理事長室の前に立ち、ノックをする前に私は深呼吸することにした。「す〜は〜」よし、心も落ち着いたところだし……。――コンコン『うん? 誰だね?』扉をノックすると、声が聞こえた。「おはようございます。ユリア・アルフォンスです」『何? ……入りたまえ』「はい、失礼いたします……」扉を開けると、理事長室の中へ足を踏み入れた。「アルフォンス嬢、どうしたのだ? 突然私を尋ねてくるとは……」「え? あの……私をお呼びでは無かったのですか?」「いや? 呼んではおらんが?」「で、ですが……魔法学のキャロライン先生が辞めてしまったので、代わりに理事長にレポートと反省文の提出をすることになったのですよね?」「何だと? そんな話は初耳だが? 大体、ミス・キャロラインが辞めた? 本気で言っているのかね?」理事長はとても嘘をついているようには見えなかった。それならジョンが勝手に作り話をしたのだろうか?「そ、そんな……」分からない。ジョンが何故そんな嘘をついたのか……?すると、その時。コンコンコンッ!扉を乱暴にノックする音が聞こえた。「誰だね!」「私です、校長です!」『何だ。今取り込み中なのだ。悪いが後にしてもらえるか?』すると校長先生の声が尚も続く。『大変なんです! 今朝私の机の上にミス・キャロラインの辞職願いが置かれていたのです!』「何だと!?」「え?!」あろうことか、私は理事長と顔を合わせてしまった。理事長の顔にも戸惑いの表情が浮かんでいる。『校長、中へ入りたまえ』するとすぐに校長先生? が部屋の中に入ってきた。「失礼いたします」一礼すると理事長の元へと歩み寄る。校長と呼ばれた男性は50代半ばに見えた。成程……あの人が校長先生……しかし、やはり私の知らない顔だった。「一体どういうことなのだね? 辞職願が置かれていたとは」早速理事長が校長先生に尋ねてくる。「はい、私がいつものように今朝出勤してくると、机の上には辞職願と書かれた封筒が置かれていたのです。しかも名前はミス・キャロラインのものでした。こちらがその手紙です」校長先生は理事長に封筒を手渡した。「どれ……」封筒を受け取った理事長は中から手紙を取り出し、目を走らせた。「間違いない……確かにこれは辞職願だ。大した魔力も無いのに、魔法学を教えるだけのレベルに届
Terakhir Diperbarui : 2025-06-07 Baca selengkapnya