更待の体を診察し、一通り手当てする。大きな問題はなさそうだ。 腹部の打撲も口腔内の切傷も見た目より軽傷だった。 真野が悔しそうに俯いた。 「ごめん、先生。自分から首突っ込んだのに、更待さん連れ帰ってくんのが、やっとで。祐里も冴鳥先生も守れなかった。唐木田さんは完全に鈴木先輩のフェロモンにやられてたし、冴鳥先生も途中からおかしくなってた。あのままじゃ祐里も……。わかってんのに俺、二人を置いて逃げてきた。ごめん」 ふむ、と理玖は真野を眺めた。 とりあえず頭を撫でた。 「真野君は、よくやってくれた。充分すぎる働きだよ」 真野が困惑した顔を向ける。 「むしろ謝るべきは僕だ。真野君に事情を説明していなかった。色々、驚いたよね。とりあえず、栗花落さんにはRISEに潜入捜査に入ってもらってるんだ。だから、心配いらない」 理玖を眺めて、真野がポカンと口を開けた。 「え? 潜入? だったら、更待さんは知ってたの?」 腫れた頬を庇いながら、更待が顔を上げた。 「すみません。俺が必死じゃないと、鈴木に気付かれるから。説明も出来なくて……っ!」 口腔内の傷が沁みるんだろう。 冷蔵庫にあった冷感シートを晴翔が更待の左頬に貼ってやっていた。 「秋風君は自分から僕にSOSを出してきた。積木君と同じ条件で、僕はそれを受け入れた。立ち位置は栗花落さんと同じだと思ってくれていい」 困惑した表情で、真野が考えを纏めながら話す。 「じゃぁ……、大和と秋風先輩と栗花落さんは、RI
Last Updated : 2025-11-16 Read more