「う、うーん……!!」 ピピピと時計の電子音が鳴り響く。私は時計のアラームを止め珍しく自力で起き上がる。 「ふわぁぁ……なんたか起きれた……」 「おはよう高嶺」 「うわぁ!? な、波風ちゃん!?」 ベッドのすぐ側には波風ちゃんが覗き込むようにして屈んでいた。顔の上半分をベッドの下から覗かせている。 「どうしたの? 今日は私寝坊してなかったよ?」 「アンタは寝坊常習犯だから心配で見に来たのよ。ほらまだ支度あるでしょ? アンタは寝起き悪いんだから手伝うわよ」 「ありがとう波風ちゃん。ごめんね付き合わせちゃって」 「別にいいわよ。それよりまずは早く着替えなさい」 私は事前に準備しておいた山でも動きやすい服に着替える。 「何で波風ちゃんはこんなに私に構ってくれるの? いや別に波風ちゃんのことは大好きな友達だし嬉しいけど気になって」 言葉を選ばずに言えば私と波風ちゃんはかなり性格が違うし、相性も良くないと思うこともある。 波風ちゃんは小言こそよく言うがなんだかんだで十年間ずっと一緒に居てくれるし私のことを気にかけてくれる。 「友達……か。そうね。アンタが危なっかしいから放っておけないのかもね」 「えー酷いよ……もう十四歳だし子供じゃないのに」 「十四はまだ世間的には未成年よ」 「そういうことじゃなくて……むぅ……」 喋りながらも荷物点検などを進めていき予定時刻十分前には家を出れる準備が整った。 「いやーごめんね波風ちゃん。わざわざ来てもらって高嶺を起こしてもらって」 「もぅお義父さん! 私は今日はちゃんと自力で起きたから!」 今日は珍しくお義父さんも同行する。やっと取れた家族の時間で、お義父さんも今日を楽しみにしていて上機嫌だ。 「お義父さん……分かってると思うけど波風ちゃんの家族の前で生き物の話をヒートアップさせないでね!」 「んーっと……気をつけるよ」 お義父さんは研究の話になるといつものゆったりとした口調から豹変しマシンガントークを始めてしまう。波風ちゃんの両親を困惑させてしまったら申し訳ない。 「こっちもたけ兄が偶にやるから問題ないわよ。知識の暴走には慣れてるわ」 「それでも私が恥ずかしいの!」 お義父さんには釘を刺しておき、私達は準備も済んだので車に乗り込む。波風ちゃんは本来向こうの車で行く
Last Updated : 2025-05-08 Read more