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Semua Bab 満天の星: Bab 31 - Bab 40

58 Bab

SIDE 大樹②

通されたのは、樹里亜と高橋渚の暮らすマンション。「どうぞ」玄関を開ける態度にも腹が立ち足が止まった。「人目がありますから、中に入ってください」エントランスでの騒ぎを聞きつけた住人がチラチラとこちらを見ているのに気づき、俺も部屋へと入ることにした。「座ってください」部屋に入ると、今度はソファーをすすめるこの男は、何でこんなに落ち着いているんだ。「いつからここに住んでるんだ?」「3年前からです」「一体いつから付き合っているんだ」幾分怒気を含んで、俺は睨んだ。「研修医になった頃から同居をしています」そう言うと、彼はゆっくりと床に膝をつき両手をついた。「今まで、黙っていてすみませんでした」深々と頭を下げる高橋渚。土下座って・・・「止めろ。そんなことされたら、俺が悪者みたいだ」本当はもっともっと言いたいことがあるはずなのに、彼を見ていると言えなくなってしまう。それはきっと、彼の潔い態度のせいだと思う。逃げようとも、誤魔化そうとませず、言い訳もしない。俺の知っている高橋渚はそんな人間だ。「で、樹里亜と何があったんだ?」「何と言われても、僕にも心当たりがないんです」「そんなわけないだろう。じゃあ、樹里亜はどこに行ったんだ」「・・・」高橋渚は黙り込んだ。樹里亜がひとり暮らしを始めて以来、「ちゃんとやっているから、放っておいて」というのを信じてここには来なかった。こんなことなら、押しかけてでも来ればよかった。まさか、男と同棲していたなんて・・・「カルテは見られたんですか?」「いや、ダメだった。お前こそ、本当に心当たりはないのか?」「俺にはありません。竹浦先生こそ」「大樹でいいよ。名字で呼ぶな」「じゃあ、大樹先生。樹里亜の行き先に心当たりはないんですか?」「お前が分からないのに、俺が知っていたらおかし
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-31
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美樹おばさん

東京に着いた私は真っ直ぐ美樹おばさんの家に向かった。「で、何があったの?」「えっと・・・」とりあえず入りなさいと家の中に入れてもらい美樹おばさんと向き合ったものの、一体どこから話せばいいんだろう。渚のことを話すわけにもいかないけれど、妊娠のことは黙っていても分かってしまう。しばらく悩んでいると、おばさん家の電話鳴った。「もしもし・・・うん。・・・うん。分かった。来たら知らせるから」電話を切ったおばさんが私を見る。「大樹からよ。樹里亜が来たら知らせて欲しいって。あなた、何したの?」「それは・・・」何と言われても、一言では言い表せない。「ただの兄弟喧嘩ではなさそうね」おばさんの目が真っ直ぐ私を見ている。「実は・・・妊娠、したんです」「はああ?」おばさんは口を開けたまま固まった。「妊娠って・・・結婚は?」「・・・しません」「しませんって、結婚できないような人との間に子供が出来たって事?」「まあ、そう言うことです」「ふざけないで!命を何だと思っているの。それでも医者なの」珍しく怒鳴られた。そして、おばさんの言うことは正論で、私は何も言い返せなかった。美樹おばさんは40代の独身産婦人科医。今は不妊治療を専門にクリニックを開いている。普段、子供が欲しくてもできない人達の苦労を見ているおばさんだからこそ、「できてしまった」と逃げ込んできた私に怒ったんだと思う。「で、どうするの?」私を見る美樹おばさんの顔が険しい。「できれば生みたいけれど、自分の体のこともあるのでちゃんと考えたいんです。その為に、逃げてきました」私だって、子供ができたのは嬉しい。それも、渚の遺伝子を受け継ぐ子。きっとかわいいだろうし、考えただけでワクワクしてしまう。不謹慎にも、私はニヤニヤと笑ってしまった。「もう、なんて顔しているの」おばさんの呆れた
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-01
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告白

東京へ来た日の夕方からガンガンと入ってくる着信。大樹も、渚も、5分と開けずにかけてくるから、きっと大騒ぎになってることだろう。本当なら状況を知りたいが、今はそれもできない。私は電話に出る勇気がないまま、夜を迎えた。そして、かかってくる電話には完全無視を貫きながら、私は別のところに電話をかけた。『もしもし』短いコールで、母が出た。「母さん」『樹里亜、どうしたの?』心配そうな声に変わる。「赤ちゃんが、出来た」『・・・』この沈黙が、怖い。『すぐに帰ってきなさい』「今は帰れない」『帰れないって、どこにいるの?』「ごめん、言えない」『何考えてるのっ!』やはり、叱られた。普段大きな声をあげることのないことのない母なのに・・・『いいから、すぐ帰ってきなさい』「・・・ごめんなさい」クスン。『樹里亜、泣いているの?』「ちょっとだけ時間をください。ちゃんと帰るから、考える時間を・・・」それ以上は言葉にならなかった。しばらく言葉が出ないまま沈黙が続いた後、随分と考え込んでいた母が小さく息をついた。『ちゃんと帰ってくるのよね?』「うん」『分かったわ。その代わり2日に1度は連絡しなさい。病院にも行きなさい。そして、ちゃんとご飯は食べなさい。分かった?』「はい」『じゃあ、父さんは止めておくけれど。長くは無理よ』「はい」分かっています。「ごめんなさい、母さん」ついこの間20数年来のわだかまりがとれたばかりなのに、また心配をかけてしまった。本当は親孝行してうんと仲良くしたかったのに・・・私は、涙が止まらなかった。***日付けが変わる頃になって、普段は滅多に
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-02
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SIDE 渚

樹里亜がいなくなった日、俺は深夜まで大樹先生と二人で何を話すわけでもなくただ顔をつきあわせていた。もちろん、その間にも樹里亜に電話し続けるが、繋がらないままだった。気がつけば、時刻は0時を回った。「帰らなくていいんですか?」別に他意はなく、日付が変わりますよと言ったつもりだった。「帰って欲しいのか?」「別に」この人はこのまま居座るつもりだろうか?まだ俺が何か隠しているとでも思っているのか?珍しく、俺も苛立っていた。その時、プププ  プププ大樹先生のスマホが鳴った。「もしもし」不機嫌そうに出る様子に、もしかしてと身をに乗り出した俺。「下の妹だ」俺の反応を見た大樹先生が、電話から一旦顔を離して説明してくれる。「うん。・・・うん。で、母さんは?えっ・・・わかった、もうじき帰る」表情を凍りつかせたあと、大樹先生は静かに電話を切った。どうやら何かあったようだと緊張する俺に、大樹先生が黙って俺に近づいてくる。そして、俺の襟元をつかみ、締め付けた。「バカヤロウッ」怒鳴りつける大樹先生に、状況が理解できない俺はただされるがままでいた。「お前、樹里亜の病気のことは知っているよな」「ええ」ずっと付き合ってきた病気だ。一緒にいて知らないはずがない。「今、体調がよくないのも分かっているよな」「ええ」当たり前じゃないか、だからこんなに心配しているんだ。「だったら、だったら何でっ」唸るように言い、放り投げるようにして俺をソファに飛ばした。「一体どうしたんですか?説明してください」精一杯平常心を保ちながら、俺は尋ねた。「妊娠・・・したらしい」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-03
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隠れ家 ①

翌日、美樹おばさんに連れてやって来られた乳児院は、生まれたばかりの赤ちゃんから5歳くらいまでの子供達が保護されている場所だった。みんなそれなりに事情を抱えた子供達だけど、とってもかわいい。「こんにちは」職員さん達も優しい笑顔で迎えてくれた。「樹里亜さんはドクターなんですよね?」院長代理の豊(ゆたか)さんが尋ねた。「はい。駆け出しの救命医です」通常、乳児院と言えば公の機関。でもここは、豊さんのお爺様が私費を投じて創設して施設だそうだ。現在は豊さんのお母様が院長だが高齢で体が動かなくなり、今は豊さんが院長代理を務めている。「樹里亜、シェルターも見せてもらう?」「は、はい」美樹おばさんに促され、私は乳児院に隣接する建物へ向かった。***「ここは逃げてきた女性が避難する場所です。一般的にはシェルターって呼ばれます」シェルター。そう言われると、周りの女性をジロジロと見るのが悪い気さえする。「樹里亜さんも、しばらくここにいるといいわ」案内してくれた女性、みのりさんが荷物を運んでくれる。みのりさんは美樹おばさんの高校時代からの友人で、先ほど挨拶した豊さんの妹さん。すでに沖縄に嫁いでいるが、院長であるお母様の介護のために実家に帰省中らしい。「ご迷惑かけてすみません。よろしくおねがいします」簡単に片付けをすませて、私はみのりさんに挨拶をした。「こちらこそ、ドクターがいてくださると助かるわ」「いえ、大したことはできません」医師免許があるからと言って、どこでも何でもできるわけではない。勤務地が変われば、保険医の登録も麻薬処方許可の申請も、各都道府県にしなくてはいけない。そんなことが逃げている私にできるわけもなく、結局今の私には何もできない。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-04
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隠れ家 ②

とりあえず住む所を見つけ一段落した私は、庭の片隅にあるベンチに座りポケットから携帯を取り出した。そう言えば、部長に電話しなくちゃいけない。事情があるとはいえ、姿を消すのは卑怯な気がするから。プププ プププ。緊張のせいか電話を持つ手が震える。きっと怒っているんだろうなと思うと、コールする間も胸のドキドキが止まらない。『もしもし』不機嫌そうな声。「竹浦です。突然ですみませんが、しばらく休職をお願いします」前置きも何もなく一気に伝えたが、不思議なことに部長も驚いた様子はない。『院長は知ってるのか?』「多分、母が話したと思います」『はぁー』部長の溜息が聞こえた。『知らないぞ。お前、殺されるぞ』本当に、医者らしくないことを言う人だ。でも、そこが嫌いになれない。「休職届はデスクに入れてありますから」私はすでにカルテも整理して、届け出の書類も作成済みであると伝えた。『そんなものまで用意していたのか・・・』などと、ブツブツ言う部長。『どうなっても、俺は知らないからな』捨て台詞のように言われたが、私だって覚悟はしている。「迷惑をかけてすみません」見えないとわかりながらも頭を下げ電話を切ろうとしたとき、部長は穏やかに口を開いた。『みんな待ってるから、いつでも戻ってこい。いいな』「・・・はい」その言葉に、涙が溢れ出た涙が止まらなかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-05
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隠れ家 ③

私のシェルターでの生活が始まった。妊娠の経過は産婦人科医である美樹おばさんに診てもらい、自分の病気については乳児院に提携している近くの医院で薬の処方と検査をお願いした。「樹里亜さん。朝の薬は飲んだ?」「はい。飲みました」今日もみのりさんが声をかけてくれる。母に言われたら、「も-、飲んだわよ」って言うだろうけれど、ここでは素直に返事ができるのが不思議だ。「愛弓ちゃんも、今日は受診だから早く用意してね」「はーい」食べかけの朝食をもてあましながら、愛弓ちゃんも返事をした。愛弓ちゃんは14歳の女の子。小さい頃からお母さんは留守がちで、いつもひとりで育ったらしい。そのせいか朝からきちんと食事を取る習慣がなく、彼女にとっては朝食のお味噌汁とご飯が苦痛なんだそうだ。「残していいですか?」かなり頑張っていた愛弓ちゃんが、みのりさんに助けを求めた。「仕方ないわね」ほぼ半分ほど食べた朝食を見ながら、みのりさんがOKを出した。「ごちそうさまでした」私と愛弓ちゃんは、2人で声を合わせた。***「愛弓ちゃん、どうぞ」妊婦健診のために訪れた美樹おばさんのクリニック。もうすぐ臨月の愛弓ちゃんも一緒に診察を受ける。「樹里亜さんは、初めての妊娠よね?」愛弓ちゃんの受診を待っている間、付き添いのみのりさんが尋ねた。「え、ええ」事情があってここにいる以上私もどこまで話していいのか分からないし、みのりさんも遠慮している感じだ。「みのりさんは、介護の為に帰省しているんですよね?」話題を変えたい気持ちと、凄くお世話になってしまい申し訳ない思いもあり尋ねてみた。「母の介護で帰省中なんだけれど、実際のところ別居みたいなものなのよ。子供も2人とも家を出ているし、主人も忙しい人で、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-06
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東京に来て1週間ほどが過ぎた。幸い体調もよく、赤ちゃんも順調。もしかしたらこのまま妊娠が続けられるかもと思えるようになっていた。すでに妊娠がわかったときのような迷いはなく、どんなことがあっても赤ちゃんは産むと決心した。たとえ私ひとりで育てることになったとしても、この子は手放さない。しかし、そうなれば気になるのが渚のこと。子供の父親は渚なんだから、ちゃんと伝えて話をする義務があるように思えた。もちろん不安はある。元々、渚は結婚も出産も望んではいなかった。私は何度も携帯を握りなおしながら、悩んでいた。そして、渚の携帯へ・・・ピッツ、やっと電話かけた。『もしもし。樹里亜?』コール音を聞くこともなく、渚が出た。「渚・・・ごめん」『嫌だ。許さない』やはり怒っている。でも、困るでしょ?子供なんて出来たら、あなたが困るでしょう?そう言いたくて言えなかった。「ごめん。赤ちゃんができたの」『何で謝るんだよ』「渚は、大丈夫なの?」『何が?』「突然子供なんかできて・・・困るでしょう?」きっと、今頃病院では大騒ぎになっているだろう。もしかして渚に迷惑が・・・『ふざけるなっ。俺は、そんなに頼りないのか?』「そんなことない」『じゃあ、なぜ逃げる?』「それは」あなたの負担になりたくない。ただ、それだけ。それ以上の意図はない。『今どこにいる?』「・・・」言えない。『なあ、俺を信じろ。お前が嫌な事はしないから』「でも・・・」会ってしまえば、きっと渚に甘えたくなってしまう。『まず会って話をしよう。顔を見ないと安心できない』渚の言う事はいつも正論。だ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-07
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再会の嵐 ①

7月初め。まだ梅雨の名残が残る曇天。今日は、渚が東京にやって来る日。私は最寄りの駅まで1人で向かい、到着を待った。どこ間のカフェで待ち合わせることも考えたけれど、いきなり二人っきりで会うのが怖かった。突然黙っていなくなった私のことを渚がどれだけ怒っているかと思うと、人が多いところの方が安心できると思えた。もちろん、美樹おばさんもみのりさんも一緒に行こうと言ってくれたけれど、断わって一人で来た。自分のとった行動の責任はとらなくてはいけないし、ちゃんと渚と向き合わないといけない。それでも不安な私は約束の時間よりも30分も早く駅に着き、行き交う人の波を見ながらどんな顔をして渚に会おうかと考えていた。・・・5分。・・・10分。・・・15分。あー、緊張する。待つって、こんなに時間がたたないものだったっけ。・・・20分。...25分。そろそろ、渚の乗った電車が到着する時間。私は駅の待合に座り、改札を出てくる人達を見つめていた。そして、約束の時間ちょうどに渚は現れた。「渚」すぐに目が合ったけれど、私は立ち上がったっきり足がすくんで動けなくなった。ツカツカと近づく渚。私の心臓は大きく鼓動を打つ。「樹里亜」目の前まで来て立ち止まった渚は、真っ直ぐに私を見て名前を呼んだ。次の瞬間涙が溢れ、私は彼の肩に頭を乗せた。「バカヤロウ」絞り出すような言葉。「ごめんなさい」必死に涙をこらえながら言った。「嫌だ。許さない」渚も涙声になっている。私は渚に手を回し、渚もギュッと抱きしめてくれた。私達はどの位そういていたのだろうか、懐かしくて、心地よくて、できることならずっと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-08
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再会の嵐 ②

私達は、15分ほどかかる道を無言で歩いた。話したいことはたくさんあるのに、気持ちが溢れてしまって言葉にならなかった。「ここよ」美樹おばさんの家の前で、私は立ち止まる。へー。と渚は不思議そうな表情をした。「ただいま」「お帰り。いらっしゃい」玄関を開けると、美樹おばさんが立っていた。「お邪魔します」渚も頭を下げた。「まあ、上がりなさい」勧められて上がった美樹おばさん家のリビング。美樹おばさんと向かい合って、私と渚が並んで座った。「で、君がお父さんなの?」いかにも医者らしく、事実関係を確認するおばさん。「はい。高橋渚と言います。この度は、樹里亜がお世話になりました」「お世話はいいのよ。かわいい樹里亜のことだから。問題はそこじゃないでしょう?」うわー、美樹おばさんが怖い。「君は、医者なのよね?どうしたら子供ができるか知らないわけでもないでしょう?樹里亜の病気のことだって、分かっているのよね?」たたみかけるように、おばさんは詰め寄る。「おばさん。彼は妊娠を知らなかったのよ。それに、ちゃんと避妊薬を飲まなかったのは私の怠慢で」何とか口を挟もうとしたけれど、「あなたは黙っていなさい」ぴしゃりと言われ、仕方なく口をつぐんだ。「おっしゃる通り、子供は僕の子ですし、樹里亜の体のことを考えればもう少し気遣いがあるべきだったと思います。何より、樹里亜を不安にさせて、逃げ出させてしまった責任は僕にあります。ご心配をかけてすみませんでした」渚はテーブルの両手をつき、深々と頭を下げた。「渚・・・」また涙が溢れだす。今日の私は涙腺が緩みっぱなしだ。「なんだ、分かっていればいいのよ」渚の態度に安心したのか、美樹おばさんはお茶を入
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-09
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