メッセージを送ると、安人はふと眉を上げた。そして、すぐにもう一通送ってきた――……一方、ベッドに寝転がっていた桜は、安人から送られてきたメッセージを見て、驚きのあまり飛び起きた。U・Y:【愛人として、スポンサーの俺に何かお礼とかないのかな?】お礼?どんなお礼?あれは、彰人と京子の前だけの話じゃなかったの?毎日暇している桜ちゃん:【碓氷さん、私……私、そういうのはちょっと……】U・Y:【……桜さん、何を考えてるんだ?前に手伝った時は、料理もあったのに。今回はパートナーになったから、もうお礼はないってこと?】桜は黙り込んだ。そっか、自分が変なこと考えちゃったんだ。そう思って明日、寧々にまた小料理を作ってもらうってラインしようとしたら、また安人からメッセージが来た。U・Y:【病気なんだから、早く休んで。元気になったら、今度は君の手作り料理が食べたいな】U・Y:【おやすみ】桜はこのメッセージを見て、また理由もなく胸が高鳴った。毎日暇している桜ちゃん:【はい、おやすみなさい】スマホを置いて、桜は胸に手を当てて目を閉じた。その夜、彼女は夢のなかでずっと安人のことを見ていた……それからの1週間、桜は家でゆっくり療養した。毎日、安人と何通かラインをやり取りして、ごく普通の日常会話を交わしていた。こうして、二人の距離は少しずつ縮まっていった。桜も普段はまだ「碓氷さん」と呼んでいたけど、話すときの彼女は、前よりもずっとリラックスできるようになった。それから、あっという間に2週間が過ぎた。桜と金吾の契約が正式に満了した。優希が自ら動いてくれたおかげで、解約手続きはスムーズに進んだ。証拠もしっかり集まっていたから、裁判が始まると金吾側の弁護士は全く歯が立たなかった。結局、違約金は40億円という法外な金額から、わずか76万円にまで減額された。賠償金を払うことには変わりはない。でも、40億円が76万円になったのだ。ここまで賠償金を減らせただけでも桜にとっては、もはや完全勝利と言えるのだ。裁判に勝つとすぐ、桃子から会社に呼ばれ、その日のうちに正式に契約を結ぶことになったのだった。新しい契約は、自由度の高いものだった。契約期間は5年間だ。契約が終わると、桜は桃子にまず家で休むように言われた。
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