その後二人っきりになったリビングで、渚がなにやら考え込んでいる。「なあ、樹里亜」「何?」「お前は、ここに隠れていたんだよな?」え、何を突然。「ここは美樹おばさん家なの。逃げてきたのはここだけれど、ここにいたらすぐに見つかるからって、近くの乳児院にお世話になっていたの」「乳児院?」「そう。言わなかったっけ?」渚に連絡をとるようになってからは、日々メールのやりとりをしていた。だから、伝えたと思っていたけれど・・・なぜだろう、渚の顔色が真っ青になっている。「どうしたの?」「実は・・・」「こんばんは」その時、玄関から声がした。あっ、みのりさんだ。そう言えば、『仕事が片づいたら、彼氏の顔を見に来るわ』って言っていたから。私は立ち上がり、玄関に向かった。「みのりさん、こんばんは」玄関まで出て挨拶をすると、すでに美樹おばさんと話し込んでいる。あれ?渚が出て来ていない。変だなと思いながらも、この時はまだ気にしていなかった。その後、美樹おばさんと私とみのりさんが一緒にリビングへと入る。すると、渚は立っていた。まさに直立不動。ん?何だろう、この違和感。「こんばん・・・」言いかけたみのりさんの言葉が止まった。そして、睨むように渚を見ている。「みのり、どうしたの?」美樹おばさんの不安そうな顔。「樹里亜さん。この人が、赤ちゃんのお父さんなの?」怖いくらい真面目に、みのりさんが聞く。「はい」「この人のせいで、あなたは逃げてきたのよね?」「ええ。まあ」この間もみのりさんは渚を睨んだまま。「みのり、どうしたの?」
Terakhir Diperbarui : 2025-06-10 Baca selengkapnya