เข้าสู่ระบบ目を開けると陛下が心配そうに私のことを覗き見ていた。
背中にベッドの柔らかさを感じて、周りを見渡すと自分の部屋だと分かる。
(私、倒れたの?)「陛下、申し訳ございません。私が無理を言って出席させて頂いたのにご迷惑をお掛けしました」
「いや、俺の方こそ⋯⋯すまなかった」
陛下は何に対して謝っているのだろう。 (雌犬とか、悪魔とか言われたような気がするけれど⋯⋯何がいけなかったのかしら⋯⋯)「私の方こそバラルデール帝国について不勉強でした。ダンスの誘いは受けるべきではなかったのですね」
「いや、君は間違ってない⋯⋯俺が勝手にイライラしていただけだ」
陛下はお母様を亡くされたばかりだ。私は部屋にいるように彼から言われたのに、自分の我儘を通した。
(こんな私では、また捨てられてしまうかも⋯⋯)私が落ち込んで黙りこくっていると、陛下が私の髪に手を伸ばして撫でてきた。
私は昔から髪を撫でられのが好きで、思わず目を瞑りその優しい感触に身を委ねた。 (前世が犬だったからから、撫でられるのが気持ち良いのかも)「その何かお詫びをさせてくれないか? 欲しいものとかあれば言ってくれ」
「お食事を⋯⋯陛下とお食事を一緒にしたいです」 私は少しでも陛下と一緒にいる機会が欲しくて提案した。「分かった。明日から一緒に食事をしよう。今日はもう遅い⋯⋯体を休める為にも眠った方が良い」
「はい。明日が来るのが楽しみです。おやすみなさい陛下」 心なしか陛下が優しい顔をしていて、私は安心した。ふと目が覚める。
遠くに夜行性の梟が鳴いている声がしたのでまだ、朝にはなっていないだろう。 カーテンを開けるとまだ夜明け前だった。 眠り続ける生活を過ごした反動か、体が冴えている気がする。 (もしかして、全快した?)私は立ち上がり、そっとクローゼットを開けて淡いピンクの軽めのワンピースを着た。
(よし、お散歩に行こう!)私がしょっちゅうお散歩に行きたくなるのも、前世が犬だからかもしれない。
薄暗い中そっと部屋を抜け出して、夜間勤務の騎士たちに気づかれないように皇城の外の庭園まで来た。うっすらと明るくなってきて、春の色とりどりの花が見えてくる。
(本当に良い匂い、風も気持ち良いわ)「カイザー皇子殿下!」
私は是非もっと話したかった人を見つけて駆け寄った。 あちらも私を見つけて驚いているようだった。「このような夜明け前にどうしたのですか?」
「皇妃殿下、それはこちらのセリフです⋯⋯」私は5歳のルイを知っているが、もっと子供らしいヤンチャな子だった。
カイザー皇子はとても落ち着いていて、大人っぽい。「実は眠れなくて⋯⋯ご存知の通り、僕の母親はタルシア・バラルデール前皇后に長期に渡り毒を盛った罪人です。罪人の子である僕がここにいて良いのか悩んでいたのです」
「長期に渡り毒を盛っていたというのは、女を不妊にする為の毒ですか?」 「はい⋯⋯」命とは非常に大切なものなのに、女たちは常に毒を盛っている。
醜い弱肉強食のような世界だが、皆、自分の子の地位と立場を守るのに戦っている。 「そのようなものは、どこの王族の女も盛っています。罪人だなんて思わないでください。あなたにとっては優しいお母様だったのではないですか?」 「そうです⋯⋯優しい母上でした」唇を震わせながら、必死に泣くのを耐えている殿下を抱きしめたくなったた。
でも、嫌がられるかもしれないと思っていたところに、地面に白い蛇がいるのを見つけた。 私は蛇を手の腕に絡ませ、殿下に見せる。「ほら、お洒落な白い蛇のブレスレットですよ」
「な、何を言ってるのですか? その蛇には毒がありそうですよ」私は彼に笑ってもらいたかったのに、引かれてしまった。
「毒蛇なんですか? とても綺麗な色をしている生物は毒があるものが多いのですね」
「多分、毒があるので、すぐにでも蛇を遠くへやってください」 「大丈夫ですよ。どんな生き物も自分や自分の家族を守る為にしか攻撃はしてきません」カイザー皇子のお母様も、自分の子の立場を守る為に必死だっただけだ。
私は殿下があまりに怖がっているので、そっと蛇を地面に離した。 すると、蛇は花の間をすり抜けて、土の方に潜っていった。 (まだ、寝足りなかったのかしら⋯⋯)「どうぞ、これで手を拭いてください」
カイザー皇子が差し出してくれたハンカチを受け取ろうとした時、強い風が吹いた。 ハンカチは空に舞い飛ばされてしまった。そのハンカチには明らかに丁寧な皇家の紋章と皇子のイニシャルが刺繍してあった。
(絶対、大切なハンカチだわ。お母様からのプレゼントかも⋯⋯)「皇子殿下、申し訳ございません。ハンカチを拾って参ります」
私はそういうと、ほのかに香るカイザー皇子の香りを頼りにハンカチが風に吹かれた方に走った。「あった⋯⋯」
ハンカチは池に浮いている。 まだ、薄暗いけれど、ハンカチが白かったお陰で私は見つけることができた。私は靴を脱いで、池に入った。
池が深くなったら、犬かきでもすれば良いだろう。 (あれ? 犬かきは犬時代にもしたことなかった⋯⋯)ようやっと、ハンカチに手が届いた。
運が良いことに池は膝くらいまでの深さで浅かった。 実は水が冷たかったようで、足元から体が冷えて寒さを感じてくる。後ろから水飛沫の音がして、爽やかな陛下の香りがした気がした。
急に強く抱きしめられて、振り向くと陛下がいた。 (あ、温かいわ⋯⋯)「陛下?」
「何をやってるんだ⋯⋯君はバラルデール帝国の皇妃なんだぞ」 「申し訳ございません」私は咄嗟に謝った。
王女として育てられた記憶しかないなら、このようなおかしな行動はとらなかった。 しかし、犬としての記憶が蘇ってから人の為に何かしたいという気持ちが強い。 その上、明らかに発想が野生動物のようになっている。 (犬のモモ時代も飼い犬だったのになぜ⋯⋯)気がつけば私は陛下にお姫様抱っこされて、岸まで連れてかれていた。
ゆっくり地面に下ろされて、私は濡れた足のまま靴を履く。「ありがとうございました、陛下。ご心配おかけしました」
蚊のなくような声でお礼を言うが、陛下が呆れてそうで顔が見られない。 ワンピースの裾が水を吸ってしまって、少し重い。カイザー皇子も心配そうな顔で私を見ている。
(確かに心配するよね⋯⋯こんな変な人が皇妃で平気かなって思うよね⋯⋯)「カイザー皇子殿下、ハンカチありました」
ハンカチを絞り、カイザ皇子に手渡す。「ふふっ、姉君、このハンカチはもう使えませんよ。僕の5歳の誕生日プレゼントとして新しいハンカチをプレゼントしてください」
私はカイザー皇子が私を「姉君」と呼んでくれたのが嬉しかった。
そして、やっと見たかった子供らしい彼の笑顔が見られた。 (おかしな行動をした私を皇妃と呼ぶのが憚られたからかもしれないけれど⋯⋯)「はい、是非ハンカチをプレゼントさせて頂きます」
私は丹精込めてハンカチを作ることにした。「皇妃、着替えたら朝食だ。今日から一緒に食事をするんじゃないのか?」
「はい、そうでした。カイザー皇子殿下もよかったらご一緒しませんか?」 「お誘いありがたいのですが、急に眠くなったので部屋に戻って寝ようと思います」カイザー皇子に誘いは断られてしまったが、陛下と2人で食事が取れると思うと胸がいっぱいになった。
「退屈なんてさせてくれるつもりはあるのか? モモ、君はかなり愉快な女だぞ。それよりも、君こそ俺と2人きりで良いのか? その⋯⋯ジョージアを連れて来ても⋯⋯」 アレクはいまだに私とジョージの仲を疑っている。 私は彼に近づき唇を軽く舐めた。「えっと⋯⋯それは、俺だけで良いという返事なのか? だったら、口づけで返して欲しいのだが⋯⋯たまに、君の行動が犬っぽくて⋯⋯」 アレクは頭を掻きながら困惑していた。「これだけ一緒にいるのに、まだ私の気持ちを疑っている人には口づけなんてしません」「それは、君も俺だけを好きだと言うことで良いのか?」 いちいち言質をとって来ようとするアレクに深く口づけをする。 もう随分と慣れた私を安堵させる味を感じる。 彼も私を思いっきり強く抱きしめてきた。「アレク⋯⋯カイザーに譲位するまで、解決できる問題は全て解決しますよ。あの子の心を煩わせる全てのものを取り払うのです」「モモは俺以上にカイザーに対して特別な感情を持っている気がするのだが⋯⋯」 アレクは鋭い。 彼の言う通り、私は出会った時からカイザーと元飼い主のルイを重ねている。「当然です。私はカイザーの忠犬ですよ。そして、あなたが愛する妻です」 忠誠を誓う相手、私を家族のように愛してくれる人を見つけた。 私は、今、最高に幸せだ。
「本当に私だけを思い続けてくれますか? この先、私が老いて醜くなっても?」 彼の頬を包み込みながら伝えた自分の声が驚く程、震えていた。 美しさという武器を失えば、犬のモモであった時のように粗末に扱われそうで怖かった。「モモ⋯⋯確かに、君は美しい。だけれど、俺が愛しているのは君の繊細で傷つきやすい純粋な心なんだ。いつも陰で俺のために動いてくれているって知ってるんだぞ。君は尖って見せているが、とても優しい人だ。君がどのような姿になっても、たとえ犬でも愛している」 アレクは私が過去に犬だったことを知らないのに、まるで全てを知っているかのような言葉を伝えてきた。「アレクが他の女と一緒にいるのは本当は嫌です。カイザーが成人したらすぐに譲位し私と2人長いお散歩に出かけませんか? ずっと、2人きりだと退屈するかもしれませんが⋯⋯」 私は初めて包み隠さない心の内を彼に伝えた。 私は彼に12年後には退位をするように迫っている。 これは完全な私の我儘だ。 ずっと神経を張り詰めらせて暮らして来た。 皇宮の創られた空間ではなく、本当は季節を楽しみながら愛する人と色々な事を体験したい。 世界を巡りながら美味しいものを食べたり、喧嘩しては仲直りするような毎日を過ごしたい。 役に立たない存在になった私を彼に愛して欲しいと言う希望。
あれから1年の時が経った。 私の執務室の机には父からの手紙が机の上に積み重なっている。 私はその手紙の束から1つをとった。『モニカ、なぜ、手紙を返さない! まさか、あの若造皇帝にお前が誑かされたのではあるまいな⋯⋯』 手紙の内容は私を罵倒する言葉が羅列していた。(父は本当に私を道具としか考えていない⋯⋯) 人に忠誠を誓う元犬であった私。だけれども、私を捨てた相手までに忠誠は誓えない。 マルテキーズ王国の規模では私の助けなくバラルデール帝国を責めるのは不可能だ。 私は意を決して、席をたちアレクの執務室に急いだ。 ノックをして部屋に入るとアレクとその補佐官は私の登場に驚いていた。 アレクが手を挙げて補佐官を下がらせる。「モモ、どうした? お腹が空いたのか?」 アレクの的外れな言葉に思わず苦笑いが漏れた。 彼は不思議な人だ。 気性も荒く自分勝手で最初であった時は、対応に困った。 それでも、今は何よりも私を優先してくれているのが分かる。「アレク、カイザーを立太子させてください。私はもう子供を産めません」 今まで何度もアレクに他の女を迎えるよう提言してきた。 その度に彼は私以外は必要ないと言ってきた。 その言葉は私を喜ばせたが、同時にプレッシャーにもなってきた。 カイザーは皇位継承権を放棄しているが、本人とアレクが望めば彼が皇位を継ぐことが可能だろう。「モモ、本当にすまなかった。俺は償いようもない過ちを⋯⋯」 アレクが立ち上がり私をそっと抱きしめてくる。 彼は意外と感受性が豊かで私が苦しい気持ちになるとその気持ちを受け取るように目を潤ませる。 私は泣いている顔を隠そうとする彼の頬を包み込んだ。
「アレクが誰より想っているのは自分でしょ」モモはそう言うと俺の唇を少し舐めた。(これがご褒美ということで、納得しろって事なんだろうな⋯⋯)彼女を縛りつけても日に日に距離は遠ざかるばかりだ。俺ばかりが彼女のことを考えている。 俺が自分勝手で自己中心的であることは自覚している。それでも、俺は自分と同じくらいモモを大切だと思っていた。(毒を盛った俺が何を言おうとこの気持ちが伝わる気がしない⋯⋯)「スラーデン伯爵の爵位を剥奪し国外追放にするにした」俺の言葉にモモが苦笑いする「首を切ると脅せば、何か吐いたかもしれませんよ? 中途半端な処罰ですね。生きるか死ぬかの罰を犯した彼にとってはラッキーだったでしょうね」 モモは俺よりも多くをみえていて洞察力が鋭い。 俺もスラーデン伯爵の裏に誰か潜んでいるのは感じ取っていた。 しかし、そこは曖昧にしてしまってバランスを保つのが良いと思った。プルメル公爵一族を処刑した後で、帝国は処刑に対して敏感になっている。俺が言い淀んでいると彼女は少し呆れたような顔をした。 「アレクは今、私のご主人様です。あなたの意向に従います」 モモがぺこりと頭を下げるが俺が欲しいのはそんな彼女の反応じゃない。(ただ、俺のことが好きだと言って欲しい)「その⋯⋯ジョージアに会っても良いぞ⋯⋯」 情けないことに彼女に好かれる為に何をして良いのか全くわからなかった。だからと言って、彼女の希望を叶える為に浮気相手に会っても良いと言っている俺はどうかしている。「おびき寄せて、彼を殺す気ですか? 結構です。私と彼は会えなくても、心は通じ合ってますので」 モモは俺の傷つく言葉を平気で言ってくるようになった。 そのことから、彼女が早く俺から離れたいと思っていることが伝わってくる。 まるで、近くにいても心の通じない俺と彼を比べられているようだ。 誰かと比べられて劣っていると言われる事はおろか、誰かと比べられること
スレラリ草の毒に侵されている状態だと聞いたが、突発的な熱と不妊以外は気にする必要がないだろう。 私は私のやるべき事をやるだけだ。 私は朝から、ずっと私と過ごそうとするアレクを引き剥がして部屋で今後の対策をしていた。 アレクは私がブームなのだろう。 本当に人間とはどこの世界でもトイプードル、パグ、チワワとブームによって可愛がるペットを変える。 私はそのようなブームさえもない雑種犬だった。 今は時の皇帝のブームになっているのだから、感謝して彼に尽くすべきだろう。 ノックの音と共に、見知らぬ令嬢がやってきた。侍従に連れられてきたその少女は茶色い短い髪と瞳をした割と地味な女の子だ。 彼女からは私への敵意を感じないので、不思議な感じがした。 「モニカ・マルテキーズ皇妃殿下に、リアナ・エンダールがお目にかかります」 「エンダール伯爵の娘さん。どうぞ、入って」 私の言葉に緊張しながら部屋に入ってくる彼女をみて、私の警戒心はとけていった。「皇妃殿下、しょ、処刑されてしまったジョ、ジョージ・プ、プルメル公子よりお手紙を預かってきました⋯⋯」 泣き出すリアナ嬢はジョージが本当に死んだと思っているのだろう。 明らかに手が震えていて、今、遺言を私に託すとばかりに手紙を渡してくる。「とにかく、そこに座ってくれる?」 リアナ嬢は嗚咽を耐えながらソファーに座った。 手紙の封を開けて私は思わずため息をついた。(ジョージ⋯⋯この手紙の危険性に気がつけないの?) ジョージは私の悩みを解決しようと、私と友人になれそうな令嬢を探してくれていたようだ。 マリリンとは関係がない私の助けになってくれそうな、令嬢や夫人たちがリストアップしてある。 プルメル一族の処刑の後に建国祭があって、私が準備をしなくてはいけない事を心配してくれていたようだ。 リアナ嬢はジョージとアカデミー時代の同期だったらしい。 彼女は見るからに貴族世界で揉まれてきたとは思えない純粋そ
「アレク、起きてください! 重いです」 私の昨日の高熱の原因はスレラリ草の毒だったらしい。 もう、子が望めないと皇宮医が言っているのを聞いて泣いてしまった。 アレクは私を抱きしめて寝てしまったようだが、非常に重い。「モモ、熱は下がったのか」 起きるなり、私の額に手を当ててくる彼は心底私を心配しているようだ。「はい⋯⋯それから、アレクが私に申し訳ないと思う必要はないです。毒を盛られる可能性に気がつけなかった私に落ち度があるのですから」 私はランサルト・マルテキーズの娘で、私に子が産まれたら自分にとって危険だと感じ毒を盛るのは想像できた。 普段の私だったら予想できる事が、犬の記憶が蘇ったことで主人に対する疑念より忠誠の心が勝っただけだ。 「そんなこと言わないでくれ! 俺が毒については絶対に何とかするから」 アレクが私をキツく抱きしめてくる。 彼自身も、毒を何とかできるとは期待できないだろう。 そのような事ができていたらタルシア前皇后は死んでいない。「アレク、それよりもスラーデン伯爵の問題に集中してください。あと、おそらくマルテキーズ王国がまた刺客を送ってくると思います。レイ・サンダース卿より厄介な、ルイーザ・サンダース卿を⋯⋯」 「ルイ! ルイが来るのか?」 ルイーザ・サンダース卿はレイ・サンダース卿の双子の妹だ。 私がルミナを返したので、メイドという設定で送り込まれてくるかもしれない。 (ルイって、なぜ愛称で呼んでるの?)「アレクはルイーザ・サンダース卿をご存知なのですか? 彼女は女性ということで油断されますが、レイ・サンダース卿と並び立つ暗殺術を持っています。本当に女好きなのですね⋯⋯命が狙われるかもしれないというのに⋯⋯」「えっ? ルイーザ? 女? 違う、俺は女は好きじゃない。誤解してないでくれ、モニカだけが好きなんだ!」 アレクの言葉は嘘じゃないだろう。 確かに彼の瞳からは私への好意を感じる。 ただ、その好意はやがて気まぐれのように終わる事を私が知っているだけ
ふと、意識が戻ると背中が柔らかさを感じた。 誰かが、私をベッドの上に運んでくれたようだ。 体がだるい。 目が開けられない。 おそらくレイ・サンダース卿の投げたナイフにはマルネスの木の樹液が塗ってある。 体中に痺れて、しまいには気管閉塞までおき呼吸が停止する毒だ。 ナイフを受けたのが私でよかった。 私はマルテーキーズ王国で使われる毒には耐性がある。 母に言われて幼い頃から少しずつ摂取して、免疫をつけていたのだ。 おそらくナイフを受けたのが、アレキサンダー皇帝だ
目が覚めた時、隣にアレキサンダー皇帝はいなかった。 私は酷く寂しい気持ちに襲われた。(また、捨てられるのが怖い⋯⋯) 気だるい体を起こして、呼び鈴を鳴らすとクレアがやってきた。 服を着替えるのを手伝って貰い、食堂に向かう。(ルミナは本当にどこに行ったのかしら⋯⋯後で陛下に聞かないと⋯⋯) 陛下と一緒に食事をとれると期待したのに、私はまた1人で食事をするようだ。「朝食に陛下はいらっしゃらないの?」「陛下は既に朝食を済ませております」(今日も、料理からほのかに草の匂い
目が覚めた時、隣にアレキサンダー皇帝はいなかった。 私は酷く寂しい気持ちに襲われた。(また、捨てられるのが怖い⋯⋯) 気だるい体を起こして、呼び鈴を鳴らすとクレアがやってきた。 服を着替えるのを手伝って貰い、食堂に向かう。(ルミナは本当にどこに行ったのかしら⋯⋯後で陛下に聞かないと⋯⋯) 陛下と一緒に食事をとれると期待したのに、私はまた1人で食事をするようだ。「朝食に陛下はいらっしゃらないの?」「陛下は既に朝食を済ませております」(今日も、料理からほのかに草の匂い
バラルデール帝国の皇帝になり、半年で早く妻を娶るようにと周囲が煩くなった。 半年前、皇帝であった父が亡くなったのは間違いなく暗殺だ。 父アルガルデ・バラルデールは保守的で、好戦的なレイモンド・プルメル公爵と度々対立した。 父の死因は心不全とされているが、俺はレイモンド・プルメル公爵が裏で手を引いたと思っている。 若くして公爵位を継いだレイモンド・プルメルは、貴族派の筆頭で宰相職にもついていて強い発言力を持っている。 父、アルガルデ・バラルデールは高齢で政務から離れ気味にもなっていたので、レイモンド・プルメル公爵が俺の留守中には皇帝のように振る舞っているとも聞いていた。 俺が







