家に帰ると、彼女はそのことを明輝に話した。話しているうちに、またどうしても涙が溢れ出してしまった。「満には血のつながりはないし、心から失望していたけれど、それでも二十年以上も母娘として過ごしてきたのよ。突然いなくなってしまうなんて……すぐには受け入れられないわ」明輝は眉をしかめた。「この件は変だな。今朝、お前に示談書が欲しいと言ったばかりじゃないか。刑を軽くしてもらおうとしていたばかりなのに、どうして午後になって自殺なんかするんだ?お前が警察署を出た後、他に誰か彼女に会った人がいないか、調べてみる必要がある」静江は涙をぬぐった。「でも、防犯カメラを見たわ。確かに満が自分でフォークをこっそり隠していたのよ」「防犯カメラは廊下しか映らないだろう。彼女がフォークを隠したことは証明できても、そのフォークで自分を刺したところを誰かが見たわけじゃない」明輝にそう言われ、静江も何かおかしいと気づき、涙を拭いながら言った。「まさか、本当に誰かに殺されたっていうの?」明輝の表情は厳しかった。「本当に殺されたのかどうかは、調べてみないと分からない」彼はスマホを取り出し、電話をかけた。「今日、拘置所に満を訪ねた人間が誰か、調べてくれ」汐見グループ。結衣は最後の書類の処理を終え、健人に手渡すと、顔を上げて彼を見た。「明日、破産申請したら、明後日からはもう来なくていいわ。新しい仕事は見つかった?」健人は首を横に振り、表情に影があった。「いいえ、まだです……結衣さん、僕は汐見グループに九年以上勤めてきました。正直、汐見グループを離れたくないんです」「仕方ないわ。汐見グループは、もう本当に持ちこたえられないの」「分かっています。ただ、少し寂しくて……では、仕事に戻ります」清澄市の四大企業の一つである汐見グループが、いつか倒産する日が来るなど、誰も想像していなかった。健人が部屋を出た後、結衣のスマホが鳴った。相手が詩織だと分かり、結衣は電話に出た。「詩織、どうしたの?」「結衣、汐見グループが明日、破産申請するって聞いたんだけど?!」結衣は「ええ」とうなずいた。「長谷川社長が赤字覚悟で汐見グループの取引先を次々と奪っていくの。もう資金繰りが完全に行き詰まって、破産申請するしかないのよ」「まだ申請を急がないで。あとでお兄さんに
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