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72 Chapters

番外編  パラレルワールドの使者①

 番外編 パラレルワールドの使者①  時空を飛び越え、この世界にやってきた。俺が生きてきた場所は、この世界からしたら、パラレルワールドと言われている。同じ人物達が、複数の世界で生きていき、違う選択肢を選んだ世界から来たのだ。 俺の祖父の名前は庵と言う。俺の知る庵は年齢を重ねる事なく、生きていた。八十年経っても、変わらずの姿に驚きを隠せない自分がいた。 そして数日前、祖父が何者かに狙われ、意識不明の重傷を負っている。余談も許されない状況にいても経ってもいられず、祖父を狙った犯人の目星をつける為に、ここに来た。 世界は違っていても、そこに出てくる重要人物達は変わらない。この世界でも、俺の居場所で存在している人達が、別の人生を歩んでいる。「僕には忘れられない人がいるんだ。彼は僕の事を忘れているかもしれないけどね」 悲しそうに言いながら、遠くを見ていた祖父の瞳が忘れられない。 この世界では男性同士が子供を授かる事が出来ない事実を知った俺は、驚愕した。自分の世界では、男性同士じゃないと子供を作る事が出来ないからだ。人口の殆どは男性になっている。この世界からしたら、不思議な世界なのかもしれない。「とりあえず、調べるか」 何から調べたらいいのかを考えていると、ふと画面に一人の男が出ていた。彼はある組織が作ったある人をモチーフにした人造人間らしい。見ただけでは区別もつかない姿に、何故だか心臓の音が加速し始める。「ザング、お前は僕と同じDNAで作られている。だから彼と出会った時に、僕の指し示す人物が、誰だか分かるだろう」 襲われる一週間前にそんな話をされた事を思い出した。自分の中で感じた事のない感情の違和感が直感に結びつき、教えてくれている。そんな気がしたんだ。「……タミキ、か」 彼の映像の下に紹介文が書かれている。簡潔に書かれている内容を見つめながら、自分の世界から持ち込んだ人物データーバンクをパソコンにインストールしていく。一つのUSBに保存されていた二つの世界の人物のドッキングを始めた。
last updateLast Updated : 2025-07-24
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パラレルワールドの使者②

パラレルワールドの使者②  研究機関は三年前に潰れたようだった。使われていた電話番号も今では、通じない。行く道を失った俺は、途方に暮れながらも、調べ続ける。 機関のホームページだったURLが今ではある個人のものとして使用されている事を突き止めた。データーバンクに適合すると、個人情報が全て、明らかになっていく。 椎名南、名前以外の情報は住所と電話番号のみだった。データーバンクがこれ以上の情報は国により守られています、と注意書きを点滅させている。 一人の研究者の情報が機密扱い。そもそもが変だ。データーバンクに辿れない情報はないはずなのに、それ以上、読み取る事が出来ない。「もしかして……この世界にも」 こうなると話は変わってくる。この世界にもデーターバンクと似ているアプリが存在しているのかもしれない。それなら弾く事も出来るのだろう。一個人がアクセス出来ないように、組み換えればいいだけだから。 こうなると記載している住所に行って見るしかないと思った俺は、大事な情報をリュックに収縮して仕舞うと、最初の部屋を跡にした。  庵として空間から存在を許された俺は、彼の記憶を元に、全ての道順を取り込んでいく。人の記憶が鮮明に残っていれば、全てを書き写す事が出来るのだ。悪い思想を持った奴にデーターバンクが渡ると、世界そのものが消滅してしまう。それぐらいの危ない存在だった。 この存在は誰にも気づかれてはいけない。庵の生きた世界でもそれらを阻止する為に、機密扱いになっているに違いないだろう。 数時間歩き続けると、一つの廃墟に辿り着いた。当時は他の人が管理していたのだが、今では椎名が所有者だ。「ここは、まさか」 辿り着くと、かなり建物は朽ちているが、あの事件の記事に添えられていた建物と同じ所だと気がついた。 中に入るには許可がいるが、どうやらイタズラ目的で複数の人が入っているらしい。外から見ても、建物の一部に落書きが添えられている。「……改竄するか」 本人が何処にいるのかを知らない俺は、データ
last updateLast Updated : 2025-07-25
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