45話 邪魔者の企み ここまでくるのにどれだけの年月をかけてきただろう。タミキが人を愛する姿を見てきたキヨは歯がゆい思いばかりをしていた。結局最後は自分の元へと戻ってきたが、それでも誑かした奴らを許す事は出来なかった。初めは知らなかった誰かの影を重ねて、似ている人を恋愛対象として選んでいた事も。自分を選んでくれていたと錯覚していた自分が恥ずかしくて、情けなかった。「どうして俺を選んでくれないんだ」 タミキの前でそう言えたなら楽になったのかもしれない。それでも答えはきっと決まっている。それならその影の人物からタミキを奪うしかなかった。 キヨは僕と出会うと、憔悴しきった様子を見て、怒りと共に好気だと感じた。普段の僕に対してなら通用しないかもしれない。影響が行く前にきっとタミキに相談をするから、阻止出来ただろう。しかし今は違う。体を動かす事を止めた僕は新しい風を欲しがっているように見えたのかもしれない。「外は広い、きっと庵も羽ばたけるよ」 その言葉に惹きつけられたのかもしれない。本心から吐いた言葉ではなく、目的があって言った事なのに、前向きな言葉達を目の前にして、輝きを与えられいるような感覚を感じながら、いつの間にか僕とタミキの間に、キヨの存在が浮き彫りになっていった。「俺は二人を応援してる。何かあったら俺に相談して、力になるから」 僕はどこにも逃げないとタミキが理解出来たのもキヨの言葉があったからだった。僕よりも長い年月生きてきた二人には絆がある。だからこそ、僕もそこに入りたかったのかもしれない。 今思うと、安易で幼稚でどれだけ自分が弱かったかを思い知る。「ちゃんと俺らは庵の事も考えているよ、なぁタミキ」「ああ」 僕の言葉はタミキに向けられていたはずなのに、二人を指す言葉へと変えられてしまった。どこにいても、何をしても、キヨの存在が側にいる。自分のいた居場所なのに、いつの間にか自分が蚊帳の外に追いやられた感覚がする。「僕はタミキに言ってるんだ。キヨには言ってない」「ごめん、そんなつもりはないんだ」
Terakhir Diperbarui : 2025-06-29 Baca selengkapnya