明輝の表情が暗くなる。「とにかく一度、頼んでみろ。もしかしたら、向こうが助けてくれるかもしれないだろう」少し考えた後、結衣はうなずいた。「分かりました。後で連絡して、お会いできるか聞いてみます」「ああ、他に用はない。仕事に戻れ」汐見家を出て、結衣は直接会社へ向かった。執務室の椅子に座ると、結衣はスマホを手に取り、少し迷った末、やはり雪乃に電話をかけた。電話はすぐに繋がり、雪乃の爽やかな声が聞こえてきた。「結衣さん、どうされましたか?」結衣は電話越しに、汐見グループが直面している窮状を簡潔に説明し、最後に声をひそめて言った。「清水さん、突然こんなお願いをして申し訳ないのですが、今の汐見グループは、もう打つ手がない状況なんです」雪乃はため息をつき、困った様子で言った。「結衣さん、お力になりたい気持ちはあるのですが、実は私も最近、問題を抱えていまして。ある支社の製品にトラブルが発生して、それが片付くまでは身動きが取れないんです。他の方を当たってみてはどうでしょう」電話をかける前から断られることは予想していたので、結衣はそれほどショックを受けなかった。「そうですか。お忙しいところすみませんでした」結衣が電話を切ろうとした瞬間、雪乃がもう一度話し始めた。「結衣さん、私に頼むより、節子様に相談してみては?伊吹家が動いてくだされば、汐見グループも今回の危機を乗り切れるはずです」その提案に、結衣は苦笑いした。ほむらは自分を救うために意識不明の状態なのだ。節子は自分を恨んで当然なのに、どうして助けてくれるだろうか。「分かりました。アドバイスありがとうございます」電話を切り、結衣はスマホを机に置くと、目を伏せて仕事に取り掛かった。お昼近くになった頃、健人がノックもせずに慌てて執務室に飛び込んできた。「結衣さん、大変です!田村さんの奥さんと娘さんが、長谷川社長の部下に連れ去られました!」結衣は顔色を変え、急いで立ち上がって外へ向かった。「どういうこと?!」「うちのスタッフが昼食を届けに行ったところ、見張っていたガードマンが全員、床に倒れて意識を失っていたそうです。防犯カメラを確認したら、長谷川社長の部下に連れ去られたのが映っていました」「長谷川グループに行くわ!」結衣が長谷川グループに駆けつけた時、雲心はちょうど会議を終えた
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