苑は今や蓮に対しては赤の他人という心境で完全に無関心だった。苑は黙り込んだ。「それはあいにくでした。今日は特別な日なので私たち二人きりで過ごしたいですの」琴音は誇らしげなはにかみを見せどこか自慢げだった。美穂はすぐに好奇心を装った。「そうなの?結婚記念日?」言い終えると美穂はすぐに首を振った。「違うね。あなたたち結婚してまだ百日も経ってないでしょう。じゃああなたの誕生日か朝倉さんの誕生日?」美穂はまた脚で苑の脚をこすった。美穂は本当に男女問わず人をからかう。「朝倉さんの誕生日なの?」この女は本当に火に油を注ぐ。一度燃え上がらせなければ気が済まないのだ。苑は軽く美穂を睨みつけそして大らかに数文字だけ返した。「違います」その答えに琴音の表情がわずかに強張った。夫の誕生日がいつなのかを他の女の口から確かめなければならないとは。どう考えても皮肉なことだ。「苑。私たち同じ日に結婚したのよね?」琴音は無駄な質問をした。苑は淡々と琴音を見た。「どうしたのですか、事前に予約するのですか?その時一緒に周年祝いでもしますか」「あんたと一緒にお祝いなんてするわけがない。でもその頃には私と蓮の周年祝いは赤ちゃんの誕生祝いと一緒にすることになるかもしれないわね」琴音はそう言う時手をお腹に当てた。ほう?!なるほど妊娠したのか。琴音の顔に幸せそうな妊婦の相が浮かんだ。「苑、あなたは?何かおめでたは?」なるほどここで自分を刺激するのを待っていたのか。もちろんない。昨夜やっと蒼真と初夜を迎えたのだ。今お腹に何かいるとしたらそれこそ笑い話だ。苑がまだどう返すか考えているうちに美穂が先に口を開いた。「ではおめでとう、朝倉夫人。結婚してすぐに懐妊とは、あなたは本当の一発必中の妊娠しやすい体質だね」良い言葉も美穂の口を通すとそのニュアンスが変わってくる。琴音は言葉に棘があるのを聞き取った。だが琴音は美穂に逆らう勇気はない。美穂は富豪の令嬢で自分が敵う相手ではないのだ。だが琴音が刺激したいのは苑だった。「美穂さんのおっしゃる通りです。私と蓮は結婚してすぐに授かりました。でも何年もダメな人もいますよね」これは暗に苑が蓮と何年も付き合っていて妊娠しなかった
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