「夢の中で前世のことを全て思い出したの。自分がどんな人間だったか、どうして死んでしまったのか。そして誰が私の命を狙っているのかもね」「そうか? それで相手は誰だったんだ?」「その人物は私と同じ、この世界に転生してきた女性やっぱりノリーンだったわ。私もノリーンも全く魔法が使えないのは、もともと魔法なんか存在しない世界から転生したからかもしれない。それにノリーンが何故私を殺したい程憎んでいたのかも理由が分ったわ。前世の因縁からだったのね」夢で見た里美の姿が脳裏に浮かぶ。「そうか……。俺はずっとユリアの夢の中に干渉してきたからノリーンの様子もみてきたが、多分あの女、始めから前世の記憶を持っていた可能性があるぞ」「ええ、恐らくそうでしょうね。だから私の婚約者であるベルナルド王子に手を出したのかもしれない。だって彼女は前世の時から、いつだって私の持っている物を欲しがって奪っていったのだから」「成程……そう言うことか。そうだよな? 普通に考えれば、ベルナルド王子は王族という身分があっても魅力的な人物には見えないからな」失礼なことを平気で言うセラフィム。「馬鹿よね、前世を思い出すまでの私は……王族と言う身分に憧れて、無理やりベルナルド王子の婚約者にしてもらったのだから」思わず苦笑してしまう。「まあ、確かにそうかもな。だが、これではっきりした。召喚魔法って言うのは魔法が使えなくても、正しい魔法陣と呼び出す為の道具をそろえ、呼び出す為のルーン語を間違いなく唱えられれば召喚出来るんだ」「え? そうだったの?」「ああ。召喚された者じゃ召喚者の命令は絶対だからな……。ノリーンがお前の命を狙うのを諦めればオルニアスはお前の命を脅かさないだろうし。仮にノリーンの身にもしもの事があれば、この世界にとどまっていられるのは無理だ」セラフィムの言葉に思わずぞっとした。「ねぇ……それってひょっとして……ノリーンが死んだ場合のことを言ってるの…?」「ああ。そうだ。ノリーンが死ねばオルニアスはこの世界に留まることは出来ないからな。それに……いいか? 今がノリーンに会う一番のチャンスだ。何故ならオルニアスは今ユリアの夢の中に閉じ込められているんだろう? 奴がこの世界に現れたら、間違いなくノリーンに会うのを妨害してくるだろう」「そうね……」「私、今からノリーンに会いに行くわ。
Last Updated : 2025-08-16 Read more