朝。「うーん」ベットの中で背伸びをしてから隣を見ると、渚がいなかった。 サイドテーブルの上のスマホに手を伸ばし時刻を見ると、朝の7時。 出来ればもう少し眠りたいところだけれど・・・「樹里亜、ご飯出来たぞ」キッチンから聞こえた渚の声で、私も体を起こした。「痛っ」立ち上ろうとして、腰に痛みがはしった。 そういえば、昨日の夜久しぶりに・・・ あっ。 私、避妊の薬を飲んでない。 でも、今までだって大丈夫だったしね。 この時の私には間違いなく過信があった。寝室から出ると、リビングまでお味噌汁のいい匂いが漂っている。「おかずは納豆と目玉焼きしかないから」 「うん」出汁からとった手作りのお味噌汁があればそれで充分です。 私一人なら、菓子パンかシリアルで終わってるところだけど、なぜか渚はお味噌汁がないと納得しない。 きっと、毎朝出汁をとって味噌汁を作ってくれるお母さんに育てられたんだろう。 私には、無理だわ。「どうした?食べないの?」 「ううん。いただきます」ご飯だって高いお米を使っているわけではないのに、昨日のうちに研いでざるに上げてあったから、とってもふっくら美味しく炊けている。「いつも通り、美味しい」 「うん」 満足そうな渚。これだけこだわりのある人の奥さんになるのは、正直大変だと思う。プルル プルル 珍しく、朝から私の携帯が鳴った。 ん?急変かな? こんな時間にかかってくるのは、受け持ち患者の急変のことが多い。「もしもし、竹浦です」 『樹里亜?大樹だけど』 「どうしたの?」 『お前、本当にお見合いする気なのか?』 「いきなり何?」どう考えても、朝7時に電話する話とは思えない。『本当に付き合ってる人はいないのか?』 「・・・」嘘
Terakhir Diperbarui : 2025-05-11 Baca selengkapnya