俺の話を全て聞いた父上は、言われた内容を噛み締めるように、しばらくの間、黙って俺を見つめていた。そして俺にこれだけを言った。 「私が聞きたいことはひとつ。ゲームとやらのお前は断罪されると言ったな。ここはそれとは似て異なる世界だと分かったというが……。もうお前に危険はないという解釈でいいのか?」「ようやく分かったわ。あなたが私たちと距離を置いていたのは、あなたが断罪される可能性を心配していたからなのではないの?こうして話をしてくれたということは……もうその心配はないのね?」「……お二人とも、それ以外に聞きたいことはないのですか?そもそも俺の話しを全てそのまま信じると?」「当たり前だろう。疑う理由などないのだから。ああ、どうせお前のことだ、私たちが巻き込まれることを心配してこれまで隠してきたのだろう。言っておくが、無駄なことだ。お前だけをみすみす断罪させるような間抜けな親になるつもりなど、もとよりないのだから。他に何か心配があるのならば話せ。我々は家族なのだから」 眉唾物の話だったのに、俺の話したことの一切を、真実だと疑いもしない二人。俺に向けられるその眼差しは、ひたすらに息子の安否を案じるもの。俺が距離を置いていることに気付いていたのか。それでも見守っていてくれたのか。そのうえで、どんな時も俺と共にあると言ってくれるのか。 そんな二人だからこそ、俺は怖かった。 そう、俺がこの話をするのをためらっていたのは……二人に信じて貰えないと思ったからだけではない。巻き込みたくなかったこともあるが……それ以上に、俺が「本物のアスカではない」と父上と母上に拒否されてしまうのが怖かったからだ。ゲームの世界に本来存在していたはずのアスカの魂を
Last Updated : 2025-05-19 Read more