公正さを示すため、投票による決定の場には、正道と三兄弟は参加しなかった。しかし、内容としては明らかに星の案のほうが優れていたにもかかわらず、明日香を選ぶ票が、星を上回った。星を支持したのは、夜派の株主たちと、利益のおこぼれに与ろうとする中立派のごく一部にすぎない。大多数の中立派は、依然として距離を保ったままだった。星の案がどれほど優秀で、本人がどれほど有能であろうと、彼らは軽々しく立場を決めることはできない。雲井グループでは、星がいくら能力を示しても、それだけでは足りないことを、彼らはよく知っている。この数年、正道は明らかに夜派を抑え込み、彼らが手にする最後の創業株を回収しようとしてきた。星を支持するということは、すなわち正道に逆らうという意味になる。今なお正道は、雲井グループ最大の株主だ。ここで読みを誤れば、最終的な行き着く先は、夜派の株主たちと同じ――粛清、という結果になりかねない。雲井家の後ろ盾を得られない星が、明日香に勝てないのは、最初から分かりきっていた。夜派の株主たちは、その結果を目の当たりにし、顔色を大きく曇らせた。票数は、圧倒的な差で明日香が星を上回った。その瞬間、忠と翔の口元に、ようやく笑みが浮かぶ。投票が終わると、正道は星に視線を向けた。「星。今回の結果について、異論はないな?」会社は、星が好き勝手に振る舞える場所ではない。まして彼女は、入社したばかりだ。この場で反論すれば、格好の口実を与えるだけだと、彼女自身が分かっている。星は淡く微笑んだ。「皆さんで投票して決めた結果ですもの。これ以上、公平なものはありません。特に意見はありません」その言葉に、周囲の反応はさまざまだった。――公平?今の雲井グループに、そんなものが残っているはずがない。忠は、星が騒ぎ立てなかったことに、内心では肩透かしを食らっていた。どんな結果になろうと、星が明日香に勝てるはずがない。彼の読みでは、不当な扱いを受ければ、星は必ず声を荒らげる。そうなれば、浅薄さと無知が露呈し、支持も完全に失うはずだった。だが、彼女は違った。驚くほど冷静で、感情を表に出さない。正道は続けて言った。「星。予備案も用意しているだろう。それも、皆に見せなさい」
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