ボクの全身を黒色の装束が纏っていく。女の子らしさもありつつも、かっこよさも備えた中性的な服装。ボクにピッタリな衣装だ。 「さぁ……キュアヒーロー、キュアパラサイターの出番だ」 胸元にあるジャラジャラとした宝石を指でなぞり、それで二体のイクテュスを指差す。 「⚪︎φΣρ」 (あの言語……語尾と口元の動きから判断して命令形……?) 色々考えたいが奴が逃げる可能性も考慮し、すぐに思考を取り止め目の前の二体の敵に集中する。 右手からはモグラが牙を剥き出して襲ってきて、左手からは奴が触手を伸ばしつつ迫ってくる。 「こんな感じか……? ⚪︎△φφ∬?」 「っ!?」 何を言ったかはボクも理解していない。見様見真似で適当に喋っただけだ。だが奴は目に見えて動揺する。モグラが一切止まっていないことから知能がある故の弊害が出ている。 「掴んだっ!!」 ボクは触手を両手で掴み、モグラの突進を足で受け止める。 人型は毒をボクの体に流し込むが、特殊な体質のボクには通用しない。奴にとってボクは天敵だ。 「ウィング……!!」 ボクは魔法を唱えこの変身形態特有の能力を発揮する。背中から真っ白な翼が生えボクは空中に浮遊する。 モグラの腕を追加で掴み一気に上昇して奴らを高所へ拐う。 「終わりだ」 ボクは容赦なく彼らを地面に向かって放り投げる。あの速度と高さ。イクテュスといえどタダでは済まない。 だが人型の方は地面に激突する前にモグラを踏み台にして跳んでいき森の中へ姿を消す。 「なっ!! 待てっ!!」 モグラは落下の衝撃でズタボロになる。あとは二人だけでもなんとかなる。ボクは急いで人型を追いかけるが巨大な鳥の嘴がボクの腹を突き刺す。 貫通はせず筋肉で止めたが大きく減速してしまう。 「ちっ……ビーストスマッシュ!!」 ボクは両手にライオンの爪を、足にタカの如き鋭さを持たせる。 鳥型のイクテュスに高速のラッシュを叩き込み全身ズタズタにする。 「ふぅ……」 奴は全身を灰にして風に乗せられて霧散していく。 (完全に逃げられた……) 普通の鳥が一匹こちらに来るが、どうやら彼らも見失ってしまったらしい。 (もしかして動物を使って見張らせてることもバレてるか? だとしたらまずいな……動物達はあくまでも一般的な生物。奴らにバ
Last Updated : 2025-05-16 Read more