All Chapters of 今さら私を愛しているなんてもう遅い: Chapter 421 - Chapter 422

「白鳥さん……」高橋は慌てて駆け寄り、未央のボロボロになった様子を見て心が痛み、手を差し伸べて彼女を引き起こそうとした。「お送りします」未央は手を左右に振り、既に平静を取り戻していた。自分で無理やりに立ち上がると、震える手で携帯を取り出しタクシーを呼び、さっさとその場を離れた。高橋の差し出した手はそのまま固まり、引っ込めるかそのまま差し出すべきか分からず、まるで時間が止まったようだった。暫くして、彼は深くため息をつくと、博人に電話をかけこちらの状況を報告した。未央はとっくにタクシーに乗り込んでいた。手を上げて自分の顔に触れた彼女は、ぼんやりとしていて、自分の顔がすでに涙でぐしゃぐしゃになってしまったことに気づいた。どうやら、彼女も全く気にしていなかったわけではないらしい。もう全て吹っ切れたはずなのに、なぜこの心はまだ痛むのだろう？ぼんやりとした未央が腰をかがめた時、突然何かが落ちた。よくそれを見ると。遊園地へ行った日、博人がくれた小さなウサギのキーホルダーだった。彼女はずっと大切に保管しており、表面に貼った保護フィルムさえ剥がしていなかった。彼女は自分が完璧主義者だと思っており、結構いい生活をしているし、少なくとも不満はほとんどなかった。しかし今、この恋は結局変わってしまった。保護フィルムを剥がしたアクリルのように、たくさんの傷がついてしまい、もう二度と戻ることはできない。未央はどこから湧いてきた力なのか、キーホルダーをカバンから強く引き剥がし、窓の外に投げ捨てた。この瞬間、彼女はついに悟った。傍に留めておくことのできない人や、最初から間違っていた感情もある。ならば諦めるしかないのだ。彼に何度も機会を与えるべきではなかった。結局傷つくのは自分自身なのだから。未央は素早く涙をぬぐった。泣きたくはなかったのに、涙はポロポロと次々と零れ落ちて、どうしても止められなかった。運転手も見ていられなくて口を開いた。「お嬢さん、まだ若いんですから、何だって乗り越えられますよ。思い詰めないで、思いっきり泣いたらいいんです。人生まだ続くんですから」東北出身の彼の流暢な方言でそう言ってくれて、なぜか悲しみがいくらか薄まっていった。未央は笑って言った。「ありがとうございます。分かりました」彼女が