15話監視 沈んだ意識はなかなか現実を見れない。今の自分が何処にいるのかも分からない。それでも動く体は生きようと必死だ。 「体調悪いんだね。俺がお薬をあげるよ」 誰かが囁く、悪魔のような日常が幕を開ける合図でもある。その事をよく知っている僕は、抵抗する事を諦めるしか出来なかった。 「視界を自由にしてあげる。君の瞳は凄く美しいから、俺だけを見る恐怖に塗れたその瞳を……」 真っ黒に染まっていた視界が急に開けていくと、そこには僕の知っている「あの人」がそこにいた。 「優しくするから、俺を愛して」 「やぁ……」 「その声、可愛い」 ギリギリと締め付けてくる両手両足を縛った縄が赤い跡をくっきりとつけていく。 あの日を思い出しながら、僕と彼は交わり続けた。勿論、逃げる事は出来ないんだ。 誰を愛するか 誰を受け入れるか 誰を信用するか 全てを間違えた僕を 天使は嘲裏ながら見ている 夢から覚めた虚な僕を抱き抱えると病院に連れていく。笑いもしない、答えもしない、ただの人形のように固まってしまった僕を戻す為に、医者の力が必要と思った杉田は、すぐに動き出す。 「大丈夫だ、俺が側にいるから」 いつもの僕なら大丈夫と心配かけないようにするはずだ。僕を後部座席に置くと、車に乗り込む。冷静に見えて、内心は相当焦っているのだろう。それでも、少しでも支えになれるように、自分を抑えている。 「一人で溜め込みすぎだ
Terakhir Diperbarui : 2025-06-04 Baca selengkapnya