和風の部屋の大きな卓に、大皿でサンドウィッチやスコーン、ケーキが準備されていた。 紅茶が数種類とコーヒーもある。 「ケーキはラズベリーのムースとモンブランにシュークリームね。晴翔は苦手な食べ物、ある?」「いいえ、好き嫌いはないです。どれも美味しそうです」 ローラが嬉しそうに晴翔にコーヒーを差し出した。 「ミルクティはアッサム、あとはダージリンだけど?」「ん、最初はダージリンで」 理玖はいつもの通りに返事した。 陶器を湯で温めると捨てて、茶葉を蒸らし始める。 「本格的ですね」 晴翔が感心したようにローラの手つきを眺めた。 「これでも簡単にしてるの。本格的にやると時間かかるからねぇ。ちゃんと蒸らして淹れた方が美味しいけどね」「晴翔! サンドウィッチも美味しいから、食べろ! スコーンも焼きたてだぞ!」 理一郎がスコーンにクロテッドクリームを塗って頬張る。 二人の間ですっかり晴翔呼びが定着している。 晴翔が笑顔でサンドウィッチを手に取った。 「御言葉に甘えて、いただきます……。そっか、ローラ・向井先生の手作り。普通ならお金を払って食べる料理ですね」 晴翔が臆している。 確かに母はレストラン料理の監修やコンビニとのコラボなど手広くこなしている。 「只の家庭料理だよ。専門家とプランを練って作っている訳じゃない」「そうよぉ、気にしなくっていいから、じゃんじゃん食べてね」 促されて、晴翔がサンドウィッチをパクリとする。 「やば、うま…&hell
Last Updated : 2025-11-01 Read more