【荒野を往くナフィーラ】 ナフィーラが村を後にして、三日が過ぎた。昼は灼熱の太陽が容赦なく肌を焼き、夜は凍えるほどの冷気が身を刺す。かつてセレイナの神殿で守られていた彼女にとって、荒野の旅はあまりにも過酷だった。水筒の水はとうに底をつき、唇は乾ききってひび割れていた。 (カイル……あなたも、こんな辛い道を……) ふらつく足取りで砂丘を越えた時、彼女の目に信じられない光景が飛び込んできた。枯れた大地に、ぽつんと立つ巨大な枯れ木。そしてその根元に、小さな泉が湧き出ていたのだ。まるで奇跡のような光景に、ナフィーラは夢中で駆け寄った。 泉の水を両手ですくい、貪るように飲む。乾ききった体に命の水が染み渡る感覚に、思わず涙がこぼれた。「ああ
Huling Na-update : 2025-07-13 Magbasa pa