歩くこと十分と少し。途中そこそこの揺れに襲われながらもなんとか近所の小学校の体育館に入る。 「健橋先輩と橙子さんは?」 「二人はここから遠いし、毒も消えて変身できるから救助活動をしてる。ボクも君達を安全な場所まで下がらせたら参加するようにさっき言われたよ。それくらい人手が足りないんだ」 (さっきは生人君を反逆者扱いしてたくせに……手のひら返してすぐこき使うなんて……) きっと鷹野さん率いる特殊部隊の人達も救助活動に参加しており、そこで手が足りず恥を承知でという流れだろう。 理解はできるがそれでも今の生人君の心情を考えるとあまりに不憫だ。 「じゃ、行ってくるから二人は休みながらキュアリンか鷹野さんからの連絡を待ってて」 生人君は文句一つ言わずにすぐに飛び出して行く。 「た、高嶺……?」 彼のことについて思い悩んでいると背後から声をかけられる。 「朋花ちゃん……!?」 それは私が波風ちゃんを失い気が狂っていた時、手を上げて椅子で殴りつけようとしてしまった相手だった。 「ひ、久しぶり……学校に来ないから何かあったのか心配だったけど……げ、元気そうで良かったよ」 当たり障りのない話をして心配する様子を見してくれるが、どこか怯えた様子だ。前回私があのようなことをしてしまったから。 「待って高嶺は……あ」 波風ちゃんが弁明しようとしたものの、すぐに自分が朋花ちゃんに見えていないことに気づき言葉を詰まらせる。 「朋花ちゃん……」 「な、なに……?」 「ごめん!!」 私は髪を揺らし耳にかかるほど深々と頭を下げて謝罪の意を示す。 「高嶺……? そ、そうだよね! やっぱり前のは何か……事情があったんだよね!」 私は裁判所で罪を自供する容疑者のようにゆっくり首を縦に振る。 「ね、ねぇ……それならやっぱり波風は……それにキュアウォーターとキュアイリオって……」 「朋花ちゃんが思ってる通り……だよ」 波風ちゃんも俯きわたしと似たような表情をする。 「そんな……頑張ってたん……だね。ごめん……高嶺の辛さも知らずにあんなズケズケとみんなの前で聞いちゃって……」 「朋花ちゃんが謝ることなんてないよ!! 寧ろ私が……」 [高嶺! 波風! 聞こえるか!?] キュアリンからのテレパシーが脳内に響き、朋花ちゃんへの言葉が遮
Last Updated : 2025-08-14 Read more