庭の方から「なんだって?!まさか、そんな……!」「侯爵家はどうなるの?!」という使用人たちのざわめきが聞こえてきた。邸に残された使用人たちも騒ぎに気付いたようで、急にバタバタと慌ただしくなった。罪のない使用人は全て外にいるはずだ。ということは、ここに残るのは侯爵の息のかかった罪人ばかり。「父上、そこの豚を頼みます」「いわずもがなだ」廊下に出ると同時に念話でアスナに指令を飛ばす。「アスナ、エリオットに外の使用人を纏めておくように伝えろ。お前はエリオットの護衛に兵を呼ぶよう伝えろ。一網打尽にするぞ」「俺のご主人様は人遣いが荒いなあ。後でまた褒美の追加な!」「好きなだけやろう。さっさと行け!」「はいはい」そして邸をまるごと「内側から開かぬよう」閉鎖。音の響くホールの真ん中に立ち、邸中に声を届かせた。「聞け!クレイン侯爵の王家への反逆が確認された!そのため、この屋敷はこのアスカ・ゴールドウィンが掌握した。クレイン侯爵の妻、息子、使用人、すべての身柄はこのアスカ・ゴールドウィンが預かった。皇太子であるレオンハルト殿下の許可もいただいている。理解したのであれば、速やかにこのホールに集まれ。遅れたものは反逆に加担していたものとみなす。いいか!今から30秒やる。カウント開始だ!1、2、3………」悲鳴のような声があちこちから聞こえ、あらゆる方向から使用人が集まってきた。あるものは怯え、あるものは怒り、あるものは途方に暮れ……。その表情も様々である。「集まったものから床に両手をついてしゃがめ。異論は聞かぬ。口は閉じていろ」最後に侯爵の妻と息子を庇うようにして、執事が姿を見せた。「ゴールドウィン様、いったい何事あらせられますか?ご主人様はどちらに?」庇われた豚の親子はといえば、慌てて連れ出されたのだろう、まだ事態をよく理解できていなかったようだ。使用人たちが集められ床にひれ伏しているというあり得ない状況に、驚愕を隠し切れない。「おい!貴様、ここはクレイン侯爵家だぞ!いくら格上の公爵家の嫡男といえど、横暴がすぎるのではないか?」長男らしき豚が食って掛かってきた。なるほど、親ほど肥え太ってはいないが、肥大した自尊心がその外見から見て取れる。身体はそれなりに鍛えられてはいるようだが……邸の中だというのに無駄にキラキラと装飾だらけの
Last Updated : 2025-07-08 Read more