「何だ? まだ機嫌が悪いのか?」 ジョンが確保してくれた席に座り、食後のカフェオレを飲んでいると向かい側に座るジョンが声をかけてきた。彼の前にはブラックコーヒーが置かれている。何故、そんなことを私に尋ねてきているかというと……それは食事中私が一言もジョンに話しかけなかったからなのかもしれない。しかし、話しをする気になれない程私は彼に腹を立てていたのだ。「フン……何よ。いつもなら食事をしている時位は静かにしていてろと言ってるくせに」独り言のように呟くと、すぐさまジョンが反論してきた。「そんな言い方はしていない。『食事中の時位は話しかけないで下さい』と言っているだろう?」「細かい人ね。多少言い方が違ってるくらいで。それより私、今ジョンに怒っているのよ? 何故か分っているわよね?」「さぁ? 何故だ?」ジョンは考えることもなく即答してきた。「ちょっと、せめて考えるフリくらいしたらどうなの? いきなり即答するなんてあり得ないわ」「いいから、早く教えろ。俺は無駄に時間を使うのは嫌いなんだ」「は……?」何という言い草なのだろう? 仮にもジョンはお父様に私の身を守るように雇われているはず。なのに彼が今までしてきたことは、どう考えても私をわざと陥れようとしているとしか思えない。そう、例えば『魔法学』の授業で私の姿で教師に火の玉を投げつけたり……。うん? 火の玉……?「そうよ!」私はテーブルをバシンと叩いた。その際、近くに座っていた学生たちが驚いてこちらを見たのは言うまでもない。「うわ! ついに記憶喪失になっただけでなく、頭もイカレてしまったのか?」「別にイカレてなんか無いわ。だけどジョンのせいで私はイカレ女にされてしまったかもしれないじゃない。どうするのよ? 先生に炎の球を投げつけたりして! しかも先生の髪を少し焦がしちゃったじゃないの!」さらにテーブルをバンバン叩きながら文句を言うと、周囲にいた学生たちは白い目でこちらを見て、何やらヒソヒソと話している。……恐らく私の悪口を言っているのだろう。「ああ、あれか……ククッ……なかなか傑作だったな。まさかバケツの水を頭から被るとは思わなかった……」ジョンは肩を震わせながら笑っている。そう、ジョンが先生に炎の球を投げつけた時に運悪く? 先生の髪に火がついてしまったのだ。先生はキャーキャー悲鳴を上
Last Updated : 2025-05-08 Read more