一生懸命思い出そうとしてみたものの、安人に抱きついて泣いたのは覚えている。でも、キスをしたなんて……どうして覚えてないんだろう?とはいえ、最近記憶があやふやなのを桜も自覚していたので、実際のところどうだったか、確信をもてなかったのだ。だから、彼女はただしょんぼりと「ごめんなさい、わざとじゃないの」としか言えなかった。その言葉を聞いて、安人は呆れたように笑った。「桜、君はごめんなさい以外に言うことはないのか?」桜は唇を噛み、目を伏せて、彼の顔を見られなかった。だが、安人は彼女を見逃そうとしなかった。彼女が自分の心と向き合えるように、これまでどれだけ努力してきたか。それなのに、これで全部振り出しに戻ってしまった。だけど、今の状況は以前とは違う。安人はもう、じっくり時間をかけるような悠長な手を使うのはやめることにした。それに、今の桜にはそのやり方はもう適していないことが明らかだから。彼はやり方を変えるしかなかった。そう思って、少し目を細め、彼は分厚い包帯が巻かれた自分の足に視線を落とした。そして、ふと眉を上げた。「もういい」静かな病室に、彼のため息が響いた。桜はきょとんとして、安人を見上げた。安人は彼女を見つめ、口の端を少し上げた。「俺がいると心置きなく休めないみたいだな。じゃあ、邪魔はしないよ」桜は息をのみ、何か言い訳しようと口を開いた。でも、安人はもう背中を向けていた。その時になって、桜はようやく安人が車椅子に乗っていることに気づいた!「安人!」桜は慌てて体を起こし、点滴の針も構わず、彼の腕を掴んだ。その瞬間、勢いよく動いたせいで、手の甲の針から血が逆流してしまった。「何をしてる!」安人は慌てて彼女の手首を掴み、厳しい声で言った。「早く手を離せ、血が逆流してるぞ」しかし、桜は自分の手のことなんて気にしていなかった。彼女はただ、心配の色を露わに、安人を食い入るように見つめた。「安人、答えて。一体どうしたの?」安人が口を開く前に、物音を聞きつけた寧々と夏帆が慌ててドアを開けて入ってきた。「どうしたの?」寧々はベッドのそばに駆け寄り、目が赤くなった桜が安人をじっと見つめているのを見て、二人がまた喧嘩しているのかと思って、宥めようとした。「桜、落ち着いて。ちゃんと話せばわか
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