結衣の元を去った後、涼介はまっすぐスターライト・バーへ向かった。涼真と誠が個室に入った時、彼はすでにレミーマルタンを半分ほど空けていた。涼介がグラスを満たしては一気に呷るのを見て、誠は慌てて駆け寄りそのグラスを奪い取った。「お前、元々胃が弱いくせに、そんな無茶な飲み方したら死んじまうぞ!」涼介は冷たい目で見据えて低い声で言った。「返せ」「何があったんだ?まさか、結衣のことが原因でこんなに飲んでるのか?」結衣という名を聞いた途端、涼介の周りの空気が一気に冷え込んだ。彼は顔を歪めて黙り込み、グラスに注ぐことさえせず、テーブルのボトルを直接掴むとラッパ飲みを始めた。その反応を見た二人に事の次第が分からないはずもなかった。涼真は涼介の向かいに腰を下ろし、眉を上げて彼を見た。「涼介、これでようやく結衣がお前と本気で別れるつもりだって分かったか?」涼介はボトルを床に叩きつけた。酒とガラスの破片が瞬く間に床に散らばり、個室は静まり返った。彼は冷たく涼真を見据えた。「俺のこのざまを笑いに来たのか?」涼真は臆することなく頷いた。「ああ、そうだ。笑われて当然じゃないか?」「もう一度言ってみろ!」涼介は激しく立ち上がった。怒りのあまり額に青筋が浮き上がっている。誠は慌ててグラスを置き涼介を引き止めた。「涼介、涼真も今日は機嫌が悪いんだ。あいつの言うことは気にするな」そう言いながら、彼は必死に涼真に目配せしたが、涼真はまるでそれが見えていないかのようにまっすぐと涼介を見つめ返した。「涼介、お前が最初に篠原と浮気した時、俺も誠も忠告したよな。だが、お前は聞きやしなかった。『結衣が俺から離れるわけない』って、調子こいてやがった。その後、結衣と結婚するって言い出した時も、『篠原と別れろ』って言っただろうが。それもお前は聞かなかった。で、今さら結衣にふられてやけ酒か?何、誰に見せるつもりの芝居だ?」誠は顔を青くして叫んだ。「涼真!もうやめろ!」涼介は冷笑した。「言わせておけ。他に何が言いたいのか、聞いてやるよ」「親友として言っておく。結衣と真剣にやっていく気なら、篠原みたいなくだらない関係は今すぐ断ち切れ。遊びたいだけなら、潔く結衣を解放しろ。お前にとっても結衣にとっても、それが一番
Read more