「いっ……てぇ……!!」 一旦近くの公園に退避し、ハンカチで健橋先輩の傷を抑え止血する。 「痛み止めだ……死なないでくれ……!!」 どこかから持ってきたのか、橙子さんは痛み止めを取り出し使用する。神奈子さんの顔色はマシになったものの、危険な状態なことには変わりない。 「お前ら大丈夫か!?」 キュアリンが建物の影から治療スプレーを持って飛び出してくる。 「なっ!? ゼリル何でここに……」 「それは後!! 今こいつは味方だから!! それより健橋先輩を早く!!」 「お、おう……」 納得はせずとも彼女の容態は一目瞭然なので、そちらを優先し治療に当たってくれる。 「ねぇ高嶺……さっきからテレパシーを飛ばしてるのに、生人さんに全く繋がらない……」 治療は難航し、何度も呻き声を上げる健橋先輩の傍ら。波風ちゃんが段々と顔を青ざめさせていく。 「あの子なら治療ができるのよね!?」 「う、うん。でも繋がらないってまさか……」 「いやテレパシー用のブローチが戦闘の際に落としたり砕けただけの可能性がある。まだ希望を捨てるんじゃない」 とはいえ仮に無事だとしてもすぐに合流することは絶望的だ。健橋先輩にはスプレーだけで堪えてもらうしかない。 「はぁ……はぁ……もう大丈夫だ……わりぃ、心配かけた」 十数分後、なんとか健橋先輩の怪我は完治する。しかし痛みはまだ残っているようで足を動かすことはできない。 「すまない……オレが居ながら、王を止められなかった……」 「それより……だ、何でお前達がこいつと一緒に居るんだ?」 「それは……」 私はキュアリンの質問にどう返したら良いか分からず口を閉ざしてしまう。彼から見ればイクテュスを味方につけるなど言語道断、今すぐにでもこいつと手を切れと言い出すかもしれない。 しかし王と再び戦いその実力差を分からされた今、戦力はどんなに少なくても良いから欲しい。それがたとえこいつだとしてもだ。 「生人さんが言ってたんだ、人間とイクテュスは和解するべきだって。その足がかりがゼリルだって」 「お前ら分かってんのか!? イクテュスは今まで民間人を殺し、波風だって……!!」 「返す言葉もない……」 ゼリルは反論すらせずキュアリンから浴びせられる言葉を受け止める。 「とにかく……協力してくれるなら悪いように
最終更新日 : 2025-10-06 続きを読む