ズキズキズキズキ――。目が覚めるより先に、地の底で沸くマグマみたいなジワジワくる痛みを、頭の芯で感じた。「い、たた……」無意識に眉間に皺を寄せ、側頭部を手で押さえながら、重い目蓋を持ち上げる。視界に映ったのは、見慣れない天井だった。――ここ、どこ?絶え間ない頭痛が、私の意識をじんわりと蝕んでいて、目に映るものすべてがぼんやりしている。おかげで、なかなか焦点が合わない。それでも私は、今、自分が置かれている状況を把握しようとした。確か昨夜は、高校時代の親友、葉子とキョウちゃんに会って、女子会だった。私は、つい三週間前、東京本社に転勤の人事発令を受けたばかり。それを受けてすぐ、高校卒業後、大学進学で上京して、そのまま東京で就職した二人に連絡を取った。四月。新年度を迎えた今、私は赴任休暇中。つい昨日、東京に引っ越してきたばかりだ。狭いワンルームの部屋には、まだほとんど手つかずの段ボールが、山のように積んである。それなのに、呑気に女子会をしたのは、久しぶりで懐かしい……!と、浮かれたからじゃない。大学も家から通えるところを選んで進学して、地元にある大手総合商社の地方倉庫に勤務していた私にとって、初めての都会、東京一人暮らし。寝耳に水で、ワクワク……なんてできない。せいぜい、地元の田舎町の五分の一ほどの面積しかない土地に、いったい何十倍の人が溢れているんだろう?昨日、東京駅のホームに降り立ってから新居のマンションに着くまでの間、私は何度も竦み上がった。みんな歩くスピードが速いし、ちょっとでも立ち止まろうものなら、後ろからドンとぶつかられ、追い抜いていかれる。わざわざ振り返って、『邪魔だ』と言わんばかりに、濁った目で睨まれる……。東京での生活には、激しい不安しかない。『都会暮らしの先輩』である親友二人に話を聞いて、新しい生活に少しでも前向きにならなきゃ、と思っていた。高校卒業以来だったからか、女子会も結構盛り上がったな。うん。二人のおかげで、少し気持ちが晴れた気がする。でも、ちょっと飲みすぎた。頭ガンガンするし、昨夜どうやって帰ってきたのか、記憶がない……。「……あれ?」私はそこで、なにかおかしい、と異変に気付いた。必死に視界の焦点を合わせようとして、目を細める。そこまでしなくても、天井にぶら下がっている安っぽいシャンデリアが確認できた。私の新居は、八畳ワンルーム。狭い部屋に、あ
Last Updated : 2025-06-23 Read more