彼女が眉をひそめる様子を見た博人はおかしそうな表情で彼女のほうへ視線を向けた。「どうした?」「大したことじゃないわ。仕事のことなの」未央は首を横に振り、メッセージを送ったあともう考えることをやめた。「パパ、ママ、見て見て。今覚えた変身だよ!」その時、理玖の明るい声が耳元に届いた。未央は注意力を引き寄せられ、彼のキラキラとした笑顔を見て、思わず笑みがこぼれた。夜が更け、月が夜空にかかった。理玖は何度も欠伸をし、眠気で涙も出てきた。未央はそれを見ると、すぐに部屋に戻るよう促した。「パパ、ママ、おやすみなさい」理玖はベッドに横たわり、大人しく二人にそう言った。「お休み」未央は口元を緩め、博人と一緒にそっと部屋を出てドアを閉めた。二人は何となく顔を見合わせた。何か思い出したように、未央は先に視線を外した。気まずそうな感情が目に浮かんだ。「まだ何か用なの?」彼女は思わず沈黙を破った。博人は目を細めゆっくりと口を開いた。「探偵の友達から連絡があった。手がかりが見つかったようで、もうすぐ越谷雄大という人と連絡が取れるそうだぞ」「本当に?」目に喜びが浮かび、未央は博人を見つめて、心からの感謝の言葉を伝えた。「ありがとう」もし目の前の人がいなければ、自分の力で雄大を見つけるのにどれだけかかることか分からない。博人は落ち着いて言った。「礼には及ばないよ、君の力になれてよかった」未央は男の意味深な視線を感じ取り、頬が赤く染まり、たまらず慌てて言葉を続けた。「他に用がなければ、先に休むわ」明日は早朝から岩崎家へ診察に行かなければならない。そう言い残すと、博人の返事も待たず、急いで自室へ向かった。その細い後ろ姿には少し慌てた様子が見えた。博人は口元に弧を描き、指にはめたダイヤの指輪に触れながら、突然自信が湧いてきた。彼は廊下に暫く立ってから自分の部屋に戻った。その視線をソファに向けると、博人は突然、昨夜感じた女性の柔らかい感触が蘇った。柔らかくて暖かかった。いつになったらまた同じベッドで眠れるのか。博人はため息をつき、胸に渦巻くピンク色の妄想を抑え込み、ノートパソコンをつけて仕事をし始めた。ちょうどその時、高橋からの報告電話がかかってきた。「西嶋社長
Read more