「えっ……死んだって、イクテュスに殺されたってことなの……?」 「そうなるのだ。あの時はノーブルとフィリアの二人体制で配信してたのだ」 その頃のことは朧気にしか覚えていないが、二人だけの時期もあったような気もする。それくらいフィリアの記憶は曖昧で頭の中に残っていない。 「フィリア……翠はあまり戦いに向いている性格じゃなかった。僕も途中で辞めるようそれとなく伝えたけど……優しい彼女はほんの少しでもノーブルの力になりたくて……負担をかけたくなくて……それに親友の神奈子に危害を及ばせたくないって断ったのだ」 まるでこの前までの私と波風ちゃんの関係のようだ。翠さんと健橋先輩の立ち位置は。 「二人はキュアヒーローが同種族の希望を力に変換して強くなるっていう仕組みは知っているのだ?」 「そういうのは私も波風ちゃんもキュアリンからしっかり聞いたよ。だから配信して希望を集めてるんだよね?」 「そうなのだ……でももしイクテュスを倒す頻度が落ちて人気がなければ、有限の希望を独占されたらどうなると思うのだ?」 希望の独占。言い方は悪いが恐らくノーブルの方が活躍しすぎていたのだろう。実際に当時の彼女の配信は今でも印象に残っているが、フィリアの方は全く記憶にない。 「希望が集められなくて弱体化するのよね? まさか……」 「そうなのだ。弱ってついには変身道具依存の配信機能も壊れて変身すら維持できなくなって、最後はイクテュスに……橙子も必死に助けようとしたのだ。でも間に合わなかったのだ。そして最悪なことに吹き飛ばされた翠は通りかかった神奈子の前で……」 リンカルは言葉を詰まらせそれ以上何か言おうとはするが喉元で停滞するだけで発さない。 「もういいリンカル。ここからは俺が説明する」 キュアリンがリンカルの背中を摩り下げさせる。 「代わって説明するが、神奈子がキュアヒーローの力を憎んでいるのはそれが原因なんだ。 それにあいつが使っているブローチは……翠が使っていたものだ」 健橋先輩と翠さんを私達と重ねてしまっていたので、想像するだけで胸の奥がキュッと締め付けられる。そして健橋先輩の怒り様に納得してしまう。 「あいつは全てを知り橙子や俺達を憎んで、橙子は自らの罪を受け入れて償おうと、それでもって許されようとはしない。その結果が互いにキュアヒーローを辞
Huling Na-update : 2025-04-29 Magbasa pa