やっと殿下、改めアルの腕の中から抜け出すと、脱ぎ散らかされていた寝衣を拾い上げ身にまとう。極薄だけれど、無いよりましだろう。しかしアルは、そんな私を楽しそうに眺めている。「うん、そういうのもいいよね。隠されているのって、逆に唆るって言うか……ドレスの裾から足首が見えるの僕好き。あ、勿論リリー限定だから勘違いしないでね。透けてるのも色っぽくて、誘ってるようにしか見えないよ? それを今更着るのって逆効果じゃないかな」 揶揄うよう弾む声に、私は固まった。昨夜は緊張で、よく自分の姿を確認していなかったけれど、見下ろす体には赤い跡が無数に散っている。寝衣の上からでもしっかりと『それ』が見えるという事は……。 不安に駆られそっと腕を上げると、想像以上に見えてしまっていた。「こ、これ……な、嘘……!?」 なんとか体を隠そうと辺りを見渡しても、そんなものがある訳もなく、布団に逆戻りした。頭まですっぽりと被り、体を丸めるとアルの腕が優しく包んでくれた。「ほんと、可愛いんだから。もう隅々まで見られてるのに、隠す必要なんてないでしょ。それに、中に入ると僕のが見えちゃうよ? 名残りなんかも……ね」 アルの言うように、目の前には昨夜私を蹂躙した『モノ』が。それから目を逸らすと、今度は赤い血痕が目に入り嫌でも記憶を引きずり出す。さっきも触られて戻ってきていた熱が更に増していく。 しかたなく、もぞもぞと布団から目だけを出すと、アルと視線がかち合った。にんまりと笑う最愛の人は、年相応の無邪気さだ。それでも、昨夜だけでどれほど私を想ってくれているのか分かった。「アル、ずるいです……」 むくれながら文句を言うと、また可愛いの連発。この方は、どれだけ私を甘やかせば気が済むのだろう。 「アルも、可愛いですよ? もっと甘えてくれていいんですからね? 政務も忙しいとは思いますが、私と一緒の時くらい、子供に戻っても……」 私が言いかけると、今度は不機嫌に眉を寄せた。「リリーにとって、僕は子供なの? 昨夜の行為だけじゃ、まだ足りない? それな
Huling Na-update : 2025-09-26 Magbasa pa