「……偶然ですからね」 「分かってるよ流石に。で、全員で行くのか?」 「いえ……イクテュス、特に王がまた来るかもしれませんので最低限の戦力は、半分ほどは残しておかないともしもの場合壊滅的な被害が出てしまいます」 イクテュスだけでなく件のヘドロのせいで思うように戦力が割けない。分断はあまりしたくないが、しないという選択を取った場合のリスクがあまりにも大きすぎる。 「翠が居るなら、アタイと橙子は行かせてほしい。頼む」 「……分かりました。では念の為、不足の事態の場合を考え生人さんも同行してください」 「構わないけど、ここからその場所まで何分くらい?」 「最低限走れる車がありますのでそれを使って……十五分程。向こうの動向次第で変動すると思いますが……」 「それだけあれば大丈夫」 先程から生人君は長方形の機械をガチャガチャ弄っており、床には地球上のものとは微妙に違う工具が散らばっている。 「あ! それってこの前川で見せてくれた昔使ってた変身装置ってやつ!?」 「あーうん……そうだよ」 「あれ? でもそれって今の生人君の身体じゃ使えないんじゃ……?」 「い、いや改造して短時間だけど使えるようにしてて……後は車の中でパパッとやるよ。翠がいつ動くか分からないし、早く行こう!」 腕を触手に変えパパッと工具を拾い上げてまとめる。 「連絡してありますので三人は校門に着けさせておいた車までお願いします」 「じゃ、またな……みんな」 健橋先輩は部屋を出ていく前に、最後にみんなの顔を見回す。その先に波風ちゃんが映った瞬間目に見えて悲しそうな表情をする。 「ごめんなさい……アタシにはもう何も、思い出せない……でも、同じ志を持つ仲間として言わせてもらうわ。またね」 「わたし達も過去にケジメをつけてくる……二人も、悔いがないようにね」 二人はまだ何か言いたげだが、それを堪え部屋を出て校門へと向かっていく。 「ねぇゼリル……」 生人君もそれに続こうとするが、その前にゼリルの元に行く。 「後は……頼んだよ。周りを頼ることを忘れないでね」 「生人……?」 「じゃあね」 ゼリルがその一言に反応するよりも速く生人君は素早く駆け姿を消すのだった。 ☆ 「待たせてごめん!!」 わたし達が車のところまで到着するのとほぼ同時に生人君がす
Last Updated : 2025-10-30 Read more