Semua Bab 記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした: Bab 81 - Bab 90

95 Bab

第81話 兄妹喧嘩?

「え!? 本当に……本っ当にお2人は兄妹なんですか!?」2人の顔を何度も確認しながら尋ねた。「ああ、そうだ」「嘘なんかついてどうするんです?」見れば2人とも腕を組み、足を組むという……全く同じ姿勢で此方を見ている。うん……確かに……似ていると言われれば似ているかもしれない。「なら、何故言わなかったのですか? 兄妹の関係だって」「だって言う機会がなかったからな?」「ええ、そうね」2人は顔を見合わせながら頷く。に、似てる……。やはり2人は行動が似ている……。「だ、だけど……マテオ達はあなた方が実の兄妹だってこと知りませんよ? 少なくとも……そう、マテオは!」するとベルナルド王子の顔つきが険しくなる。「……ユリア。マテオと妙に仲が良くないか?」「え?」いきなり何を言い出すのだろう?「あ、やっぱり? 私もそう思ったわ。昼休みにマテオは慌ててユリアさんを追いかけて行ったもの」「え?」あまりにも突然の会話に言葉を失う。「ユリア……ひょっとするとお前、マテオと特別な関係だったのか?」「いやいや、そんなはずないでしょう?」「そうかしら……何だか怪しいわ……」テレシアまで妙に疑いの目を向けてくる。「そ、そんなことよりも、テレシアさんは半年前にこの学園にやってきたじゃないですか? それまでは他の学園にいたんですか?」すると……。「ゴホンッ!いや、実はテレシアは…」「そう、私は妾の子なのよ。母は平民出身でずっと王宮暮らしを拒んでいたの。堅苦しい王宮生活は嫌だと言ってね。だから私も町で平民として母と暮らして、平民達が通う学園に通っていたわ。けれどベルナルド王子が私を城へ呼んだのよ」「ああ、テレシアには正当な王族の血筋が流れているからな……やはりいつまでも平民の暮らしをさせるわけにはいかないと思って半年前に説得して城に連れてきたのだ」「でも私は平民の暮らしが長かったし、いまさら王女のようにも振る舞えないから、なるべくは秘密にしたかったのよ」「だから俺と同じ学園に通わせて、そばに置いてボロが出ないようにしていたんだ」「ちょっと、ボロって何よ? ボロって」「何だ? 事実だろう?」「そんなことないわ、私は完璧に出来るもの」「ふん、どうだかな」「何だよ?」「何よ?」睨み合う2人を私は呆然と見ていた。もはや2人は完全に馬車の中で
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-07
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第82話 目覚めればそこは…

「どうだ? やはり俺が用意した馬車のおかげで安全にお前を送り届けることが出来ただろう?」馬車を降りた私にベルナルド王子は腕組みしながら自慢する。「はい、ありがとうございます」口先だけのお礼を述べる私。「それではベルナルド王子、今夜こそしっかり、きっかり婚約解消の話を陛下にして下さいね?」「う、うむ……」言いよどむベルナルド王子。「あ、それなら安心して? 私の方からお父様に話しておいてあげるから」すっかり打ち解けた様子で私に話しかけてくるテレシア王女。「おい! 俺を裏切るつもりか!?」ベルナルド王子がテレシア王女を見る。……裏切る? 一体どういう意味だろう?「よろしくおねがいします。テレシア王女」「あ〜、王女なんて言わなくていいから。それにかしこまった言い方もやめてくれる? 私、周囲の人達に自分が王女だって知られたくないのよ。平民魂が染み付いているから、今まで通り接して貰えればそれでいいから」「あ、はい。それじゃよろしく、テレシア」「さ、それじゃ行くわよ、ベルナルド王子。早いところ城に帰ってお父様に婚約破棄のことを伝えなくちゃならないのだから」「だから俺はまだその話を承諾なんかしていないぞ!?」「ほら、早く帰るわよ!」テレシアは無理やりベルナルド王子の背中を押して馬車に乗せると振り返った。「それじゃユリアさん。また明日、学校でね」「え? ええ……また明日」するとテレシアはニッコリ笑い、バタンと扉を占めると馬車はガラガラ音を立てて走り去って行った。「本当に……今日は驚きの連続だったわ」まさかベルナルド王子とテレシアが腹違いの兄妹だったなんて。「……屋敷に入りましょう」ポツリと呟き、扉を開けた――**** 19時―― 今夜は父と2人だけの食事だった。「あの……お父様」「何だ?」ナイフを動かしながら父が返事をする。「お兄様方はどうされたのですか? 姿が見えませんけど」「あの2人ならもう帰ったぞ」「え!? 帰った!?」「ああ。何でも、もう確認できたから帰るとか訳の分からないことを言って帰ってしまったのだ」「そう……なのですか?」呆気に取られながら返事をした。それにしてもあの2人の兄があっさり帰っていくとは……。性格が変わっても私がユリアであることに代わり無いことを確認できたから帰っていったのだろうか? 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-08
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第83話 私の命を狙う者は

 嘘だ、そんな信じられない……。大きな満月を背に、剣を私に向けているのは馬車事故の時から行方不明になっていたジョンだった。「このまま大人しく眠っていれば何も分からない内に死ねたものを……。本当に相変わらずユリアは要領が悪いな」「ジョ、ジョン……う、嘘でしょう……? どうしてこんな真似を……?」月明かりに照らされてキラリと冷たく光る剣。「ジョン? ああ……そう言えばそんな名前を名乗っていたっけな……すっかり忘れていたよ」ジョンはゾクリとする位、美しい笑みを浮かべて私を見る。「な、何故……あ、貴方は……私の護衛騎士じゃなかったの?」恐怖で腰が抜けて立つことが出来ない。それでも何か話し続けていなければ、すぐにでも殺されてしまいそうで怖い。「護衛騎士……? ああ、正確に言えば護衛騎士のふりをしてユリアの命を狙っていた……と言ったほうがいいんじゃないか?」「な、何故よ! どうして私を殺そうとするのよ! わ、私……殺されなければならないほど……あ、貴方の恨みを買ったの!?」そうだ、私はまだ記憶を半分も取り戻していないのだから、恨みを買う理由すら分からない。「恨み? いや、俺はユリアには何一つ恨みなんか持っちゃいない。むしろ殺すには少しだけ惜しい人物かなとも思っている。何しろユリアはからかい甲斐があったからな」クックッと肩で笑うジョン。だったらこのまま見逃してくれないだろうか? けれど、ジョンは相変わらず剣の切っ先を私に向けている。恐らく見逃すつもりはさらさら無いのだろう。「ね、ねぇ……私を助けるふりをして……本当は殺そうとしていたって言うわけ……?」するとジョンは顔をしかめた。「全く……相変わらずユリアは馬鹿だな。もうすぐ殺されるかもしれないっていうのによくも口が回るものだ。普通ならここで命乞いをするんじゃないか?」「それじゃ……命乞いをすれば……た、助けてくれるって言うの?」「いや、それはないな。ユリアには今ここで死んでもらう」「な、なんでよ! そ、そうだ! い、いくらで雇われたか知らないけど……お、お金なら払うわ! 雇われた金額の2倍……い、いえ! 3倍支払うわ!」「悪いが金で雇われたけわけじゃないんでね……それは無理だ」ジョンは首を振る。そ、そんな……!「そ、それじゃ……!」そこまで言いかけて私は口を閉ざした。「何だ? 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-09
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第84話 静まり返った屋敷

 眩しい朝日が顔に当たり、突然私は目が覚めた。「えっ!?」気付けば私は自分の部屋のベッドに横たわっていた。「ど、どうしてここに……?」天井を見つめながらポツリと呟く。確か……夜ベッドに入り、気づけば何故か森の中で目が覚めた。そしてそこには……。両肩を抱きかかえ、ブルリと震えた。「ジョンがいたわ……。しかも私の命を狙っていた……まさか、ジョンが犯人だったなんて……」その事実は私にとって相当ショックだった。「私を恨んでいるのはノリーンだと思ったけど……ジョンはノリーンが差し向けた刺客だったのかしら……?」そう言えばノリーンにはジョンの変身魔法が通じなかった、それに私でさえ忘れていたのにジョンの記憶が彼女には残っていた……。「だけど、私の目からは……2人は知り合い同士には見えなかったわ……」でも、それは演技だったのだろうか? そのことをジョンに伝えれば、きっと彼のことだ。<やはりユリアは馬鹿だな>そう言われてしまう気がする。「今何時かしら?」グルリと視線を動かし、部屋の壁掛け時計を見て目を見張った。何と時刻は午前8時を過ぎていたのだ。「た、大変! 遅刻するわ!」私は大急ぎでベッドから飛び降りた――****「どうして誰も起こしに来てくれないのかしら? しかも妙に屋敷の中は静まり返っているし……」朝の支度を鏡の前でしながらブツブツ文句を言う。時計を見るとすでに8時半だった。「急がなくちゃ!」部屋を飛び出し、廊下に出たところで私は異変に気がついた。「な、何……?」屋敷の中は気味悪いくらい静まり返っている。まるで人の気配を感じない。それどころかうっすら霧のようなものに覆われている。「え……? ど、どうして……?」カバンを抱え、震えながら出口を目指して歩いてると霧にまぎれて誰か人が立っている。え……? ま、まさか……。すると前方から声が聞こえてきた。「何だ、ユリア。そんな所にいたのか? 随分探したぞ」そして人影はこちらへ向かって歩いてくる。「ジョ、ジョン……」私の身体から汗が滲んでくる。「よく眠れたか? こっちは一晩中お前を探し続けて少々疲れているんだ。だから……さっさとここで死んでくれるか?」「ほ、本気で言ってるの……? ね、ねぇ……こんなことやめましょ? は、話し合いを……しましょうよ」震えながらジョン
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-10
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第85話 正反対の2人

「あ……ベルナルド王子……それにテレシアさん……」見知った顔がこちらへ向かって駆けつけてくる姿を見て、安堵のあまり腰が抜けて地面に座り込んでしまった。「どうしたんだ!? ユリア!」「ユリアさん、しっかりして!」2人から支えられて、何とか立ち上がるとすぐにベルナルド王子が声を荒げた。「ユリア、心配させるな! 今の今まで何処で何をしていたんだ!?」「私達ずっと心配していたのよ? 何日も学校を休むから様子を見に来てみれば屋敷に見えない壁でも出来たかのように近寄ることが出来ないし」「え!? ほ、本当に!? それならあれから何日経過しているんですか!?」「俺たちがユリアを屋敷へ送った日から10日経過しているぞ?」「10日……? そ、そんな……」まさかの話に驚いた。あれから10日も経過していたなんて。「それで今日も試しに屋敷へ寄ったのよ。そうしたらユリアさんが突然空中から現れたのだから。本当に驚いたわ」「一体何があったんだ? まぁ今日は遅刻しても別に構うことはないだろう。話を聞くぞ?」ベルナルド王子はそういうけれども、本当に遅刻しても構わないのだろうか?「ええ、そうね。もし遅刻して何かお咎めがあった場合は権力を行使してしまえばいいのよ」テレシアは確か王族である身分を隠したいのではなかったっけ? それなのに権力を行使すればいいって……。「ほら、早く話せ」「ねえ、話してよ」ベルナルド王子とテレシアは好奇心旺盛な目で迫ってくる。「は、はい。実は……」私は2人に昨夜の出来事を全て話した。ベルナルド王子とテレシアに馬車で送って貰った後に父と2人で夕食を取ったこと、その後ベッドに入って眠りに就き、寒さで目が覚めるとそこは森の中だったこと。さらに自分の護衛騎士として雇い、馬車事故の後から行方不明になっていたジョンが目の前に現れ、いきなり命を狙われたこと。そこへジョンそっくりの謎の青年が現れて突然眠らされ、目覚めるとそこは自分のベッドの上だったこと。廊下を出ると再びジョンが現れて命を狙って来たものの、昨夜と同様同じ青年が現れて彼のお陰で気付けば外に出ていたこと……それら全てを一気に話した。私が話している間、途中何度もベルナルド王子やテレシアが質問してきたけれども、話の腰を折られるのが嫌で一気に説明してしまった。「……以上ですが、お分かりいただけ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-11
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第86話 馬車の中の3人

 結局私達はベルナルド王子達が乗ってきた馬車に乗って学園へ行くことになった。そして先程2人に話した出来事の補足の部分を話し始めた。「実は私、9月10日から記憶喪失になったのです」「自分が記憶喪失になった日付を明確に覚えているとは随分変わった記憶喪失だな?」「ええ、私もそう思うわ」ベルナルド王子とテレシアが首を傾げる。「すみません、その辺の事情は聞かないでいただけますか? 今では以前よりもかなり記憶は取り戻していますけど、とにかくその日以前の記憶が全く無くなっていたんですよ。自分の名前も家族のことも……そして学園のことも全てです」「何? それじゃ俺のことも忘れていたのか? 婚約者の俺を?」「それじゃ私のことも?」ベルナルド王子とテレシアが尋ねてきた。「ええ。勿論です。でもその時には既に記憶喪失になる前から命を狙われていた私が父に泣きついて雇って貰ったという護衛騎士のジョンが傍にいたのです。そして彼と一緒に私は学園に通うことになりました」「そう、それなんだよ。実はずっと違和感を感じていたんだが……俺はその人物の顔も思い出せないのに、何故か名前を聞くだけで不愉快になってくるのだ」「そうね、私もなのよ。別に不愉快って気持ちは無いけどね? 不思議なこともあるものだわ」ベルナルド王子とテレシアは首を傾げる。「そうなんですよ。私も馬車事故から目覚めた直後はジョンのことを完全に忘れていたんです。ジョンを護衛騎士として雇ったはずの父も彼を忘れているし、当然お二方も……マテオ達だって忘れていましたよね? それなのに……」「マテオ……そうだ、マテオだ。ユリア、お前ひょっとしてあいつと特別な関係なのか?」するとここで話の腰を折り、またしてもベルナルド王子がマテオのことで絡んでくる。「はぁ? そんなことあるはずないじゃないですか?」私は半ば呆れながら返事をした。「まぁマテオとのことは後でじっくり尋ねるとして……続きを話してくれる?」「え、ええ……それなのに何故かノリーンだけはジョンのことを覚えていたんです……」「え? ノリーンが?」「まぁ、何故かしら?」2人とも以外な人物の名が出てきて驚きの表情を浮かべる。「はい、実はノリーンについてはそれ以外にも謎があるんです。実はジョンは変身魔法が得意なんですけど……あ、別に本当に変身するわけではなくて幻
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-12
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第87話 生徒会室での痴話喧嘩?

「ええ!? な、何故俺達が!?」「嫌ですよ! 殺人鬼がうろついているかもしれないんでしょう!?」「しかも恐ろしく強いんじゃ話になりませんって!」生徒会室に呼び出されたマテオ、アーク、オーランドが明らかに拒否反応を示してくる。マテオ達は1時限目の授業が終了する頃を見計らって彼らはベルナルド王子によって、招集されたのだ。「何を言っている。ユリアの屋敷が殺人鬼に乗っ取られているかもしれないんだぞ!?」「そうよ! 全員殺されてしまうかもしれないでしょう!?」ベルナルド王子とテレシア王女の兄妹は物騒なことを言っている。「だ、大体何ですか!? 王子はあれ程ユリアのことを毛嫌いしていたでしょう!? 俺だってこんな女の為に命を懸けたくはないですよ!」アークが私を指さしながら喚く。「何よ、私にキスをしようとしたのにそんな冷たい言い方をするの? 酷いじゃない」品を作って上目勝ちにアークを見上げて演技する。途端に何故かアークの顔が真っ赤に染まる。「何だって!? アーク! 貴様……ユリアにキスしようとしたのか!?」ベルナルド王子が何故か激怒する。「あ、あれは本当にどうかしてたんですよ! 自分でも分らないまま、勝手に身体が動いてしまったんですから! だ、第一俺だけじゃないですよ! マテオだって『好きだ、ユリア。お前のことが大好きだ』って言ってユリアの両肩を掴んでキスしようとしてたんですよ!」アークがマテオを指さしながら喚いた。「アーク! 余計なこと言うな!」マテオが言い返す。「な、何だと!? おい! マテオ! 貴様……よくも俺の婚約者に!」マテオにつかみかかろうとするベルナルド王子にテレシアが口を挟んできた。「何言ってるの! ユリアさんとは婚約破棄するんでしょう!? もう兄さんの物じゃないわよ!」「「「え? 兄さん……?」」」マテオ、アーク、ついでに1人蚊帳の外だったオーランドが驚いた様子でテレシアとベルナルド王子を交互に見る。そうだった……彼らはベルナルド王子の腰巾着達にも関わらずテレシアが王子と腹違いの兄妹であることを知らないのだ。「王子! 一体どういうことですか!」「そうですよ! 俺達は2人が恋人同士だと思ってたんですよ!?」マテオとアークはベルナルド王子の追及を免れる為? テレシアのことを問い詰めてきた。「はぁ!? ふっざけるな
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-13
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第88話 不安な人選

「おかしい、こんなことありえない。何故俺たちがよりにもよってユリアに妙な感情を持つんだ……」マテオが頭を抱えている。「ああ、俺だってそうだ。こんなクソ生意気な女を婚約者にしている王子の気が知れないとずっと思っていたんだ」アークが神妙そうな顔で私を見つめる。「おい! アーク! 今、お前失礼なことを言っただろう!?」ベルナルド王子がアークを避難する。「俺もおかしいと思ってるんだ……どうしてユリアに……」オーランドが私を見て、ボッと顔を赤くする。「「「オーランド! 貴様!」」」男性陣がオーランドを非難する。「ねぇ、あの人達絶対におかしいと思わない?」テレシアが私に同意を求めてくる。「ええ、そうね。変だと思うわ」頷く私。「そうなのよ、だってあの人達はユリアさんのことを鼻にも掛けなかったのよ? それが何故急に態度を変えたのかしら?」。「鼻にも掛けない……た、確かにそうかもしれないけれど、これも何か裏があるかもしれないわ」「ええ、絶対に私もそう思う。と言うわけで……」不意にテレシアは立ち上がるとベルナルド王子たちに向かって命じた。「それじゃ、皆行くわよ! ユリアさんの住む屋敷へ!」「な、何で俺たちが行かなくちゃならないんだよ!」アークが情けない声で喚く。「馬鹿! 忘れたのか? 彼女は王女だったんだぞ! 言うことを聞かなければ何をされるか分かったもんじゃないだろう!?」マテオがアークの肩をガクガク揺すぶる。「そうだ、俺たちに逆らえばお前たちの親に言いつけるぞ」まるで子供のような台詞を言うベルナルド王子。しかし、この言葉は絶大だった。結局『親に言いつける』と言う言葉で彼らは全員素直に頷いたのだった。**** 私達、総勢6人は馬車に揺られて我が家を目指していた。「うう……授業をサボってしまった……」オーランドが肩を震わせている。「オーランド、貴方って随分真面目だったのね。授業をサボったくらいでそんなに落ち込むなんて」私の言葉にマテオが即答した。「いや。それは違う。オーランドは馬鹿なんだ。それはユリア、お前と匹敵するぐらいにな。だからせめて出席日数だけでも稼いでおかなければ成績に関わってくるんだ」「私と匹敵するくらいと言う言葉は余計だと思うけど……」口をとがらると、ベルナルド王子が尋ねてきた。「それでユリア。敵は1
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-14
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第89話 あなたについていきますっ!

 ガラガラと馬車は走り続け、ついにアルフォンス家に到着した。馬車が門をくぐり抜け、巨大な屋敷の大扉の前に到着すると馬車は停車した。「よし、到着したな。お前たち準備はいいか?」ベルナルド王子が3人の腰巾着達に声をかける。「いいわけ無いでしょう? 何も戦いの準備が出来ていないのに?」「本当に降りないといけないのですか? 我々は丸腰なんですよ?」「帰りたい……今すぐ家に帰りたい……」マテオ、オーランド、アークが口々に言う。「あなたたち、何情けないことを言ってるのよ! ユリアさんの危機なのよ!? 四の五の言わずにさっさと降りなさい!」テレシアは3人の腰巾着達に命令を下し、彼らは渋々馬車から降りてゆく。マテオ達はいつの間にかテレシアの腰巾着へと成り下がっていた。「よし、我らも降りるぞ」ベルナルド王子が私の方を振り返る。「はい、ありがとうございます」そして私とベルナルド王子も馬車を降りると御者に命じた。「いいか? 我らがこの屋敷に入って1時間たっても出てこなければ城に行き、応援を呼んできてくれ」「え!? 何ですか、それは!」オーランドが声を上げる。「何だ? 何か問題でもあるのか?」ベルナルド王子の問いかけにアークが喚いた。「何で1時間て時間を設定するんですか!? 普通だったら今すぐに応援を呼んでくるでしょう!?」マテオが馬車をバシバシ叩く。「あの~……私はどうしたらいいのでしょう……」御者の男性が困っていたので私は言った。「屋敷の外も危険があるかもしれません。直ぐにここから立ち去って応援を呼んできた方がいいでしょう。何しろ敵は恐ろしい程の強さを持っていますから」「わ、分りました! 今すぐにここから逃げます!」その言葉を聞いた御者は手綱を握ると恐ろしい速度で馬車を走らせ、あっという間に見えなくなってしまった。フフフ……ああいう言い方をすればきっとすぐにでも応援を呼んで連れて来てくれるだろう。どう見てもこの3人の腰巾着達はヘタレだ。私は自分の命が惜しい。彼らだけに託せば助かるものも助からないだろう。しかし……。「おい……今の御者の台詞聞いたか?」アークの顔は青ざめている。「ああ、俺も聞いた。確かに聞いたぞ」マテオは走り去っていく馬車を見つめながらぼそりと言った。「だ、駄目だ……あの御者、絶対にもう戻ってこないぞ……
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-15
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第90話 霧に包まれた屋敷

ギィ~……扉を開くと、心臓に悪い音が響き渡る。おかしい……普段ならこんな音がしないのに。人は恐怖を感じると、五感がおかしくなるのだろうか?「お、おい……おかしいと思わないか……?」一度もここへ来たことが無いオーランドの声が震えている。「ああ、俺もおかしいと思う」オーランドに続き、マテオまで妙なことを言ってきた。「ああ、そうだ……尋常じゃない雰囲気を感じる」ついにアークまでも……!「ちょ、ちょっと! ひ、人を怖がらせるようなこと言わないで! しゅ、趣味が悪いわ!」するとベルナルド王子が神妙な顔つきになる。「いいや、ユリア……本当にこれは奇妙だぞ? お前だって本当はとっくに気付いているんだろう?」「ええ。お兄様の言う通りよ」「テレシアさんまで!」「だって、おかしいじゃない? この屋敷……人の気配を感じないわ。しかもまるで森の中の様に湿った空気……そして薄っすら靄がかかっているように感じるわ」「た、確かに……」「よし、では一列になって探索を開始だ。オーランド、じゃんけんで負けているのだからお前が先頭を歩け」ベルナルド王子が命令した。「な、何で俺が先頭を歩かなきゃならないんですか! そ、そうだ! ユリアだ! ユリアが先頭を歩けばいいんだ! 何しろここの屋敷の人間なんだから!」オーランドが人でなしのことを言う。「い、いやよ! だ、大体私が狙われているのを知っててここへ来たんでしょう!? だったら別の人が……そ、そうだわ! 王子! ベルナルド王子が先頭を歩けばいいのよ!」しかし、王子は首を振る。「いや、それは駄目だ。俺はしんがりを務めなければならないんだ。やはりここはユリアが先頭を歩くのが一番だろう」まるで人でなしの台詞を吐く王子。結局私が先頭を歩かなければならなくなってしまった。「う……も、もしここで殺されたら王子の前に化けて出てやるんだから……」おっかなびっくり歩いていると、ますます屋敷の中なのに霧が濃くなっていき、前が見えなくなってきた。「ね、ねぇ! ま、前がもう見えなくて進めないわ!」震えながら振り返り……自分の血の気が引いていく音が聞こえた気がした。「う、嘘でしょう……?」いつの間にか私の後ろを歩いていた彼らは忽然と姿を消し、気付けば私は1人霧の中に立っていたのだ。「そ、そんな……!」恐怖で全身に鳥肌が立つ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-16
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