ようやくジョンを称える称賛の嵐が収まると、女子学生達はそれぞれ意中の男子学生たちに自分たちの焼いたマフィンを持って駆け寄って行く。よし、私もジョンにこのマフィンを食べさせ、見返してみせよう。人混みをかき分け、ジョンを探しまわっているとタイミングの悪いことにベルナルド王子と視線が合ってしまった。ベルナルド王子は露骨に意地悪そうな顔で私に近寄って来る。え? な、何故近付いて来るのだろう?そして当然背後からは3人の腰ぎんちゃくさん達が迷惑そうな顔でついて来る。気の毒に……。私は心の中で密かに王子に付き合わされている3人に同情した。ベルナルド王子は私の傍まで近寄り、足を止めた。「……今の剣術の練習試合、見ていたのか?」「はい」「俺が奴に負ける姿を見ていたのだな?」敵意むき出しの目で私を睨み付けてくる。「え、ええ……まぁ見ましたけれど……」「そうか。それで俺を馬鹿にしに来たのか?」「はぁ?」あまりにも突拍子もない台詞に妙な声を出してしまった。「まさか、それ程暇ではありませんよ」「何!?」ベルナルド王子の眉間が吊り上がる。しまった! つい、口が滑って余計なことを言ってしまった。「お前……今、何と言った?」殺気を漲らせるベルナルド王子に3人の腰ぎんちゃくたちが次々と声をかける。「王子、やめて下さい。むきになる相手ではありませんよ」「ええ、相手にするだけ時間の無駄ですよ」「どうせ取るに足らない相手なのですから放っておきましょう」何とも失礼なことを言ってくる腰ぎんちゃくたち。しかし、彼等に諭されてベルナルド王子は気が収まったのだろう。「フン。今回は特別に俺が手を抜いて負けてやったのだ。だが次回は無いぞ。と……奴に伝えておけ」明らかにジョンの方が一枚も二枚も上手なのに、強気な態度のベルナルド王子。しかし、そのことを何故私に言うのだろう?「あの、ベルナルド王子……」未だに私の前から立ち去らないベルナルド王子に声をかけた。「何だ?」「言うべき相手を間違えていますよ? 私ではなく本人に伝えれば良いのではないでしょうか?」「な、何だと!?」途端に王子の顔が怒りの為か? 顔を赤らめた。「王子!」「やめて下さい!」「落ち着いて! 深呼吸して!」3人の腰ぎんちゃくたちが王子を宥める。もしかするとジョンに負けたことが相当悔しいのか
Huling Na-update : 2025-05-18 Magbasa pa