Semua Bab 愛も縁も切れました。お元気でどうぞ: Bab 211 - Bab 220

233 Bab

第211話

苑は分かっていた。だがプレッシャーもあった。蒼真は危険な目に遭いながら、最も重要な秘密を苑に打ち明けた。しかも苑一人にしか知らせてはいけないと。これは命を預けるほどの信頼であり、蒼真の両親でさえ及ばない。なのに。蒼真の心の中には別の人がいるのだ。苑は今この時に男女の情愛を考えるのは俗っぽいと分かっていた。だがそれでも抑えきれなかった。天城蒼真は本当に苑を惑わせる!今回のことが片付いたら、苑は二人の関係を改めて見直さなければならない。それに苑が言った三ヶ月の期限ももうすぐだ。蒼真の事件のニュースは半日も経たないうちに消えた。これは誰かが裏で操作しているのだ。波風が立ちすぎると、起こすべきではないものを起こしてしまう。どうやらあの男はやはり恐れているらしい。苑は蒼真の注意を思い出し、心の中では不安だったが、慌てなかった。さらには蒼真の言いつけ通り美穂と街へ出かけ、美桜と一緒にエステに行ったりコーヒーを飲んだりした。これらは当然撮られてネットに上げられ、世間の評価は様々だった。「白石苑、あんたは本当に鉄の心臓だね」琴音からも「お祝い」の電話がかかってきた。「今日初めて知ったのですか?」苑は淡く笑った。苑は蓮と琴音の結婚式を執り行うことさえできたのだ。心が大きくなくてはできるはずがない。琴音は苑の嘲りを無視した。「あんた、本当に自分の旦那様を愛してないのね。私だったらきっと食欲もなくて眠れもしないわ。ましてや街中をうろつくなんて」「だからあなたは私と比べ物にならないのです」苑は琴音の急所を突いた。「あんたって、どうしてそんなに強情なの。良い言葉を一つでも言えば、私が手を貸してあげてもいいのに」琴音は意外にもそんなことを言ってきた。苑は気だるげだった。「あなたは今すぐ蒼真を家に帰してくれるのですか?」「私の夫にあなたの夫―の写真を見せてもらうことはできるわよ」琴音はわざと言葉を伸ばした。苑は琴音の言葉に含みがあるのを聞き取った。「え?」「あなたは今そんなにのんびりしていられるのは、あなたの旦那様がただ者じゃないで、何も起こらないとでも思っているからでしょう?」琴音にはもう得意げな響きがあった。「言いたいことがあるならさっさ
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第212話

「苑!」電話が繋がると蓮が情愛のこもった声で彼女を呼んだ。「先ほど琴音が私に写真を何枚か送ってきました。あなたが彼女に?」苑は一言の無駄口もなかった。蓮は黙っていた。苑はそれで答えを知った。彼女の胸のあたりがひどく重苦しい。「あなたは彼に会えるのですか?あるいは……」その先の言葉を苑はとっさにどう組み立てればいいのか分からず、言葉を切った。苑は緊張して話せなくなるような人間ではない。よほど怖がっていない限りは。蓮は苑が蒼真を心配しているのだと分かった。「二十四時間は彼に会えない。写真は中の人間が私にこっそり送ってきたものだ……君もあまり心配しないでくれ。ただの外傷だけだから……」外傷なら傷ではないとでも言うのか?それに蒼真は痛いのが怖いのだ!「苑」苑が黙っているのを聞いて蓮はまた彼女を呼んだ。「この件は上の人間がやっていることだ。俺もコネを探して手伝っている。君はあまり焦らないでくれ……」苑は蓮の無駄な慰めを遮った。「いつ彼に会えますか?あるいは何か方法は?」蓮が中に知り合いがいると言ったのだ。苑はやはり蒼真に会ってみたかった。蓮は二秒ためらった。「方法を考えてみる。知らせがあったら君に伝える」「分かりました。ありがとうございます」苑は電話を切った。ツー、ツーという通話の切れた音の中に彼女の他人行儀な「ありがとう」という声が響く。蓮の携帯を握る手が力なく垂れ下がった。喉の奥が少し苦い。苑は蓮に助けを求めたが、やはり写真は照平に送った。彼の方からすぐに電話がかかってきた。「苑さん、落ち着いて。俺がすぐにコネを探して次男坊を出しに行く」その言葉を聞いて苑は密かに口元を引きつらせた。どうやら照平はとっくに蒼真が苦しめられていることを知っていたらしい。ただ先ほどは自分には言わなかっただけだ。苑はごく軽く「ええ」と頷いた。何かを言おうとした時、携帯に着信があった。洋からだった。洋が苑を探すのは佳奈に関することしかない。苑は直接照平の電話を切り洋の電話に出た。そしてまるで予感があったかのように尋ねた。「まさか佳奈が目覚めたのですか?」「はい。彼女は目覚めました」洋の答えに苑は全身が固まり、そして安堵のため息を
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第213話

次の瞬間、苑は手を伸ばしまたドアを閉めた。洋は訳が分からず彼女を見た。苑も洋の瞳を見つめた。「彼女は突然自分で目覚めたのですか」先ほどの電話で苑はこの質問をしなかった。「はい」洋は一言だけだった。苑は一秒間を置いた。「誰が最初に彼女が目覚めたのに気づいたのですか」「看護師です。ですが私もその場にいました。私たちが定期検査を終えて話していると、看護師が彼女が目を開けているのに気づいたのです」洋は苑を見つめた。「何か問題でも?」「何を話していたのですか」苑はまた尋ねた。洋は彼女にそう聞かれ、眼差しが深くなった。「当時、看護師が天城さんが出事したことに言及しました……」そこまで言って洋は言葉を止め、そして理解した。「天城さんのことが彼女を目覚めさせたのですね!」苑は「ええ」と頷き、そして続けた。「本当の鍵を握っていたのは彼だったのです」洋は彼ら三人のいざこざを詳しくは知らないが、苑が今や天城夫人であることは知っていた。何も言えなかった。苑はドアを開けて中へ入っていった。看護師がちょうど佳奈に水を飲ませていた。苑を見ていつも通り挨拶した。「奥様。佳奈さん、目覚めましたよ」看護師も嬉しそうだった。だが次の瞬間看護師は何かおかしいと感じた。下を見ると佳奈の手が自分を掴んでいる。「佳奈さん?」看護師は訳が分からなかった。「どうなさいました?」佳奈は苑を見つめ、唇が震えていた。これは興奮しているのだ。実は苑も興奮していた。七年だ。彼女たちはついに目と目で互いを見つめ合うことができたのだ。「佳奈」苑は優しく彼女を呼んだ。看護師は心得たものでカップを置いて去っていった。苑は佳奈の前に歩み寄り彼女の手を握った。初めて蒼真に彼女の元へ連れてこられた時のように。佳奈の目から涙が流れ落ちた。一粒、また一粒と。本当に糸が切れた真珠のようだ。その刹那、苑も目元が赤くなった……二人はそうして見つめ合い涙を流した。苑は彼女がまだ話せないことを知っていた。なにしろ七年という時間で彼女の多くの身体機能は退化してしまった。たとえ洋が最善の方法で彼女を守ってきたとしても佳奈も回復には時間が必要なのだ。「私がここ数
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第214話

佳奈は苑を見ていた。だが何の反応も示さない。苑は彼女がまだ心配で怖がっているのだと思った。「佳奈……」「あ、あ……」佳奈は声を出した。何かを言いたいようだった。だが言えない。それで焦ってしまい、青白い頬が赤くなった。苑は固く彼女の手を握った。「焦らないで、ゆっくりと……私の目を見て、言いたいことを教えて」彼女たちは以前あれほど仲が良かった。かつて苑は彼女たち二人は心が通じ合っているとさえからかったことがある。だが今になってその言葉がどれほど自惚れていて滑稽だったかを知った。苑はなんと佳奈が当時傷つけられていたことにさえ気づかなかったのだ。だが彼女たちのアイコンタクトはまだできるはずだ。苑は佳奈の心中を読み取れると信じていた。佳奈は苑を見ていた。その視線は苑の顔と服に落ち、最後に彼女の手の指輪に止まって動かなくなった。この指輪は結婚の時に蒼真が苑にはめてくれたものだ。だから佳奈は説明を求めているのか?それとも何かを知りたいのか?苑はここ数日佳奈とたくさん話した。蒼真と結婚したことも佳奈に話していた。佳奈はすべてをはっきりと知っているのだ。ただ当初話した時、苑と蒼真の間は名ばかりの夫婦だった。だが今は違う。「佳奈」苑はどう説明すればいいのか分からなかった。もちろん今が説明する時ではない。「今はまず蒼真を助け出さなければならないのよ」佳奈の指が動き、苑の指輪を引っ掻いた。これは外せということか?ただの指輪一枚なのに。佳奈はそれを見ているだけで不快なのか?苑の心もなぜか少し不快になった。だがやはり笑った。「これをつけているのを見たくないのね。じゃあ外す」苑が外そうとした時、佳奈がそれを押さえて動かさせなかったのを感じた。だが手は相変わらず苑の指輪を握っている。これで苑は少し戸惑った。佳奈は苑に向かって頷き、視線も指輪に釘付けになっている。苑は数秒凝視し、ふと何かを思い出した。「あなたも指輪が欲しいの?」佳奈の目がぱちぱちした。苑は以前彼女たちがトレーニングしていた時、佳奈が確かにいつも指輪をはめていたことを思い出した。「以前あなたがはめていた指輪が欲しいの?」苑はまた尋ねた。佳奈が再び
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第215話

「焦らないで。この指輪は必ず見つけてあげるから。もしかしたら蒼真のところにあるかもしれないし」苑はそう言って佳奈をなだめるしかなかった。だが佳奈はますます焦っているようだった。もともと血の気のなかった佳奈の顔は真っ白で、目には恐怖と不安が満ちていた。苑は何かおかしいと感じた。「佳奈、あの指輪に何か特別なことでも?」佳奈はまばたきしなかった。苑は息を詰めた。「佳奈、教えてくれないと探しにくいわ」佳奈はもう話さず、ただ涙を流すだけだった。これほど長く横たわっていた佳奈は、もともと人形のように脆い。これ以上泣かれると本当に耐えられない。それに目覚めたばかりで感情が昂るのも怖い。苑は慌てて約束した。「探しに行く。必ず見つけられるから」だがどこへ探しに行けばいいのか。苑は真っ先に舞を訪ねた。得られた答えはこうだった。「当時佳奈が事故に遭った後、すべてのものは動かしていない。警察が片付けて持ち去ったのよ。当時はすべて写真を撮っていたはずだから、警察署で調べてみればいい」もちろん調べる。苑は照平に伝えた。照平はすぐに返信をくれた。「警察署の当時の資料には確かに指輪があった。だが後で事件が解決した時にすべて持ち去られたそうだ」「誰が持ち去ったのですか?」苑はまた尋ねた。照平は二秒黙った。「……次男坊だ」洋も言っていた。これらのものはすべて蒼真が洋に渡したものだと。だから指輪は蒼真のところにあるはずだ。佳奈のあれだけのものを蒼真は残さず、なぜか指輪だけを残した。そして佳奈の反応を考えると苑は何となく察しがついた。あれはおそらく二人の愛の証なのだろう。だが蒼真が指輪をどこに置いているのだろうか。オフィス?住居?それとも天城家、あるいは今彼らが住んでいるグランコート?その瞬間、苑は狡兎でさえ蒼真ほど複雑ではないと思った。あちこちに巣があり、とっさにどこから手をつけていいのか分からなかった。だが探そうと思えば必ず見つかる。苑は最終的に、まず蒼真のオフィスから探すことにした。なにしろそこは蒼真が普段一番長くいる場所なのだから。苑はまず晋也に連絡した。晋也は苑を蒼真のオフィスへ連れて行った。苑の想像とは違い、彼のオフィス
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第216話

暗証番号?苑が蒼真の暗証番号など知るはずがない。だが苑はやはり試してみたかった。銀行の職員に何回入力できるか尋ねた後、苑は最初の試みを始めた。苑は蒼真の誕生日は入力しなかった。彼ほどの人物だ。誕生日は元旦のような祝日と同じくらい世間に知られている。これを暗証番号にするのは設定しないのと同じだ。苑は佳奈の誕生日を入力した。男が女を愛する時、その女の誕生日を暗証番号にする。誰が言ったかは知らないが多くの恋人たちがそうしている。蒼真はあれほど佳奈を愛しているのだ。彼女の誕生日が第一候補だろう。【申し訳ありません。暗証番号が違います】苑は少し意外だった。なんと佳奈の誕生日ではない。まさか蒼真は裏をかいて自分の誕生日を暗証番号にしているのか?苑は試しに彼の誕生日を入力してみた。再びエラーが表示された。そばに立つ職員がすでに注意した。「奥様、チャンスは三回です。あと一回試せます」「もし間違えたら?」苑が尋ねた。「アカウントは自動的にロックされます。天城様ご本人がいらっしゃらなければ顔認証で解除できません」もし彼が来られるなら彼女もこんな苦労はしない。苑は蒼真が他にどんな暗証番号を使いそうか考えた。ふと以前彼が彼女に人違いじゃないか確認させた時の彼の携帯の暗証番号を思い出した。二人の結婚記念日だ。まさかこの銀行の貸金庫の暗証番号もそれなのか。その考えがよぎった途端、苑はまず自己否定した。この貸金庫はかなり前からあるものだ。暗証番号もきっと早くに設定されているはず。二人の結婚記念日であるはずがない。だがこれ以外に苑も他の暗証番号は思いつかなかった。「奥様、まだ試されますか」職員は彼女が黙っているのを見て自ら尋ねた。苑は貸金庫を見つめた。「試します!」試さなければ開けられるかどうかも分からない。指輪が中にあるかどうかも分からない。試してせいぜいロックされるだけだ。指輪が中にあるかどうかは分からない。同じ結果なら、なぜこの機会を諦めて試さないことがあるものか。苑は賭け事を最も恐れない。でなければネットの相手と結婚するなどということをするはずがない。苑は彼女と蒼真の結婚記念日を入力した。最後の数字を押した時
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第217話

「これか」苑は指輪を佳奈に渡して尋ねた。佳奈は指輪を手に取りその目に興奮の光が宿った。それが答えだった。苑は安堵のため息をつき笑った。「そんなに大事ならつけてくれるのよ」そう言って苑は後悔した。今の佳奈は七年前とはもう違う。これほど長く横たわっていた彼女はひどく痩せ筋肉も萎縮していた。指も当然細くなっている。どうして七年前の指輪がはめられるだろうか。「佳奈、ごめんなさい……」苑は説明しようとした。佳奈は指輪を手のひらに握りしめ、苑に向かって軽く首を振り気にしないと合図した。苑は微笑んだ。「見つかってよかったわ。もう少ししたら太ってつけられるようになるわよ。そうだ、これも」苑は髪ゴムも取り出し佳奈の手に置いた。「これは指輪と一緒に入っていました。これもあなたのものでしょう」佳奈は髪ゴムを見つめその眼差しは少しぼんやりとしていた。苑はそれに気づかず笑って言った。「このキャラクターの熊、とても可愛いわね。私も好きよ」佳奈が欲しがっていたものが見つかった。苑も自分が欲しいものを佳奈に尋ねた。「佳奈、今、七年前のことをゆっくり話せるか」佳奈の全身が明らかに震えた。苑は真っ先に彼女の肩を握った。「あなたにとってとても辛いことだと分かっています。でも今蒼真はあなたに助けを求めている」苑のその言葉はまた佳奈の涙を誘った……苑は佳奈が以前はこんなに泣き虫ではなかったことを覚えていた。「け、け、たい……ある……」佳奈は泣きながらも声を出した。ただ彼女が言うのは大変で苑も聞くのが大変だった。だが苑はそれでも必死に聞き取り、そして直感で訳した。「携帯に証拠があると言いたいの?」佳奈が頷いた。苑の血液がすでに速く流れていた。だが佳奈の遺品の中に携帯はなかった。「あなたの携帯はどこに?」佳奈は濡れた瞳で苑を見ていた。だが返事はなかった。苑は彼女の緊張と不安を読み取った。「佳奈、私を信じて」「……ふる、と、か、だん……はな、はな……」苑は本当に耳を澄ませた。口も佳奈の動きに合わせて区別しようとした。最後に苑は訳した。「古いトレーニング場の花壇のところにあると言いたいの?」佳奈はまばたきしそして目を閉じた。苑
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第218話

「苑さん。ここはまだ取り壊されてない。でも近いうちに取り壊されるそうだ。本当にぎりぎりだったな!」照平は苑より早く着きすでにここで待っていた。苑はその声を聞いて安堵のため息をつき中へ足を踏み入れた。そして彼に尋ねた。「穴掘りはできますか」照平は眉をひそめた。彼が穴掘りの道具さえ知らないと言えるだろうか。「人を埋めたことはある」照平はそう答えた。苑は彼を一瞥した。照平は口元を引きつらせた。「本当だ。次男坊と一緒に……」この人たちは皆、ろくでもないことをしてきたのだ。蓮も含めて。商界の人間で手が汚れていない者は少ない。廃墟と化したトレーニング場は埃にまみれあちこちに雑草が生い茂っていた。荒涼としていてかつての賑わいを思い出すのも難しい。苑はここで三年トレーニングした。多くの場所に深い記憶があった。今やただの荒れ地が広がるばかりで、苑の心も埃にまみれたかのようだ。ふとある言葉が思い浮かんだ。時は無情だ。「この花壇か」照平は彼女の苑いには気づかず真っ先に花壇を見つけた。苑が顔を上げて見ると花壇はさらに荒れ果てていた。中は雑草で覆われ今は冬から春へと移り変わる季節だ。枯草と新芽が混じり合って乱雑という言葉では言い表せないほどだった。苑は真っ先に佳奈が植えた薔薇を探した。一目で見つけた。あまりに高く育ち、苑の背丈を超えていたからだ。今も新しい枝葉が出ている。「ここです」苑はきっぱりと言った。照平は見た。「どっちの株だ?」苑の口が動いた。彼女はそれを聞くのを忘れていた。「まず道具を探しましょう」苑は辺りを見回した。照平はもちろん苑に手伝わせるわけにはいかないと自ら走り去った。およそ十分ほどで戻ってきた。手にはシャベルと鍬を持っていた。「人を埋めるのはこれでやった。土を掘るのもいけるだろ?」苑は無言になった。ドン!一撃!ドン!また一撃!照平は腰をかがめて土を掘り始めた。これは照平のような御曹司ができる仕事ではない。だが照平も物を探しているのだから、他人に手伝わせるわけにはいかないと分かっていた。彼は腰に響く痛みを我慢し不器用な手つきで掘り進めた。だがこの仕事は本当に生まれて初め
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第219話

一つのレンガの下にビニール袋で何重にも巻かれた鉄の箱が掘り出された。照平は一層一層剥がしていき鉄の箱を開けた。ビニール袋に包まれた携帯が見えた。苑はそれに見覚えがあった。まさしく佳奈の携帯だ。「こんなに時間が経ってるんだからもう起動しないだろ」照平はもっともなことを言った。「まずここを離れましょう」苑は辺りを見回しやはり警戒していた。照平は彼女について外へ出た。「苑さん、他に何か俺にできることは?」「信頼できる人を探して携帯を起動させ、中のデータを取り出してください」苑はそこまで言うと一度言葉を切った。「照平さん、私も立ち会います。あなたを信用していないわけではありません。佳奈に対して責任があるからです」照平はよく分かっていた。「苑さん、説明は不要だ。分かっているよ」「苑さんは俺についてきてくれればいい」照平は車で先導し苑はその後ろをぴったりとついて行った。着いたのは小さな路地にある目立たない携帯ショップだった。入る前照平は苑に紹介した。「店は小さいが見ろ、店主は腕利きだ。それにここは次男坊のアジトなんだ」その口は蒼真と大差ない。どんな言葉も一度ひねってから出てくる。「藤沢さんは?」中に入ると照平は携帯をいじっている若者に尋ねた。「店長なら裏庭に」若者は顔も上げなかった。照平は苑を連れて中へ入っていった。この店は実に狭い。通路は一人しか通れないほどで、しかもその一人は太っていてはいけない。もしここが本当に蒼真のアジトだとしたら、それは少しみすぼらしい。苑が心の中でそう思った途端、目の前の通路がぱっと開けた。目の前に現れたのは四角い小さな庭だった。木があり花があり水の流れがあり、まるで一瞬で桃源郷にでも迷い込んだかのようだ。白いゆったりとした長衣長ズボンを着た男が水槽の前でのんびりと魚に餌をやっていた。照平が近づいていった。「よう。このデブ金魚、また太ったな。そろそろ鍋にしてもいい頃合いだ」「お前が薬味になるなら、一緒に煮込んでやる」その口もまた鋭い。類は友を呼ぶ。苑は今、この男が蒼真と同類だと確信した。男は照平をからかい終えると苑を一瞥し、頷いて挨拶した。苑は彼に会ったことはない。だが彼は苑を知っ
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第220話

苑の態度に照平は少しじっとしていられなくなった。「苑さん、これは重要だ。あの男と交渉するための切り札なんだぞ」「分かっています」彼女の反応はひどく落ち着いていた。照平はこういう人間が一番苦手だった。他人が焦っているのに、苑はまるで他人事のようだ。苑と蒼真がますます似てきたと言わざるを得ない。まさに朱に交われば赤くなるだ。「じゃあなぜまた後でなんだ?佳奈のためか?彼女を守りたいのか」照平は自分の推測を口にした。苑の天然の長いまつげがわずかに伏せられた。その淡々とした様子は涼やかな美しさを醸し出していた。「私には分かっています」照平がさらに何かを言おうとした時、龍馬が照平に向かって軽く首を振った。照平は仕方なく言葉を飲み込んだ。携帯はすぐに修復が完了した。苑は携帯を受け取ると礼を言って去っていった。照平は行かなかった。照平は残って龍馬に愚痴をこぼした。「本当に彼女が何を考えているのか分からねえ。それとも彼女は根本的に次男坊を助けたくないのか。実は俺は感じてたんだ。彼女は次男坊にそれほど感情がない」「その言葉は俺の前でだけ言っておけ。次男坊の前ではその口を慎めよ」龍馬は注意した後二秒黙った。「もしかしたら彼女には彼女なりの事情があるのかもしれない」「どんな事情だよ?次男坊より大変なのか?次男坊が怪我をした写真は彼女が俺に送ってきたんだぞ」照平の腹の中は不満でいっぱいだった。照平は言い終えると龍馬を見た。「携帯の中のデータ、お前さっきバックアップ取ったりしてないか」龍馬が斜めに見てきた。「ん?」その一瞥で照平は理解した。「藤沢店長さんよう、お前馬鹿か。バックアップ取っとけよ。あれは次男坊を救えるものなんだぞ」「俺、龍馬という名前の意味、分からんのか」その言葉を残して龍馬はまた魚に餌をやりにいった。照平はその場で足踏みした。「分かったよ、お前らは皆清廉潔白で俺だけが悪人だ。次男坊が出てきたらどう告げ口してやるか見てろ」苑は車を路地から出すと洋に電話をかけた。「一つ情報を流していただけますか」洋は苑が多くを語らずとも察した。「佳奈が目覚めたという情報を流すのですか」「そうです」一言、ひどくきっぱりとしていた。洋もとて
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