「もっと、言葉を選んでください。流石に今のは許容できません。いくら理玖さんが正しくても……。栗花落さんの気持ちは、理玖さんにだってわかるでしょう!」 晴翔が理玖の肩を掴んだ。 その手を、國好が掴んで止めた。 「向井先生の言う通りです。今の話を聞いたら、これ以上、礼音を関わらせるわけにはいかない……」 栗花落が國好を強く掴んだ。 自分から顔を押し付けて、長く息を吐く。 「……俺が、辛そうにしてると、決意が、鈍りますか?」 栗花落が國好に顔を押しつけたまま、くぐもった声を出した。 「そんなんで、向井先生は、叶《かなえ》さんを糾弾、出来るんすか?」「礼音……?」 國好が怪訝な顔で腕の中の栗花落を覗いた。 「叶さんは……、臥龍岡叶大は、俺なんかより、ずっと、可哀想で……、同情を誘う演技も、上手い……っすよ」 栗花落が國好から顔を離した。 涙でぐちゃぐちゃの顔を理玖に向ける。 「RoseHouseの子供らにとって、叶さんと、圭、は……、特別っす。俺みたいに、関わりが、はっ……、ほとんど、なくても……。向こうが、覚えて……ひっ、なくても……はっ」「もういい! 止めろ、礼音!」 抱き締めようとする國好を、栗花落がやんわり押し返した。 「降りませんよ、俺は、絶対に。俺だって、戦い、なんだ。いつまでもRoseHouseに縛られて、生きるのは、嫌だ……はっ、はっ」「栗花落さん……」 晴翔が何も言えなくなっている。 「特別なのは、どうして?」 いつも通り
最終更新日 : 2025-09-30 続きを読む