Semua Bab 愛も縁も切れました。お元気でどうぞ: Bab 191 - Bab 200

233 Bab

第191話

「早く人を探して!」蒼真が追いつくや否や、苑に命令された。「まあ待て。誰が君たちを陥れようとしていたのかまだ聞いていない」蒼真のそのいまいましいほどの落ち着きぶりは本当に人を苛立たせる。苑は蒼真を冷ややかに一瞥するとさっさと身を翻した。蒼真が後を追う。「その短気なところはますます激しくなるな」蒼真はそう言いながら携帯を取り出し相手に言った。「天城美穂を探せ。急げ」電話をしまうと苑はもう遠くへ行ってしまっていた。その背中を見つめ、蒼真は遠くない場所にいる従業員に手招きした。「女を探せ。今夜のショートヘアの美女だ。見つけた者にはこれだけの賞金をやる」蒼真は手を一度伸ばして引っこめると苑の方向へと追いかけた。苑が誰かが自分たちを陥れようとしていたと言ったのだ。つまり苑も安全ではない。しっかり見張っていなければ。三分も経たないうちに蒼真は苑を連れて美穂の姿を見つけた。美穂はロッキングチェアに座っておりその足元には中年の禿げ頭の男がひざまずいていた。見覚えがある。まさしく苑が甲板で話しているのを聞いたあの男だ。「美穂様。たとえ私にいい度胸であってもあなた様に手出しなどするはずがありません」男は情けなく弁解した。美穂はドレスから覗く美しい長い脚を組んだ。太ももの付け根まで露わになるのもまったく気にしていない。「じゃあ、私のあの酒がどういうことだったのか説明してくれるかしら?まさかあの酒はただの酒だったなんて言わないわよね?」美穂はそう言うと遠くに目をやった。苑はその視線を追うと一人のメンズモデルが水の入った桶の中で服を引き裂いたり唇を舐めたりしているのが見えた。「今日の宴会には大勢の人がいます。美穂様が私だけを疑うというのは……」男は古狸だった。言い逃れがうまい。美穂は笑った。「それもそうね」その声を聞いて男はまるで特赦のスイッチでも見つけたかのように言った。「美穂様はこれほど魅力的でいらっしゃいます。今夜あなた様に夢中にならなかった男などおりません。きっと誰かがよからぬことを考えたのでしょう」「私がそんなに魅力的?」美穂はわざと髪をかきあげ妖艶な仕草を見せた。男の眼球がやはり言うことを聞かなくなった。美穂のスリットの入ったドレスへ
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第192話

「照平お坊ちゃま、さっきのオーラ半端なかったぜ!」禿げ頭の男が桶の中でメンズモデルと戯れている時、蒼真が照平を褒めた。「今頃気づいたのか?」照平は得意げだった。「お前の前でだけだ。この俺が扱いやすくなるのは」確かにその通りだった。照平は目立たずこれといった富をひけらかしているわけでもない。だが彼の父親には名声と威光があった。誰が照平を見下すことなどできるだろうか?「俺がお前を扱いやすく?」蒼真は濡れ衣だという口調だった。照平はフンと鼻を鳴らした。「いや。俺がお前に媚びてるだけだ」「いい子だ!」蒼真のその一言に照平はぶるりと震えた。すぐに苑のそばへとすり寄る。「苑さん……」苑は照平を無視し美穂を見た。「大丈夫ですか?」美穂はそこにひどくゆったりと座っていた。「私は大丈夫よ」苑は美穂を数秒見つめそして頷いた。「大丈夫なら帰りましょう」始末すべき人間は始末した。遊ぶべきことは遊んだ。待ちたい人は待っても来ない。これ以上ここにいる必要はない。「ええ」美穂は立ち上がった。だが二、三度よろめき結局苑が手を差し伸べた。触れたその熱さに苑は眉をひそめた。苑の視線が美穂と交錯する。美穂は眉を上げて何かを暗示していた。先ほどから苑はおかしいと思っていた。美穂はまだ強がっている。どうりで彼女があれほど禿げ頭の男を懲らしめたわけだ。結局彼の術中に嵌まっていたのだ。後ろに蒼真と照平がまだいることを思うと。苑は何となく察しがついた。美穂は面子を重んじる。自分の無様な姿を他人には見られたくないのだ。美穂は苑の力を借りて立ち上がるとすぐにその手を振り払った。そして婀娜やかな足取りで外へと歩き出す。妖艶で魅力的だ。これこそが美女というものだ。どんなに体調が悪くても決して他人にそれを見せない。いついかなる時も自分の価値を下げようとはしないのだ。苑は美穂が薬を盛られてもなおここに座り禿げ頭の男を懲らしめていたことから。薬の量はそれほど多くはないのだろうと思った。おそらく彼女自身で対処できるのだろうとそれほど心配はしていなかった。だがそれでも照平に言った。「照平さん、お義姉さんを送ってあげてください」
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第193話

夜の風はひどく涼しい。だが苑と蒼真の体に吹き付けるその風はなぜか熱かった。二人とも馬鹿ではない。その理由が何なのか分かっていた。美穂が彼らの酒に何かを入れたのだ。白昼堂々と。これこそが「どんなに備えても身内の裏切りは防ぎきれない」ということだろうか?苑は美穂に悪意がないことを知っていた。ただ自分と蒼真の仲を取り持とうと。車の窓ガラスに映る蒼真の姿。蒼真はもう何度襟元を引っ張っただろうか。その苦しそうな様子がなぜか少し面白く見えた。普段、苑にあれこれとちょっかいを出してくる蒼真が。今こんなにもおとなしい。なかなか面白いギャップだ。「蒼真」苑が自ら彼を呼んだ。蒼真がこちらを見た。夜の色に染まったその瞳に抑えきれない情動が揺らめいている。まるで先ほど彼女が見た海面のようだ。「苦しいですか?」彼女は静かに尋ねた。蒼真の眼差しが収縮する。喉仏が素早く上下した。「君はどう思う?」その心地よい声もわずかに掠れていた。眼差しから体の反応そして声まで。そのすべてが答えだった。「君は平気なのか?」蒼真は陰険に彼女に尋ねた。苑は平気なふりをして「ええ」と頷いた。「……まあまあです」蒼真の表情がわずかに強張った。そしてまた窓の外へと顔を向け黙り込んだ。車は音もなく進んでいく。運転手は二人をグランコートまで送り届けると帰っていった。二人は車の中に座ったままどちらも動こうとはしなかった。当然会話もない。雰囲気は穏やかだ。だがその下で暗流が渦巻いている。先ほどまで苑は蒼真をからかっていた。だが今彼女もそれほど平静ではいられなかった。体の中の何かがますます強烈になっていく。もう耐えられそうになかった。蒼真が苑より楽なはずがない。だが蒼真はまだ自制している。もし数え切れないほど共に夜を明かした朝のあの彼の男としての力を苑がはっきりと感じていなかったら。苑はまた蒼真のその機能に問題があるのではないかと疑ってしまっただろう。そう言えば彼らが結婚式を挙げてから今日まで。苑はそこまで考えてふと固まった。今日がちょうど彼らの結婚二ヶ月目の記念日だったのだ。彼らは二ヶ月間同じベッドで寝ていた。だが何もなかっ
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第194話

義務を果たす!それはつまり苑に需要があったからであり蒼真が欲したから与えたわけではないということだ。同じ行為でもその意味はまったく違う。この件において苑は利用される側にはなりたくなかったのだ。その理由を蒼真は理解した。「三十年近く溜め込んできた。すべて君にくれてやる」蒼真の声は低く掠れていた。苑はわずかに固まった。蒼真が何を言っているのか。蒼真は初めてだと?まだ童貞……苑には信じられなかった。だが深く考える暇も与えられず。蒼真は彼の義務の旅を始めた。苑を乱れた大海原に沈めもう少しで溺死させるところだった。いや。疲れ果てさせた。どうやら蒼真は本当に三十年近くの精力をすべて今夜にそして苑に使い果たしたようだ。苑が目を覚ました時、彼女はさっぱりとした体で布団の中に横たわっていた。風呂に入れてくれたのは蒼真だった。シーツを替えてくれたのも蒼真だった。苑は今まで男がこんなことをしてくれるとは知らなかった。以前蓮は彼女にしてくれなかった。別にこの時にあの男のことを思い出すわけではない。ただ経験すれば自然と比較してしまうものだ。「起きて早々上の空か。誰を想っている?」低い掠れた声と男の腕の力強い引き寄せ。苑は蒼真の腕の中に引き込まれた。蒼真はいつもこうして的確に苑の後ろめたさを突き刺す。その上この親密さが苑を少し居心地悪くさせた。苑は背中を丸め蒼真とぴったりと密着するのを避けようとした。だが横暴な蒼真のことだ。蒼真はさらに体を寄せてくるだけでなく苑に朝の彼の力を感じさせた。昨夜の光景が脳裏に蘇る。苑はおとなしく身じろぎするのをやめた。「よく眠れたか?」蒼真の声はひどく掠れていた。苑の耳元に昨夜の蒼真の低い喘ぎ声が蘇る。苑は軽く「ええ」と頷いた。「俺はよく眠れなかった。眠い。もう少し寝る」蒼真は顎を苑の肩に乗せその腕も苑を固く抱きしめていた。その体勢は苑にとって少し窮屈で心地悪かった。特に蒼真の腕が苑の腰を圧迫し少し息苦しい。苑は手を伸ばしそれをどかそうとした。だがその手が蒼真の腕の傷跡に触れた。蒼真の額の傷とは違う。腕の傷はひどく深く内外両方から縫合されている。傷跡だけでなく縫合の跡も残っていた
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第195話

サプライズゲスト?苑には誰なのか分からなかった。だが誰であれ今はまず起きなければならない。しかし蒼真はまだ泰然と眠っている。その腕は相変わらず横暴に苑を抱きしめたままだ。「お義母さんがお客様を連れていらっしゃいました。起きてください!」苑は蒼真に注意を促した。「帰らせろ。うっとうしい」蒼真の子供モードに切り替えた。苑は蒼真を放っておくことにした。どうせ実の母親だ。蒼真がどうしようと勝手だ。だが自分はそうはいかない。蒼真の腕をどかせ苑はベッドから下りて服を着た。部屋を出る間際。蒼真にやはり早く起きるように注意しようと思った。だが蒼真は寝返りを打ち布団を巻き取ってしまった。その引き締まった腰の筋肉が官能的なラインを描き出す。苑は瞬間的に昨夜の蒼真の腰の爆発的な力の感覚を思い出した。頬がかっ、と熱くなる。苑は口元まで出かかった言葉を飲み込み素早く部屋を後にした。苑は庭へ出て急いで門を開けた。目の前の人物に苑は息を呑んだ。「お義母さん!」「……お兄さん!」美桜の言うサプライズゲストとはなんと優紀だった。苑は本当に思いがけずそして後ろめたさで気まずかった。「あなたのお義兄さん、今朝早くに着いたのよ。弟が怪我をしたと知ってどうしても見舞いに来たいって」美桜は説明しながら中へと入っていく。苑は慌てて美桜に続いた。そして優紀との視線の交流を避けた。「蒼真の怪我はもう大したことはありません」「あの子は小さい頃から医者と注射が嫌いでね。怪我もしたことがなかった。今回はあの子にとって大難だっただろう」優紀は一度言葉を切った。「君のために」「もちろんよ。彼が娶った奥さんだもの。彼が慈しみ守らなくてどうするの」美桜はそう言うと母屋に着いていた。「あの子まだ起きてないの?」苑の頬が密かに熱くなる。「……まだです」「小さい頃から朝寝坊が好きでね。もう嫁さんをもらったというのにまだこうだなんて」美桜は本当に蒼真に百点満点の不満を抱いている。だがその不満の口調の中にはどこか甘やかしが滲んでいた。「いいよ。寝かせてあげましょう。私たちの方がお邪魔したのだから」優紀は庭の外の春風のように穏やかだった。「嫁さんをもらったからこそ
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第196話

そのいまいましい所有権の主張の仕方は。本当に横暴で幼稚だった。そして嫉妬に満ちている。苑はひどく居心地が悪かった。だがそれでも耐えるしかなかった。蒼真の手が苑の手を握りまるでストレス解消のおもちゃのようにもてあそんでいた。「兄さんはどうして突然帰ってきたんだ?」「ずっと帰ると言っていた。もうずいぶん引き延ばしてしまったからな」そのことは以前彼らがセドナにいた時に話していた。苑も覚えている。蒼真が今更それを尋ねるなんて。彼がこの兄にどれほど無関心かを示しているようだった。「てっきりもう帰ってこないと思ったぜ」蒼真は気のない様子だった。優紀は黙っていた。蒼真はまた言った。「あと二日遅かったら。兄さんの奥さんはまたどこかへ行ってしまったかもしれんぞ」美穂は一つの場所に三日もいれば飽きてしまうような女だ。今回ずっとここにいたのは。彼女にとってギネス世界記録だった。美穂の話題が出た。苑は昨夜美穂も陥れられたことを思い出した。美穂はどうやって解決したのだろうか。苑は優紀に視線を向けた。だが美桜は彼が朝に帰ってきたと言っていた。だから美穂がもし本当に男を見つけて解決したのなら。その相手はきっと優紀ではないだろう。彼らの夫婦関係はひどく気まずい。蒼真のこの言葉はどこか人の肺腑を抉るような感覚があった。苑はまた無言になった。優紀は逆に淡然とした顔つきだった。ごく静かに「うん」と一つ頷きそして続けた。「今回は帰ってきたらもう行かない」苑の呼吸がわずかに滞った。ではこれから頻繁に彼と顔を合わせることになるのか?たとえ彼らの間にやましいことは何もなくただの昔のチャット仲間であったとしても。やはり居心地が悪い。「そいつは誰かさんが喜ぶだろうな」蒼真のその言葉は苑の耳に少し重く響いた。蒼真に握られていた指が少しこわばる。「そうだろ?美女の母ちゃん?」次の瞬間蒼真はからかうように美桜に尋ねた。美桜はフンと鼻を鳴らした。「そうよ。嬉しくてたまらないわ。やっといい子がそばにいてくれるんだもの」「ハニー」蒼真は不意に一声呼ぶと。その頭を苑の肩に乗せた。不憫そうに。「慰めて」その幼稚さ……これでも天城蒼真か
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第197話

「はあ!」美桜は庭に一歩足を踏み入れるとまずため息をついた。これは美桜らしくない。苑は異常に気づいた。「お義母さん、どうしてため息など?」「優紀のことよ。あの子表向きは穏やかそうに見えるけど。心の中は苦しんでるのよ。だというのに蒼真みたいにそれを口に出そうとしない」美桜と苑も同時に部屋の中に座っている兄弟二人を見た。苑は何も言えなかった。苑は優紀を理解していた。誰よりも理解していた。なぜならネットの世界で優紀は自分自身をすべて苑にさらけ出してくれたからだ。もし優紀が苑に何かを隠していたとすれば。おそらく結婚の一件だけだろう。その理由も苑には分かっていた。優紀は苑に恋をしてしまったのだ。苑に特別な思いを抱いてしまった。「お義母さん。彼はもう大人です。彼には彼なりの処理の仕方があります」苑はそう言うしかなかった。「体は大人でも。心はまだ子供と同じよ」美桜はそう言うと首を振った。「蒼真はちょうど彼と正反対。体は子供のようでも。心は大人だよ」さすがは実の母親だ。自分の息子を知り尽くしている。「兄さんは今回帰ってきて何かおっしゃっていましたか?」苑には見て取れた。いつも達観している美桜が心配しているのを。きっと優紀が美桜に何かを言ったのだろう。それに優紀はもう行かないと言った。優紀はここ数年ずっと海外にいた。突然帰国するなんてきっと理由があるはずだ。「いいえ。あの子は何も言わないわ。私が心配するのを恐れてるのね。でも私には分かるの」美桜は感嘆した。苑はふと健太が以前言っていたチャットのIPアドレスを調べる件を思い出した。心がなぜかざわついた。優紀はまさか自分を探しにここに残るのでは?「ではお義母さんが彼とお話しされては?」苑のその言葉には下心もあった。美桜の口を借りて優紀の心中を探りたいと。「話したところでどうせあの子は言わないでしょう。この天城家の男たちは皆同じ病気よ。口がついてないの」美桜はそう言うと首を振った。「もういいわ。あの子たちが言いたくなければ言わなくていい。私も余計な心配はしないことにする」感情の切り替えの王者だ。苑は感服した。蒼真と優紀は十分も経たないうちに​​出てきた。優紀は必死に紳
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第198話

苑は少し頭が痛かった。優紀がこれほど執着するとは思わなかった。「あなたはなんと?」蒼真は苑を離しロッキングチェアに座った。その長い脚を投げ出す。「君はどう思う?」「もし私が彼に自分が誰かを知られたいなら。あんなに徹底的に消えたりはしません」苑ははっきりと言った。「さすがは夫婦。以心伝心だな」蒼真のその言葉に苑は理解した。蒼真が優紀の頼みを断ったのだと。それが優紀の顔色が悪かった理由だ。「彼がもう行かないのも。それが理由ですか?」苑はまた尋ねた。「ああ。地の底を掘ってでも君を見つけ出すそうだ」蒼真のまぶたがわずかに持ち上がった。「ハニー。君は大問題に巻き込まれたな」本当に頭が痛い!苑は眉をひそめた。「あなたたち天城家の男はどうしてこんなに頑固なのですか?」「おそらくそれを純愛と呼ぶのだろう」蒼真の苑を見る眼差しは物思いにふけっていた。苑は蒼真のからかいを無視し数秒考え込んだ。「最善の解決策は私が彼にはっきりと話すことです」逃げることは決して問題を解決しない。苑にはそれが分かっていた。「そして?」蒼真は手で顎を支えた。「私たちの関係と彼の立場を考えれば。きっと彼は諦めてくれると思います」苑のその言葉に蒼真はフンと鼻で笑った。「君は感情を商売か買い物か何かと思っているのか?」蒼真の瞳の奥の寝ぼけたような気だるさはもう消えていた。「十年だ。君は彼を十年も弄んだ。諦めろと言われて諦められるものか?もし本当に諦められるならあんな亡霊のような顔をしているものか」蒼真の声は落ち着いていた。だが聞き取れるほどの恨みがこもっていた。「私はただ彼を友人と思っていました。彼の感情が逸脱しただけです」苑のその言葉は少し無情だった。蒼真は頷いた。「彼のせいだと?!」苑は蒼真の嘲りを見て取った。そしてこの件は彼と話しても埒が明かないと悟った。さっさと身を翻す。「顔を洗ってきます。その後療養院へ行きますので」「送ろうか?」「結構です!」苑が美穂から電話を受けた時、苑はちょうど祖母と庭で日向ぼっこをしていた。眠気を誘われていた。「よう!戦況は激しかったようね。まだ目が覚めてないみたいじゃない?」美穂の声も掠れて
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第199話

豪華なホテルのスイートルーム。美穂はシルクのシーツ一枚を体に巻いてドアを開けた。こんな真似ができるのは彼女くらいのものだろう。苑は彼女を一瞥した。「昨夜のドレスはもうお気に召さなかったのですか?」「着れるわよ。でも汚れちゃって着たくないの」美穂は苑を値踏みするように見た。「あなたは元気そうね。どうしたの、次男坊は戦闘力不足だった?」彼女が下ネタを振ってくるなら苑も上品ぶるつもりはない。「足りるか足りないか、あなたが今度試してみれば分かるのでは?」「やるじゃない、次男坊の嫁ちゃん。自分の旦那を私に試せなんて。その心意気は本物ね。もし将来私たちが嫁同士じゃなくなったら、本当の姉妹になりましょう」美穂はそう言いながらシーツを引きずって中へ入っていく。その様子はまるでランウェイを歩いているかのようだ。苑は二秒ほど呆然とした。美穂の言葉に彼女はふと、最近二人が確かに少し親しくなりすぎていたことに気づいた。「これを着替えてください」苑は持ってきた服を彼女に渡した。「どこにも出かけないのに何に着替えるのよ」彼女はシーツを巻いたままソファに座った。「苑さんよ、コーヒーを一杯淹れてちょうだい。目を覚ましてエネルギーを補給したいの」その様子は本当に搾り取られた後のようだった。苑は彼女がどんな戦況だったのかは知らない。だが目の前には思わず昨夜の自分と蒼真の光景が浮かんだ……ああいうことは、おそらく、どこも似たり寄ったりだろう。「その男は随分と体力がおありのようですね」苑はコーヒーを淹れながらからかった。美穂は頷いた。「ええ、とんでもなくね。並の男じゃ私を満足させられるわけないでしょ」彼女に言えない言葉はない。苑は淡く笑った。「本当にあらゆる面でご立派ですね」「当然よ。私、あなたみたいじゃないもの。次男坊っていう極上の男をそばに置きながらなかなか手を出さなくて、薬を盛られてようやくって。体験してみた感想はどうだった?」美穂はゴシップ好きの顔で尋ねた。苑は淹れたてのコーヒーで綺麗なラテアートを作った。そしてそれを運びながら。「まあまあです」「はは……」美穂は笑い、苑に親指を立てた。「そうよ。男にはそれくらいの評価でいいの。でないとすぐ得意気に
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第200話

美穂と優紀は政略結婚だ。だが美穂と蒼真の幼馴染としての感情を考えれば。美穂は完全に蒼真と結婚できたはずだ。だが美穂が嫁いだのは優紀だった。それにあの日美穂が優紀のチャットの相手に言及した時、一言一句がからかいのようでもあったが、その一言一句がまたどれほど気にかけているかを示してはいなかったか?美穂はまぶたを持ち上げてこちらを見た。「彼が好きな理由?私より年上だから?それとも心の中に別の誰かがいるから?」苑は軽く笑った。強がって否定することこそが最良の答えだ。「そうだ。一つあなたに頼みたいことがあるの」苑は話題を変えた。美穂は直接「大胆に言ってみなさい」という視線を送った。苑は携帯を開きネックレスの写真を取り出した。「これを見たことはありますか?」苑が美穂を頼ったのは。このお嬢様はあちこち遊び歩いているように見えるが。実は正真正銘の宝石コレクターだからだ。美穂はデザインも製造もしない。だが収集する。他の女のクローゼットには服や靴やバッグが並んでいるが。美穂のそれはすべて宝石だ。噂によれば美穂の宝飾品だけの価値で首都の半分が買えるとか。美穂はそれを受け取りじっと見た。「見たことないわね。それに見たところごく普通じゃない」美穂のような審美眼ならそういう評価も当然だろう。苑が気にしているのは宝石の価値ではない。苑が知りたいのは宝石の情報だ。「同じようなデザインのものは?」「このネックレス、少し変わってるわね。何かの形に似ているような。ちょっと待って……」美穂は眉をひそめ考え込んだ。その光景は一分近く続いた。美穂は頷いた。「天意菩提樹の実に似ているわね」その名前を聞くだけで意味があると分かる。苑は美穂を見た。「仏教のものですか?」「いいえ。天意菩提樹は仏教専用の聖なるものではないわ。写真では形が似ていると思っただけ。具体的には実物を見ないと。写真だけでは何も分からない」美穂は携帯を苑に返した。「日を改めてお持ちします」苑は和樹からの連絡を待っていた。だが和樹からは一向に連絡がない。苑も和樹を催促するのは気が引けた。祖母の体は日増しに弱っている。苑はあまり長くは待てないと恐れていた。「以前あなたとあの芹沢
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