ま、まさか……そ、その声は……?恐る恐る振り返ると、そこに立っていたのは……。「キャアアアアッ! で、出たー!!」思った通り、そこに立っていたのはオルニアスだったのだ。「お、おい! ちょっと待て。落ち着けって」「いやあああああっ! こ、こ、来ないで!あっちへ行ってよ!!」滅茶苦茶に腕を振り回し、オルニアスが傍に来れないように威嚇? する。「頼むから落ち着けって!」何故か以前とは少し雰囲気の違うオルニアスだったが、そんなことはどうでも良かった。魔力も剣技? も何も持たない私は、ただ叫んで腕を振り回して防御することしか出来なかった。「いやあああ! 殺さないでってば! 私はもうベルナルド王子なんてどうだっていいんだから!」「あーっ! もうっ!いい加減にしろっ!」ガッ!ガッ!あっという間に私は両腕をオルニアスに掴まれ、動きを封じられてしまった。そしてまつ毛が触れ合う程至近距離で顔を近づけたオルニアスが言った。「いいから落ち着け。俺はお前に危害を加えたりしない」「う、嘘よ……だ、だって今まで散々私のこと……こ、殺そうとしていたわよね……?」声を震わせながら尋ねる。「どうやら、少しは落ち着いたようだな?」そしてパッと私の両手を離した。「いいか? そもそもそこから間違えている。俺はお前の命なんかただの一度も狙ったことは無い。ユリア……まだ目が覚めないのか?」「え……?」な、何を言ってるの……?驚きで目を見開くと、オルニアスは溜息をついた。「全く……随分深く催眠暗示を掛けられているんだな。だが、いい加減に目を覚まさないと本当に夢に取り込まれて戻れなくなる。身体が衰弱して死んでしまうぞ?」「ちょ、ちょっと待ってよ……さっきから一体何を言ってるのよ……?」「ようやく少しは冷静になれたようだな……いいか? ここは現実世界じゃない。夢の中の世界だ。ユリアは夢の中に取り込まれ、徐々に生気を奪われている」「な、何ですって!? う、嘘でしょう!?」「嘘なんかついていない。俺はようやくユリアの精神が眠っている最深部までたどり着くことが出来たんだ。ここはあいつによって全て作りだされた世界なんだよ」「あ、あいつって……だ、誰よ……」声を震わせながら尋ねた。いやだ……まさか、信じたくはないけれども……。「オルニアスだ」「へ?」「だから、
Last Updated : 2025-08-06 Read more