったけれど、その場所を聞いて納得した。広井町から三駅も離れたド田舎だったからだ。広井町とはまるで違う環境に母親と凜は反対したけれど、咲は大賛成だった。 きっとそこにリーナたち三人がいると信じていた──のに。「誰も居ないじゃないか……」 小五になったばかりの転校初日、咲は黒板の前で挨拶し、愕然とした。 咲は魔法使いではないけれど、リーナを見間違えない自信はあった。長い付き合いのアッシュも気付けるだろうと思っていたし、嫌な奴ほど間違えないという理屈でラルも分かるつもりだった。 なのに、たったの十人しかいない同級生の中にその三人は誰一人と居なかったのだ。 ただ田舎に引っ越して来ただけの状況に言葉を失って、何も言えずに俯いていると、「ずっげぇ可愛い!」 教室の後ろで、一人の男子が声を上げた。ちょっと意識の高そうな、いわゆる『カッコつけ男子』だ。不快感を示す女子の視線に、彼のポジションがなんとなく理解できる。 だいたい可愛いなんて褒め言葉は、咲にとって「おはよう」と同じくらい聞き慣れたものだ。そんな軽い言葉では、どん底に落ちた咲の気持ちを浮上させることはできない。 今日は転校初日という事で張り切った凛が早起きして支度してくれたのに、何だか空しくなってしまう。焦りと孤独に押しつぶされそうだった。 日本への転生は、向こうで死んだ順だと咲は思っている。 最初にアッシュたちが崖を飛び降りてからヒルスが火炙りになるまでの期間は八ヶ月。咲の誕生日は十二月で、逆算するとアッシュたちはギリギリ四月生まれになる。 何かのズレで学年が変わってしまったのかもという望みをかけて六年生の教室も覗いてみたが、その姿を見つけることはできなかった。 呆然とした帰り道、後ろ
Last Updated : 2025-09-28 Read more